錦です。
今回は、先日noteに久々に投稿した「5Gの戯言」という文章を転載します。いつもと口調が違うほか、少しなれていないので、、、許してください。
ちなみに、noteの文章から一部改変しています。
2019年は「令和元年」であるとともに「5G元年」でもあった。これは世界的に5Gの技術が実際に商業利用され始めたからだ。特に、米国と韓国では5Gサービスの開始が早かった。日本において5Gにサービスが始まったのは今年春、3月下旬から4月上旬にかけて、まずNTTドコモ、SoftBank、KDDI auがサービスを開始、次いで楽天が5Gに参入した。今回は5Gとは一体何なのか、使うとなにかメリットがあるのかと言うことを、私なりに考え、控えている次のスマホ選びに役立てたいと思う。戯言だと思って最後まで見ていただきたい。
5Gは「第5世代移動通信システム」の略であり、GはGenerationの略である。4Gの後継という意味なのは言うまでもないだろう。基本的に移動通信システムというのはおおよそ10年ごとに進化する。4Gのサービスが開始したのは2012年の事。誤差はあるとはいえ、大方10年経過していると言える。ただし、この頃の4Gはあくまでも3Gの延長線という規格であり「3.9G」や「3.5G」というもののようであった。ただし、4Gの規格を定めたITU(国際電気通信連合)は別に「3.9G」や「3.5G」を「4G」と呼んでいい声明を公開し、実際に「3.9G」や「3.5G」が使われることはなかった。このエントリはあくまでも5Gを扱うものなので4Gの話はここで終わりにしておこう。
5Gのサービスにおいて、何が重要視されているか。移動通信システムは、規格のアップデートごとに通信速度が向上するだけでなく、その役割も増していく。その時代に合わせて機能が追加されていくということだ。5Gの新機能、変更点の大きな要素は3つ。「高速大容量」「高信頼低遅延」「多数同時接続」である。これらを5Gを取り上げたニュースなどで見かけたことがあるかもしれない。ただ、実際にこれがどういったものなのかは理解している人は少ないと思う。私も決して完全に理解しているわけではないが、このエントリの主軸は「私が調べたものを私の言葉書くこと」なので、私の言葉で説明していく。
まず「高速大容量」なのだが、言葉のとおりである。移動通信システムは、よく知られている通り携帯電話やスマートフォンで使われるものである。これらでやり取りするものは元々、音声やメールだけだったが、スマートフォンの発展により画像や動画、ゲームなどというより大容量なデータを通信する機会が増幅した。4Gが策定されていた2000年代後半においてもそれ自体は懸念されていたようだが、さすがに10年前。特に今の形のスマートフォンが初登場する前後に策定された規格でここまで対応できるはずがないという話である。では、高速という部分は言うまでもなく「通信の高速化」であるが、大容量化とは一体なんなのか。ここでは、移動通信システムを高速道路として表現する。まず、高速化では、その高速道路を通る車(データ)の通過する速度が向上するというもの。これによりデータを高速でやり取りできるようになる。大容量化では、高速道路の車線を増やすというもの。一つのデータの量=車の数 として考えたとき、例えば容量の大きい=車の台数が多い 動画をダウンロードしたいというときに一度に、車線が少なければ大量の車を通過させる事はできず、渋滞などが発生して一度に大量のデータをやり取りすることが難しくなり、その結果、遅延や低速化へつながる。しかし、車線を増やすことによりそれは解消され、よりスムーズにデータのやり取りができる。ただ、高速化については弊害を伴う。それはモバイル端末側の電力問題である。モバイル環境は基本的に軽量・小型という制約がつく。バッテリー容量を増やせば端末の重量は増し、逆に軽くすればバッテリー容量が減る。結局、5G端末は4G端末よりも消費電力が大きくなってしまう。ある種のジレンマである。具体的な対策自体は端末側で施されており、Apple初の5G対応機種である「iPhone 12」シリーズでは、必要に応じて4Gと5Gを切り替えるオプションが用意されている。このオプションの要は、容量が小さいもの、例えばテキストデータの送受信に電池を多く消費する5Gよりも、テキストデータくらいなら速度に大して差がない4Gを使った方が効率的であるということだ。5Gが4Gの機能を包括しているとはいえ、消費電力の問題は4Gに頼らざるを得ない。実は5Gは4Gの力を得て成り立っているという側面もある。
