
Qualcommは、マイコンやSBCを開発しているArduinoを買収したことを発表しました。更に、QualcommのDragonwing SoCを搭載した新しい「Arduino UNO Q」と統合開発環境(IDE)の「Arduino App Lab」も発表しました。
Arduino UNO Q
「Arduino UNO Q」は、Qualcommの組み込み向けARM SoC「Dragonwing」を搭載したSBC(シングルボードコンピュータ)です。
搭載されるのは「QRB2210」。このSoCには、2 GHzで駆動する4コアのCortex-A53 CPUと、845 MHzで駆動するAdreno 702 GPU、2基のISPが内蔵されます。これまでのArduinoのことを考えるとかなり性能が良く、DebianとYocto Linuxを搭載した「Upstream Linux」で動作します。
実際には「デュアルブレイン」と呼ばれる形になっており、Debianが動作するプロセッサと、Zephyr OSが動作するリアルタイムコントローラが組み合わせられているようです。性能と信頼性を両立した形になります。コントローラの方にはCortex-M33が採用されているようです。
また、このQRB2210には、デュアルDSPが搭載されており、AI推論なども行うことが可能です。
ラインナップは、2GB RAM + 16GB eMMCモデル(ABX00162)が44ドル(約6,644円)、4GB RAM + 32GB eMMCモデル(ABX00173)が59ドル(約8,910円)となっています。日本では、それぞれ8,000円、1万円程度での展開になりますかね?
製品は年末までに出荷されるとのことです。Arduino Storeのほか、RS Components、DigiKey、Mouser、Macfosなどから購入可能です。おそらく、日本では公式やRS Componentsのほか、スイッチサイエンスや秋月電子通商などから手に入れられると思います。
インターフェイスには、USB-Cのほか、Wi-Fi 5、Bluetooth 5.1などに対応します。
Arduino App Lab
また、同時にArduino App Labという新しい統合開発環境(IDE)も発表されました。
こちらは、RTOS、Linux、Python、AIを統合した新しいIDEであり、ビルド・テスト・デプロイをより簡素化するとしています。
また、将来的にQualcomm AI Hubにも対応する予定で、Arduinoで高度な推論が扱えるようになりそうです。
組み込み強化のQualcomm
Qualcommは、組み込み向けのエコシステムを強化しています。中心にあるのは「Dragonwing」ですが、組み込みの代名詞とも言える「Arduino」を買収したことはかなり興味深いです。
今後、Qualcommのエコシステムがどのように組み込み向けに展開されていくのか、期待です。