キヤノンは昨年、ナノインプリント・リソグラフィー(NIL)技術を用いた半導体製造装置「FPA-1200NZ2C」を発表していましたが、同装置を米国のTexas Institute for Electronics(TIE)に出荷したことを発表しました。
ナノインプリント
ナノインプリント技術は、従来のウェハ上に塗布されたレジストに光を照射して回路を焼き付けていた投影露光装置と異なり、ウェハ上のレジストに回路パターンを刻み込んだマスクを直接はんこのように押し付けて回路パターンを形成する方法で半導体を製造する技術となります。光学系という介在物が無いため、マスク上の微細な回路パターンを忠実にウェハ上に再現でき、複雑な2次元・3次元の回路パターンを1回のインプリントで形成できるとしています。
現状、5nmノードに当たる最小線幅14nmの形成が可能としており、低消費電力・低コストで最先端ロジック半導体製造が可能としています。
この技術は半導体以外でも利用する事ができるとしており、数十nmの微細構造であるXR向けメタレンズなどにも利用できるとしています。
2023年10月の発表時点で、キオクシアの四日市工場で量産性の検証を行っている画像も掲載されていました。
このナノインプリント技術を利用した半導体製造装置が「FPA-1200NZ2C」となります。
納入
キヤノンによると、FPA-1200NZ2Cが米国のテキサス大学オースティン校が支援するコンソーシアムであるTexas Institute for Electronics(TIE)に出荷されることを発表しました。TIEは、IntelやSamsung、NXPのような半導体企業や、州政府、国立研究所などが支援しており、さらには米国国防省の機関である国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Projects Agency / DARPA)にも支援されています。
キヤノンは、TIEを通じてオープンアクセス化された半導体の研究開発・施策施設の提供を行い、先端パッケージング技術を含む先端半導体技術の課題解決に貢献するとしています。