2つ目「高信頼低遅延」だが、「高信頼」とは単純に接続の信頼性が高いことである。通信における信頼性とは、データの紛失や乱れが起こらないことだ。つまり、送受信したいデータが送受信したい形式・内容のまま送信することができるということ。具体的には、データの破損などが発生しにくくなったと考えればいいだろう。「低遅延」はその名の通り遅延を少なくするということだ。2017年にPUBGがリリースされ、その後にもPUBG MobileやFortniteなど、オンラインバトルロワイヤルゲームがスマートフォン市場でも流行した。音声通話やオンラインゲームをプレイするにあたっては、通信速度よりも遅延の小ささというものが重要になってくる。この手のゲームをする人ならpingというものをご存知であろう。pingは遅延の数値である。4Gではpingがおおよそ50msくらいで推移するが、5Gではこれが15msくらいで推移するという。5Gの遅延は4Gの1/3くらいの遅延となっている。遅延が小さくなることにより、ゲームプレイや音声通話における反応が速くなり、リアルタイムでカラオケデュオができたり、ゲームラグで「こいつキルしたのに・・・生きてやがる」の発生率が低くなる。その他、スポーツ観戦についても低遅延による革命が起こるかもしれない。低遅延とは、いわば離れていてもリアルタイムでその場所にいる感覚を味わえる。前述の大容量と合わせてVRコンテンツなどを生配信で、遅延も最低限に抑えて配信できる。Softbankでは、ホークス戦がVRで配信された。ちなみに、4Gにしか対応していないスマホをお持ちのユーザーは、比較的光回線が無線になるポイントが端末から近くなるWi-Fiに接続することで遅延を小さくする事ができる。そもそも、現時点で遅延を最小にする最強の方法は、直接光回線に接続するということである。まだ、無線は有線に遅延や速度では勝ることができない。ただ、スマホで有線はなんか違う。スマホでは基本的に無線がメインであり、そもそもLANに対応しているスマホもそう多くないだろう。対応していてもLANに変換するアダプタは割と高価だ。無線は、無線の基地局(ルータ含む)との距離によっても遅延が前後する。流石に5GやWi-Fiでも距離には抗えない。これはまたあとの方で詳しく解説したいが、5Gと4Gの違いとして基地局の数があり、将来的に5Gの基地局の数は4Gのそれを超える。理由は5Gの電波は飛びにくいから広範囲に5Gを提供するためには大量の基地局で未提供エリアを潰すしか無いからだ。近い未来、街のいたる所に5Gの基地局が設置される。この話は後でする。つまり何が言いたいかというと、5Gは4Gよりも基地局の密度が高くなり、必然的に基地局との距離が小さくなる。5G自体の規格での遅延の削減もあるが、基地局との距離も少なからず低遅延に力を貸すことになるだろう。
最後の「多数同時接続」は、一つの基地局に接続できる端末を従来よりも増やすということである。総務省によれば、4Gでは数個だった同時接続数が5Gでは100個程度に増えるとのこと。情報通信研究機構(NICT)が行った実証実験では、約2万台の端末に接続することが確認された。5Gがメインとするのはやはりスマートフォンになるであろうが、現在進行中の「スマート〇〇化」は本当に世の中のありとあらゆるものに適用されていく。スマートフォンの登場で一人一台以上モバイル通信に接続できる端末を持っている時代になった。その上、タブレットの登場や、SIM搭載PCなどの普及などにより、明らかに「ネットに繋がるモノの数」は数倍にも膨れ上がった。そして、ICT化が進む中で、5Gが登場した後はこれが更に膨れ上がることは間違いない。特にコロナ禍におけるリモートの発達も、接続台数を増やすことになった。その中で、一つの端末で複数の子機に接続することが重要になってきたが、接続台数の限界という課題が出てきた。そこで5Gにすることでこれを増やして、あらゆるモノをネットにつなげようという取り組みが企画され始めている。例えば、災害が発生したときに、避難者に「スマートウォッチ」のようなウェアラブル端末を配布し、接触なしに安否確認や健康観察を行うということが政府から提案されており、形になる予定だ。
