錦です。
ars technicaによりますと、GoogleがRISC-V Summitに登壇し、RISC-V向けのAndroidの開発を本格化させ、Armと同等のプラットフォームにすることを明らかにしました。
Android RISC-Vの動向
私は知らなかったのですが、Androidでは9月の時点でRISC-V向けのパッチが提供されていたようで、Androidのリポジトリを見てみると、11月にRISC-V向けのツールチェーンが追加されてるのが確認できました。また、RISC-VでリードしているAlibaba Cloudと中国科学院はRISC-VにAndroid 10の移植を開始したと明らかにしており、AOSPやGoogleもこれに協力しているそう。
まだNishiki-Hubでは確認できていませんが、Androidのレポジトリにriscvブランチがあり、すでにビルドシステムが稼働しているんだそうです。現時点で入手できるのはコマンドラインのみで、今年の初めまでにエミュレータでのサポートを開始し、第1四半期の間にJavaのワークロードランタイム(ART)が提供されるとしています。
そして、今回の発表によれば、GoogleはAndroidにおけるRISC-VプラットフォームをArmと同等にする計画があるそう。GoogleでAndroidエンジニアリングディレクターを務めるLars Bergstrom氏は、AndroidのRISC-Vビルドをリリースするにはまだ多くの作業がいるとしており、最適化には数年かかるとしていますが、Armと同等のプラットフォームになることを目標としているとしています。なお、GoogleはAndroidでのRISC-Vのサポートを64bitに絞るとしています。
アプリの対応は容易
Androidアプリケーションは基本的にJavaコード(あるいはKotlin)で開発されています。AndroidのJavaも他のJavaと同様に、中間コードへの変換があってからバイナリに変換されるので、基本的にランタイムが対応すれば様々なプラットフォームで利用することができます。
そのため、ARTさえRISC-Vに対応すれば、多くのアプリケーションは何もせずにRISC-Vプラットフォームで動作するようになります。また、Javaにはないネイティブコードがあったとしても、それを移植するだけですみます。
追い詰められるArm
オープンなRISC-Vの躍進は、同じようなことをビジネスモデルにしているArmに大きな影響を与えることになるでしょう。
特に、Qualcomm対Armの法定闘争ではArmの強権的なビジネスモデルが明らかになり、IntelやAMD、AppleもRISC-Vへの投資を始めていると見られます。
そのような中、Armはますます追い詰められていくと見られ、NVIDIAによる買収が失敗した中、Armの親会社であるソフトバンクが計画するArmのIPOは成功するのでしょうか・・。
関連リンク
- ars-technica