錦です。
DigiTimesによると、Apple、NVIDIA、AMDなどのTSMCの顧客がTSMCに対して減産を要請していることがわかりました。
背景
この背景にあるのは、今年2月から続くロシアのウクライナ侵攻を発端とする世界的な物価上昇による景気の悪化と、PC需要の急激な下落(これ個人的にはPCバブルの崩壊だと思うんですけど)、マイニングブームの収束などがあります。これらはコロナも含めて複雑に絡み合っており、結果として半導体含むいろんな業界に影響したわけです。
ただ、ポジティブな情報として、HPCや自動車向けの需要は安定しているそう。そのため、これがTSMCの業績に致命的な傷を残すというわけではなさそうです。あと、市場自体もTSMCの行く末自体は楽観視してるみたいですしね・・。
Apple
Appleは、今年秋に発売予定のiPhone 14シリーズについて量産が始まっているものの、当初の第1波生産台数当初1億台だったものが9千台に10%削減されたそうです。これに伴いApple向けシリコンも減産ということになりました。
個々からは個人の予想ですが、これに加えAppleからすればそれなりに大きな市場だった日本での大幅値上げによる需要の減少も影響しているかもしれません。
AMD
AMDは7nmと6nmのウェハを今年第4四半期と来年第1四半期で合計2万枚程度削減したそう。
ポジティブな情報とすれば、5nmが減産になっていないという点で、主に減産対象となっているのは、Zen 2・Zen 3・RDNA 2で用いられる7nmと一部のRDNA 2(Navi 24)とZen 3+で用いられている6nmのみ。Ryzen 7000番台を始めとするZen 4製品とRadeon 7000番台のRDNA 3製品は減産になっていないという点です。
NVIDIA
NVIDIAはコンシューマ向けAmpere「GeForce RTX 30」シリーズでSamsung製だったものの、「GeForce RTX 40」シリーズではTSMCを利用します。ただし、NVIDIAはTSMCとの契約を結ぶのに難航し、TSMCとのから前払い等のかなりきつめの条件が設定されています。
その前払いからゲーム市場の需要が変わり、ゲーミング需要が下落。それにマイニングブームが収束したことにより、中古GPUが多く出回るようになるというNVIDIAはトリプルパンチ多方面からトリプルパンチを食らっている状態です。
NVIDIAとTSMCの契約は最低製造台数を決める物となっており減産は短期的には難しいですが、長期的に減産するようです。また、その影響でTSMCからの出荷は23年第1四半期に遅れるとのことで、今回のレポートにより年内にGeForce RTX 40シリーズが登場することが絶望的になりました(それどころかHopperもまずいんじゃないの)。
てか、TSMCはNVIDIAにプラスアルファで注文を就けており、NVIDIAが減産するならその減産分を代替する別の顧客を見つけてこいとか言ってるみたいです。TSMCのNVIDIAに対する信頼ってうっすいなぁ。