この3要素が5Gの主眼となっている。総務省は平成30年版 情報通信白書で「4Gまでが基本的に人と人とのコミュニケーションを行うためのツールとして発展してきたのに対し、5Gはあらゆるモノ・人などが繋がるIoT時代の新たなコミュニケーションツールとしての役割を果たす」としており、単に5Gが「ネットに接続するためのツール」ではないことを強調している。実際、少子高齢化による人材不足や、地方の過疎化に対応する方法として、遠隔で作業を行うことや、データや物事をやり取りすることは適切であるだろう。
次に、5Gの規格を見ていく。ここまでは5Gの概要と活用の仕方を解説してきたわけだが、ここからよりマニアックになる。ただ、これを頭に入れておくと5G端末を選ぶときに役立つかもしれない。
5Gには2つの種類がある。厳密に言えばもっと多いのだが、現在だけを見れば「Sub-6」と「mmWave」に絞れる。この2つの大きな違いは、使用する周波数帯が違う。そもそも、5Gは電波だ。電波は周波数によって変わる。日本の5Gには3.7GHz帯・4.5GHz帯・28GHz帯が割り当てられており、2019年の春に、それをKDDI・NTTドコモ・Softbank・楽天に割り振った。Sub-6は3.7GHz帯と4.5GHz帯のことを指し、mmWaveは28GHz帯のことを指す。5Gにおいてミリ波とは「mmWave」のことを指している。ちなみにミリ波は30GHz以上と定義されているので厳密には日本のmmWaveはミリ波ではない。まあただ、28GHzも四捨五入すればほぼ30GHzにもなるし、海外では39GHzが使われていたりするので広義的にミリ波と呼ばれている。5Gにおけるミリ波は「24.25GHz~52.6GHz」となっている。ミリとは波長の大きさのことで、その名の通りミリ波は波長が1~10mmになっている。
話は変わって、スマートフォンには対応する「バンド」というものがある。バンドとは帯域のことで、周波数が分割して分類されている。5Gではそれらに「n〇〇」というバンドが付番されている(4Gにも同様のバンドがあるがnはつかず数字のみである)。スマートフォンは対応していないバンドの周波数帯には接続できない。逆に行ってしまえば、キャリアが違えど、バンドさえ同じであれば、接続することができる。ちなみに、前述の周波数帯の割当だが、これはバンドよりもさらに細かい単位で割り当てられている。日本においてのキャリアの周波数帯の割り当ては次のとおりだ。
日本のキャリアのバンドには全キャリアともにn77が割り当てられ、n79がNTT docomoにのみ割り当てられている。n77もn79もともにSub-6のバンドである。n78というのもSub-6のバンドの一つであり、世界共通のバンドとなっている。なので、世界各国に観光や仕事でいったときの国際ローミングにはn78が使われる見込みだ。n78の帯域はすべてn77の一部と共用しているので、実質日本でもn78を利用することができる。ただし、楽天とSoftbankのn77はn78を包括していない周波数帯なので注意が必要だ。
そして、ミリ波にもバンドがある。ミリ波のバンドは「n257」。これは日本の4キャリアすべてが割り当てられている。このバンドは韓国やロシア、インドネシアなどでも使われており、米国やウルグアイなどで利用できる「n261」というバンドが互換性を持っている。楽天に割り当てられた周波数帯では「n258」が部分的に、ドコモとKDDIに割り当てられた周波数帯では「n261」がほぼ全面的に、ソフトバンクに割り振れた周波数帯では「n261」が部分的にそれぞれ包括している。n258は中国や欧州で使われている。
