AMD、「Radeon RX 9070」シリーズを正式に発表

3行まとめ

AMDは、RDNA 4アーキテクチャを採用した「Radeon RX 9070」シリーズを正式に発表しました。

RDNA 4

RDNA 4はAMDの新しいゲーミング向けGPUアーキテクチャです。AMDの戦略によれば、RDNA 4を採用する「Radeon RX 9000」シリーズは、GeForce RTX 5090と競合するようなエンスージアスト向けの製品は展開せず、ミドル以下の製品に重点を置き、価格で勝負するとしています。Radeon RX 9070 XTが、このシリーズの最上位モデルにはなるかは不明ですが、Radeon RX 9090のような製品が登場することはないでしょう。

RDNA 4の製品の特徴をみていきます。

まずは、アーキテクチャの更新。Compute Unitの効率改善とクロックの向上による全体的な性能向上が見られています。具体的には、レジスタの扱いが挙げられます。RDNA 4でのレジスタは、必要時に確保し、終了後に開放することができるようになったことにより、メモリレイテンシの改善と効率向上によるシェーダーの性能向上を果たしました。メモリ自体も256-bitバス幅で20GbpsのGDDR6を新たに採用します。

さらに、第3世代Infinity Cacheとする新しいキャッシュとメモリ構造を採用しました。RX 7900 XTでダイごと分離したInfinity Cacheは、再びモノリシックダイに戻っており、レイテンシが削減された可能性があります。

特に性能が向上したのがレイトレーシングの部分。レイのインターセクション処理用の物理ユニットの個数が2倍になった他、BVHとオリエンテッドバウンディングボックス(OBB)の改善やレイトラバーサルなどの高速化などが図られています。これにより、レイトレーシングの性能が2倍に向上。

また、AI向けにも強化が施されており、RDNA 3と比較して、スパース性なしで1サイクルあたりのFP16のスループットを2倍に向上。スパース性ありだと性能が4倍、INT8に限ると9倍の性能向上となりました。そして、FP8フォーマットに新たに対応します。ピークAI性能(INT4)では、製品として1,000 TOPSを超えるなど性能が向上しています。

その他、H.264の品質が25%、HEVC(H.265)の品質が11%向上、AV1エンコーディングの効率が向上しました。更に、AV1とVP9のデコードが改善され、メモリアクセスが削減されています。全体として、最大8K/80fpsのエンコード・デコードに対応したとしています。

ビデオ再生においては、ビデオフレームのスケジューリングがGPUにオフロードできるようになりました。

接続としては、PCIe 5.0に対応しました。ゲーミングにおいて効果を得ることは少ないですが、CPUとの帯域を要求するようなAIやクリエイティブの分野では一定の効果が見込めます。

そのゲーミングについてですが、シャープニングが改善されており、Radeon Image Sharpening(RIS)がRIS 2として進化。品質の向上が見込まれます。

製品

新しく登場した製品は、「Radeon RX 9070 XT」と「Radeon RX 9070」です。

RX 9070 XT RX 9070
CU数 64 56
RT Accelerator 64 56
AI Accelerator 128 112
ブーストクロック 2.97 GHz 2.52 GHz
メモリ 16GB
GDDR6
16GB
GDDR6
FP32性能 48.7 TFLOPS 36.1 TFLOPS
FP16性能 97.3 TFLOPS 72.3 TFLOPS
最大AI性能 1,557 TOPS 1,165 TOPS
TBP 304W 220W

両方の製品は、TSMC 4nmで製造されています。

RX 9070 XTのトランジスタ数は、539億基で、RX 7900 GREの538億基と比較すると微増。逆にRX 7900 XTが580億基ですので、それから見ると減少しています。同じグレードと比較すると、RX 7700 XTが281億なので、ここから見ると大幅増となっています。

規模的には、RX 7000シリーズからみるとハイエンドクラスで、AMDもRX 9070シリーズは4Kゲーム向け。一方で、価格は1440p向けのミドルクラスに抑えられているとしています。前述の通り、Radeon RX 9000シリーズは、GeForceに対して価格面で勝負を挑む格好になるため、コスパの高さは重要です。

性能的に見れば、4K最大画質設定で、RX 6800 XTと比較して38%、RTX 3080と比較して26%向上となっています。

価格

価格はRX 9070 XTが599ドル、RX 9070が549ドルとなっています。規模的に見れば、RTX 5070よりも上位の性能を持ちながら、価格はお安い。希望小売価格だけでなく、普通に流通する価格を考えてもGeForceよりも安価になることが考えられるため、比べるとだいぶ安価に手に入るでしょう。

発売日は、3月6日です。

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