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AMD、最大192コアの第5世代「EPYC」を発表 〜 Zen 5版とZen 5c版もリリース

3行まとめ

AMDは、新型のデータセンター向けCPUである第5世代「EPYC」を正式に発表しました。

第5世代EPYC

第5世代EPYCは、Zen 5あるいはZen 5cを採用したEPYC製品です。ともにTurinという開発コードで開発されています。

ではラインナップを見ていきましょう。

Arch コア数 スレッド数 ベース
クロック
ブースト
クロック
TDP L3キャッシュ 1KUでの
単価
9965 Zen 5c 192 384 2.25 GHz 3.7 GHz 500 384 $14,813
9845 Zen 5c 160 320 2.1 GHz 3.7 GHz 390 320 $13,564
9825 Zen 5c 144 288 2.2 GHz 3.7 GHz 390 384 $13,006
9745 Zen 5c 128 256 2.4 GHz 3.7 GHz 400 256 $12,141
9645 Zen 5c 96 192 2.3 GHz 3.7 GHz 320 384 $11,048
Arch コア数 スレッド数 ベース
クロック
ブースト
クロック
TDP L3キャッシュ 1KUでの
単価
9755 Zen 5 128 256 2.7 GHz 4.1 GHz 500 512 $12,984
9655 Zen 5 96 192 2.6 GHz 4.5 GHz 400 384 $11,852
9655P Zen 5 96 192 2.6 GHz 4.5 GHz 400 384 $10,811
9565 Zen 5 72 144 3.15 GHz 4.3 GHz 400 384 $10,486
9575F Zen 5 64 128 3.3 GHz 5.0 GHz 400 256 $11,791
9555 Zen 5 64 128 3.2 GHz 4.4 GHz 360 256 $9,826
9555P Zen 5 64 128 3.2 GHz 4.4 GHz 360 256 $7,983
9535 Zen 5 64 128 2.4 GHz 4.3 GHz 300 256 $8,992
9475F Zen 5 48 96 3.65 GHz 4.8 GHz 400 256 $7,592
9455 Zen 5 48 96 3.15 GHz 4.4 GHz 300 192 $5,412
9455P Zen 5 48 96 3.15 GHz 4.4 GHz 300 192 $4,819
9365 Zen 5 36 72 3.4 GHz 4.3 GHz 300 256 $4,341
9375F Zen 5 32 64 3.8 GHz 4.8 GHz 320 256 $5,306
9355 Zen 5 32 64 3.55 GHz 4.4 GHz 280 256 $3,694
9355P Zen 5 32 64 3.55 GHz 4.4 GHz 280 256 $2,998
9335 Zen 5 32 64 3.0 GHz 4.4 GHz 210 256 $3,178
9275F Zen 5 24 48 4.1 GHz 4.8 GHz 320 256 $3,439
9255 Zen 5 24 48 3.25 GHz 4.3 GHz 200 128 $2,495
9175F Zen 5 16 32 4.2 GHz 5.0 GHz 320 512 $4,256
9135 Zen 5 16 32 3.65 GHz 4.3 GHz 200 64 $1,214
9115 Zen 5 16 32 2.6 GHz 4.1 GHz 125 64 $726
9015 Zen 5 8 16 3.6 GHz 4.1 GHz 125 64 $527

前世代のEPYCはGenoaとBergamoで、EPYCとしては2年ぶりのアップデートとなっています。

Zen 5搭載のEPYCシリーズは最大128コア256スレッドでGenoaの後継となっています。一方でZen 5c搭載のEPYCシリーズは最大192コア384スレッドで、Bergamoの後継となっています。Zen 5搭載EPYCはデータセンター向けの高性能なプロセッサが必要な場面向けのCPUで、Zen 5cはクラウドなど物理コア数が必要な場面向けの効率プロセッサとなっています。

現時点で、Intelが288コアのXeon 6の存在を明らかにしているものの製品としては投入していないため、192コア384スレッドのEPYC 9965は最大コア数のx86 CPUとなります。

第5世代EPYCは、ソケットなどの互換性を第4世代EPYCと共通化しており、BIOSなどのアップデートなどは必要になるものの、プラットフォームは流用されると考えられています。

では、それぞれの特徴を見ていきます。

Zen 5とZen 5cの大きな違いとしては、キャッシュの大きさです。Zen 5では1コアあたり4 MBのL3キャッシュが搭載されますが、Zen 5cでは2MBとなっています。これによってコアあたりの面積が小さくなり密度が高くなっています。

ただし、それ以外の仕様についてはクロックがやや低めに設定されていること以外に違いはなく、IntelのPコア/Eコアと異なり、対応している命令セットにも差はありません。これはすなわち、高効率なZen 5cでもAVX-512が利用可能であることを意味しています。

また、そのAVX-512についても、Zen 4/Zen 4cでは256-bit演算器を2つ用いた強引な実装であったんに対して、Zen 5/Zen 5cでは512-bitの演算器が搭載されており、性能と効率が向上しています。

Zen 4からZen 5にかけては、エンタープライズとクラウド向けのIPCが17%、HPCやAI向けのIPCが37%向上しているとしており、大きな性能向上を果たしています。

製造プロセスについては、Zen 5を採用するCCDにはTSMC 4nmが、Zen 5cを採用するCCDにはTSMC 3nmが採用されており、最先端の製造プロセスでの製造となっています。

インターフェイスは、最大12チャネルのDDR5-6400、2ソケットで160レーンのPCIe 5.0を搭載しています。さらに新たな進化点としてCXL 2.0に対応しています。

性能

競合となるのはIntelの第5世代Xeon SP(スケーラブルプロセッサ)あるいはXeon 6です。

第5世代Xeon SPのXeon 8592(64コア)と比較して、EPYC 9965(Zen 5c 192コア)は、ビデオトランスコーディングやビジネスアプリケーションの分野で最大4倍、HPCアプリケーションで最大3.9倍、仮想化インスタンスで1.6倍の性能を持つとしています。単純にCPUのコア数以上の差が生まれているのが面白い。

発売

第5世代EPYCは、すでに生産とOEMへの出荷が開始されており、本日からCiscoやDell、HPE、Lenovo、Supermicroなどから搭載製品が登場するとしています。

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