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Intel、「Intel 18A」以降の製造プロセスと既存プロセスの拡張を発表 ~ 「Intel 14A」「Intel 3-E」などを今後投入へ

3行まとめ

Intelは、Intel Foundry Service(IFS)としてIntel内外に提供しているチップ製造プロセスについてロードマップを更新しました。

2021年のロードマップ

Intelは、2017年頃からの10nmへの以降で足踏みをしたあと、2021年にPat Gelsinger氏のIDM 2.0施策の元、2025年までに矢継ぎ早に製造プロセスを投入する計画を発表していました。

現在に至るまで「Alder Lake」と「Sapphire Rapids」で「Intel 7」が、「Meteor Lake」で「Intel 4」が製品化しており、まもなく「Intel 3」が登場します。また、年内から来年にかけてはRibbonFETを採用した「Intel 20A」と「Intel 18A」が登場する予定となっており、2021年のロードマップは順調に遂行されています。

IFSはIDM 2.0施策にて、Intel以外に製造リソースを提供するサービスも開始しています。現在顧客には、AWSやシスコ、米国国防省などがいる他、ArmがIFSへの最適化を提供していたり、今後Qualcommのチップが(どの範囲でかは不明なものの)IFSで製造されることが計画されています。Intelは2030年までにSamsungを抜き、TSMCに次ぐ業界2位の立場になるという目標を新たに設定したことを明らかにしました。

今回明かされたロードマップ

今回発表されたのは、2021年に示されたロードマップを更新するもので、今後の計画となります。

Intel 18A/20A

先述の通り、年内には「Intel 20A」と「Intel 18A」が登場します。「Intel 20A」ではFinFETからRibbonFETに変更される、PowerViaという構造が採用されるという大きなアップデートがあります。RibbonFETはSamsungやTSMCのGAAFETにあたる技術で4D形状のトランジスタです。年内に登場するLunar LakeがIntel 18Aを採用するはずです。なお、これら2プロセスが、IFSで他社に開放されるのは2025年になる予定です。

Intel 14A世代

その先の話についても登場しました。

Intel 18Aの次のノードは「Intel 14A」となります。「Intel 14A」はHigh-NA EUVを利用したプロセスノードになるようです。現在もIntelはEUVを利用したプロセスですが、それがより微細化されているということみたいです。

2027年前後には「Intel 14A」とともに、その改良版となる「Intel 14A-E」が投入されます。

プロセスブランド命名規則

この先の話をする前に、Intelのプロセスのブランドについてお話しておきます。

まず、「Intel 4」や「Intel 7」のようなブランドは「他社のプロセスではこの回路の太さ(nm)と同じ性能をもつ」ということを意味しています。そのため、例えば「Intel 4」は決して4nmを意味しているものではなく、他社の4nmと同じくらいの性能を持つプロセスを意味しています。

実際、TSMCやSamsungのプロセスと比較して、Intelのプロセスはピッチが狭く密度が高いなどの利点があり、同じ世代ではIntelの製造プロセスの性能が高いということになっているため、この命名規則はわからなくもないです。

ちなみに、「Intel 20A」などのAは「オングストローム」を意味しています。正式な単位はÅです。1Åは0.1nmであるため、20Aは2.0nmを、18Aは1.8nm、14Aは1.4nmを意味していますが、これは先述の通り、実際の線幅を意味しているものではありません。

ブランド 線幅 競合が予想される
他社のプロセス
Intel 7 10nm 7nm/6nm
Intel 4 7nm 5nm/4nm
Intel 3 7nm 5nm/4nm/3nm
Intel 20A 5nm 3nm/2nm
Intel 18A 5nm 3nm/2nm
Intel 14A 3nm? 2nm以下

また、プロセスの改良や改善については「Intel 14A-E」のようにハイフンとアルファベットで表されるようになりました。Eは機能拡張を、Pはパフォーマンスを、Tは3D FoverosなどのTSV/3D搭載ノード用をそれぞれ意味しています。EとPは以前でいうと14nm+の"+"にあたるものと理解できます。

既存プロセスの改良

では話を戻します。

最新のプロセスの開発を進めるとともに、既存のプロセスの改良版が登場することも明らかになりました。これは、成熟したプロセスにも絶大な需要があるためで、より広く顧客に選択肢を用意するためのようです。

2022年の時点で、過去のプロセスのうち、Intel 14nm世代のプロセスが「Intel 16」というブランドを冠してIFSに提供されており、「Intel 16-E」とともに、主に自動車向けに提供されています。

そして、これ以降の話として、Foverosに対応した「Intel 3-T」が年内に提供されます。

この先、Intel 18Aのパフォーマンス改良版「Intel 18A-P」、Intel 3の機能拡張版「Intel 3-E」、パフォーマンス改良とTSV対応版の「Intel 3-PT」が投入され、UMCと協力したUMC 12プロセスとTower Semiconductorと協力している65nmプロセスにつても数年以内に提供されます。

今回の内容と昨年までのプロセスをまとめると以下のようになります。

ブランド 投入年 説明 世代
Intel 16 2023 14nm Intel 14nm世代
Intel 16-E 2023 Intel 16の改良版 Intel 14nm世代
Intel 4 2023 メインストリーム Intel 4/3世代
Intel 3 間もなく Intel 4の改良版 Intel 4/3世代
Intel 3-T 年内 Intel 3のFoveros対応版 Intel 4/3世代
Intel 20A 年内 メインストリーム Intel 20A/18A世代
Intel 18A 年内 20Aの改良版 Intel 20A/18A世代
Intel 18A-E 数年以内 18Aの機能拡張版 Intel 20A/18A世代
Intel 3-PT 数年以内 Intel 3-Tの性能向上版 Intel 3世代
UMC 12 数年以内
Intel 14A ~2027 メインストリーム Intel 14A世代
Intel 14A-E ~2027 Intel 14Aの改良版 Intel 14A世代

ここに、他社の状況を付記すると、TSMCが2025年後半までに2nmプロセスを量産する計画で、Samsungも2nmを2025年に量産する見込みです。ということを踏まえれば、2025~26年は2nm世代の競争となることになりそうです。ところで、Rapidusが2027年に2nm投入ですが、もしかしたら、その時点で1.4nm競争に進んでいる可能性がありますね。

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