AMDは、「Ryzen AI 300」シリーズを発表しました。
Ryzen AI 300
Ryzen AI 300シリーズは、AMDの新しいモバイル向けプロセッサラインナップです。
まず、ラインナップを確認します。
コア/ スレッド |
ベース クロック |
ブースト クロック |
L3 | TDP | GPU | CU数 | |
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Ryzen AI 9 HX 370 | 12C/24T | 2.0 GHz | 5.1 GHz | 24MB | 15~54W | Radeon 890M | 16 |
Ryzen AI 9 365 | 10C/20T | 2.0 GHz | 5.0 GHz | 24MB | 15~54W | Radeon 880M | 12 |
投入されたのは「Ryzen AI 9 HX 370」と「Ryzen AI 9 365」の2製品。Ryzen 9に相当するグレードとかなりハイエンド向けのチップです。ブランドと命名規則がなぜか通常のRyzenから独立しています。ブランド名には「Ryzen AI」が採用されており、搭載されているPCが一見でわかるようになっています
命名法則として、AIがつくRyzenにはNPUが搭載されており、百の位はシリーズ、今回の場合第3世代目のNPUが搭載されているということで3、残り二桁はSKUを示しています。
CPUには「Ryzen 9000」シリーズと同様にZen 5 CPUアーキテクチャを採用しています。Zen 5では、分岐予測の精度向上、レイテンシの改善などによって性能が向上しており、最大16%のIPC向上が見られるとしています。さらに、AVX-512をサポートしており、そのスループットがZen 4の2倍に向上していることからCPU自体のAI性能も高いことが予想されます。
また、CPUのコア数もRyzen 8040シリーズから4コア増えています。
なお、CPUはハイブリッド設計となっており、ともに4コアのみがZen 5、残りがZen 5ベースの高密度アーキテクチャであるZen 5cとなっています。
GPUには、RDNA 3.5アーキテクチャを採用する「Radeon 890M」あるいは「Radeon 880M」を搭載しており、こちらも最大16 CUでRyzen 8040シリーズから増加しています。RDNA 3.5に関しては初登場となるものですが、今回はその詳細が語られませんでした。
TSMC 4nmで製造されます。
NPU
今回目玉となるのはNPUです。RyzenのNPUは、これまでXilinxのFPGA技術に基づいたXDNAアーキテクチャが採用されていましたが、Ryzen AI 300シリーズでは、XDNA 2にアップデートされています。
このNPUは50 TOPSのAI性能を実現しています。これは、競合となるAppleのApple M4の「Neural Engine」(38 TOPS)や、QualcommのSnapdragon X Eliteの「Hexagon NPU」(45 TOPS)、IntelのLunar Lakeの「NPU 4」(48 TOPS)を超える50 TOPSを実現し、CPU内蔵NPU単体での性能では業界トップとなりました。
もちろんこれは、WindowsのCopilot+ PCの基準にも準拠しています。
性能
AMDは今回性能をIntel CPUではなく、Snapdragon X Elite CPUと比較しました。おそらくこれは、具体的な数値が出てるCopilot+ PCがSnapdragonしかないことからであると見られますが、少しおもしろい展開でもあります。
その結果、HX 370にてGeekbench 6.3 シングルでの応答性は5%、Procyon Officeで検証した生産性では10%、Cinebench 24でのマルチ性能が30%、グラフィックスは60%高い結果となったようです。