GlobalFoundries(GF)とIBMは2日、IBMがGFに売却した事業の企業秘密事項をRapidusを含む他社に提供したとして、GFがIBMを提訴していた紛争について和解したことを報告しました。
訴訟
この問題は、2023年4月19日、IBMがGFに売却したマイクロエレクトロニクス事業の企業秘密事項を、RapidusやIntelを含むIBMのパートナーに提供していたとして、その保証的、懲罰的損害賠償と、売却された企業秘密のさらなる開示や使用の差し止めを求めて、GFがIBMを相手にニューヨーク州南部地区の連邦裁判所に提訴したというものです。
なお、マイクロエレクトロニクス事業は、2015年にIBMからGFに売却されていました。GFはその時点で最先端プロセスの製造を行っていましたが、7nmから撤退し、その後最先端プロセスの開発を行っていません。この時、IBMの思惑としてSystem Zで使用するための7nmプロセス製造のための技術をGFに提供し、GFで製造する計画だったのが破綻したため、2021年にIBMはGFを非難し、補償を求めました。
この企業秘密には、2027年に稼働開始を予定していた日本の官民合同プロジェクトであるRapidusに提供していた基礎技術も含まれていたこともあり、日本でも注目が集まっていました。
和解
2日、GFとIBMは進行中の訴訟で和解に達し、両者間の契約違反、企業秘密、知的財産権の申し立てを含む全ての訴訟問題を解決したことを発表しました。これによって、両者は相互に関心のある分野での新たなコラボレーションの機会を模索できるようになるとしています。
日本への影響
前述の通り、GFが取り上げている企業秘密にはRapidusに提供された先端半導体製造プロセス技術に関するものも含まれています。Rapidusの2nm技術はIBMの技術提供によって実現していることもあり、この借りにこの訴訟でIBMの技術を使用できなくなった場合、Rapidusは操業を開始できなかった可能性がありました。
結果として、和解となり問題は解決しました。この問題の解決にRapidusないし日本政府が関わったかどうかは不明ですが、Rapidusは操業までの法律的な問題を解決したことになります。
なお、Rapidusは2027年に量産開始としているプロセスについて年内に試験生産を開始する計画となっています。