錦です。
Intelは、日本時間昨夜行われたIntel acceleratedのウェブキャストにて、同社のプロセス技術について発表を行いました。
プロセスノード
Intelは第10世代Ice Lakeや第12世代Alder Lakeでようやく14nmの足踏みから開放されることになりました。Intel 7nmは当初の予定からは遅れつつも順調に開発が進んでおり、それ以降のプロセスについても割と順調に進んでいるようです。
IntelのプロセスとTSMCなどのプロセスを一緒にしてはならないとよく言いますが、Intelが主張している内容によれば、他社と同じプロセスノードでもIntelのほうが進んでいるとのこと。これは実際正しいみたいで、Intel 14nmがTSMC 7nmとやりあえてたのはIntelのノードが同じ世代でもかなり進んでいるからです。
割と今回の話で肝となるのは、Intelは同社の10nmで他社の7nm以上の性能を持つと考えているということです。
プロセスノードの新ブランド
Intelは、プロセスノードについて、これまでのように「10nm SuperFin」や「10nm Enhanced SuperFin」のようにそのまま表現するのではなく、新しいブランドとしての名前を導入し、これ以降はそれを使って表現するとしています。
これによって、同じ10nmでも「10nm」「10nm SuperFin」「10nm Enhanced SuperFin」のように、同じゲート長で複数の世代が存在してしまうときに、別々の名称をつけることが出来ます。
また、プロセスノードというのは基本的にトランジスタのスイッチ回路である「ゲート」の長さを示していますが、これはあくまでも2Dの長さを示しています。今は3D形状のゲートが導入されているので、これまでの何nmの示し方では性能を指し示すことが難しくなっているとのこと。
おそらくこれは最終的にIntelの新事業IDM 2.0にも繋がりコンシューマにわかりやすさを提供するんじゃないでしょうか。ただ、そのブランドの付け方はIntelの考え方に基づいているのでわかりにくくなってる気もするけどね!!!!
なお、現行の10nmや10nm SuperFin、14nm+++などの名称は変わりません。
Intel 7
まず、Intel 7と新しく名付けられたのは、これまで「10nm Enhanced SuperFin」と呼ばれていたやつです。
Alder LakeとRaptor Lakeに採用される事がわかっているプロセスルールですね。
10nm SuperFinと比較して10~15%程度電力あたりの性能が改善されるとのこと。
Intelがこの時点で明らかにできる範囲での採用は第12世代の「Alder Lake」とIce Lake-SPの後継となる「Sapphire Rapids」となっています。
ちなみに名前の理由は「10nm Enhanced SuperFin」は他社の7nmくらいの性能があるからわかりやすいでしょということだと考えられています。
Intel 4
ついで「Intel 7」の後継となる「Intel 4」これは、従来の7nmです。
IntelではこのInte 4からEUV(極端紫外放射)での製造が始まります。Intel 7と比較して20%ほど電力あたりの性能が改善されるとのこと。
この世代では、2023年に登場する第14世代とみられる「Meteor Lake」と、Sappire Rapidsの後継になるGranite Rapidsに採用されるそう。
Meteor Lakeについての新技術も同時に発表されましたが、それは個々で取り上げるとややこしくなるので、別で記事にします。
Intel 3
さて、問題はここから。なんとここから先はnmでの置き換えがわからない領域になります。
Intel 3は、Inte 4と比べて更に18% 電力あたりの性能が改善するとのこと。2023年の後半から製品の投入が始まります。
Core系統で言えば、第15世代のLunar Lakeとかになるのでしょうか。
Intel 20A
ここで章を変えます。
2024年に投入されるIntel 20Aでは、FinFetから「RibbonFET」という技術が投入されます。
このRibbonFETは、FinFETよりも強化されたトランジスタ技術となっており、スイッリングスピードと電力を維持しながら底面積を小さくします。
FinFETと比べてRibbonFETのほうが底面積が小さくなることがわかります。これによって、構造的にもトランジスタが小さくなり、密度も向上することになります。nmで表される2DでのプロセスノードがIntelにとってそれほど重要ではなくなったというのはこういったFET技術に由来する部分が大きいのです。
その他、20Aには「PowerVia」と呼ばれる技術が採用されています。これは、チップ背面の電力供給用の貫通孔を集中させることでノイズを減らし、信号の品質を改善するというものです。
無論、IDM 2.0でもこれは導入され、すでにQualcommとIntel 20Aを使ってチップを製造する契約を結んだことを明らかにしました。
Intel 18A
そしてそれの後継となるのが2025年に投入される「Intel 18A」。
こちらについては、現在開発中であるということもあり公開された情報は決して多いわけではなく、あくまでもRibbonFETの更新などでの性能の向上を図るということのみが明かされています。
1年1世代
Intelはプロセスノードのブランドを改めることにより新技術の擁立とその更新をより明確にすることができるようになりました。
これまでは14nmから14nm+、10nmから10 SuperFinなど、改良しても「あくまでも14nmや10nmという同じプロセスの中での改良」と考えられてしまうというデメリットが有りました。
今回はのブランドではそういったものではなく明確な改良がわかりやすくなったんじゃないかと思います。プロセスルールの進化をわかりにくくしたわけではないというわけみたいです(ただ、個人的に10nm Enhanced SuperFinをIntel 7にするとか、7nmをIntel 4にするとかは正直どうなのかとは思いますけどね)。
そして、もうお気づきの方もいらっしゃると思いますが、2025年の少なくともIntel 18Aが投入される2025年までは毎年新しいプロセスが投入されることになるようです。
まとめ
サラッとまとめます。
- Intelがプロセスルールの名称を変更
- 2024年投入のRibbonFETでは割と大きなアップデートがある。
Process | nm | Consumer | Server | FET | |
---|---|---|---|---|---|
2021 | Intel 7 | 10nm | Alder Lake Raptor Lake |
Sapphire Rapids | FinFET |
2022 | Intel 4 | 7nm | Meteor Lake | Granite Rapids | |
2023 | Intel 3 | Lunar Lake? | |||
2024 | Intel 20A | RibbonFET | |||
2025 | Intel 18A |