電波の周波数は高ければ高いほど、光の性質に似てくる。これはつまり、高ければ高いほど光速に近づくということでもあるが、直進性が強くなり、障害物に弱くなり、水分による減衰が大きくなる。4Gとほぼ同じ周波数帯を利用するsub-6では基本的にこの問題が起きにくいのだが、sub-6からかなり周波数が高いミリ波ではこの問題が起きやすくなる。前述の遅延の部分で触れた電波が飛びにくいというのはこれに起因する。5Gのインフラ設備が整いにくいのは、sub-6Gの整備ができてもmmWaveの整備が追いつかないということである。mmWaveは、この問題に対策するためかなりの密度で基地局を設置する必要がある。
ここで「基地局」を語弊を招かないように訂正しておくと、ここでの基地局は、キャリアが設置しているアンテナのことを指している。ただしアンテナと書いてしまうと、端末側にもアンテナが付いており、そちらと混同してしまうため、このキャリアの設置した「5Gを提供するアンテナ」は広義的には基地局に含まれるので基地局と表現する。なので、基地局が街のあちこちにというのは、決して電波塔が至るところに建設されるわけではないことにご留意願いたい。
mmWaveはこのように電波の提供方法自体に課題があるものの、実はかなり大きなメリットがあるのも事実である。先程、光の性質に似ており光速に近いという話をしたが、通信速度は"基本的に"Sub-6よりも速くなる。理論値は下り4.1Gbpsとなっている。また、伝送情報容量が大きいこともメリットになる。これは5Gの新要素の一つ「高速大容量」に当てはまるメリットだ。また、周波数が高ければ高いほどアンテナは小さくなる。なので至るところに基地局を設置しなければならないが、一つ一つの設置の難易度自体はかなり低い。今現在でも、ガラス型基地局やマンホール型基地局などが計画されている。
あともう一つ、現状の5GスマートフォンにはSub-6に対応していてもmmWaveには対応していない事がある。例を上げるとiPhone 12がそれになる。iPhone 12では米国モデルのみn260とn261に対応するが、日本モデルでは対応せず、日本で提供されるn257をサポートしたiPhoneは今の所、世界のどこにもない。ただし、これはiPhoneやスマホの購入を待つ理由にはならない。mmWaveには先程あげた提供自体に大きな課題があり、都市部では2年ほどで大方のエリアでmmWaveを利用可能になるだろうが、都市から少し離れれば、近郊地域でもmmWaveが提供されるか怪しい。少なくとも買い替え周期までにmmWaveを満足して使えるユーザーはかなり限られる。実は、今mmWave対応のスマホを購入したところで、mmWaveが使えるのは都市部でもごくごくごくごくわずかなので、恩恵を受けられるユーザーは少ない。あと、この一つ前の段落で「基本的にSub-6より速い」という部分を強調したが、例外がある。キャリアアグリゲーションだ。キャリアアグリゲーションとは、複数のバンドを一つにまとめて高速化を図るというもの。5Gの規格で「Sub-6 CA」という規格が定められており、現在、世界でNTT docomoのみこれを提供している。同社によると、キャリアアグリゲーションを利用することで理論値4.2Gbpsを叩き出すことができる。なお、このキャリアアグリゲーションは、日本ではn77とn79の2つのsub-6GバンドをもつキャリアがNTT docomoだけなので、KDDI auやSoftbank、楽天では提供できない。いや、KDDIはn77の中に2つ周波数帯を持っているので、もしかしたら提供できるかもしれない。自信はない。
さて、ここまで戯言で5Gをまとめてきたがいかがだっただろうか。noteの仕様がわからず、資料を添付できなかったことで見づらくなってしまったことが申し訳ないが、Nishiki-Hubにも近々 資料や図表を添付して再編集して公開する予定なのでよければ確認していただきたい。5Gは「速い」という事が先走りして、実はあまり知られていない存在だと思っている。個人的にこのエントリを書くことで新しく知ったこともあり、この読み手の人にも5Gのことが伝わっていればいいが、そうでなくても書いた意味はあると思う。今後はこのエントリの執筆を通して学んだことをNishiki-Hubなどで活用していきたいと思う。