錦です。
Intelが投資家向けのイベントで今後数年間のロードマップを明らかにしました。
Core系統のロードマップ
Intelは、今後数年間に置いて、プロセスルールを毎年のように更新していきます。2021年後半に発表されたAlder Lakeと、そのマイナーチェンジ「Raptor Lake」では、Intel 7プロセスが、Alder Lakeの後継「Meteor Lake」ではIntel 4とIntel 20A、そして外部のN3プロセスが、そしてそれ以降は外部プロセスとIntel 18Aがそれぞれ採用されるという予定です。
Intelのプロセスルールのブランドについては以下の記事が詳しいので御覧ください。
Intel、プロセスルールの名称を変更 ~ Alder Lakeにも採用の「10nm Enhanced SuperFin」は「Intel 7」になるなど - Nishiki-Hub
このロードマップでは、プロセッサの形態も含まれていて、Alder LakeとMeteor Lakeがハイブリット構造、Meteor LakeとArrow Lakeで分解構造、そして、Lunar Lake以降で超省電力で高性能という方向で進化が続きます。
デスクトップ向けのみとなる「Raptor Lake」
Alder Lakeの実質的なマイナーチェンジとなるのが今年後半に予定されているRaptor Lakeで、コチラはデスクトップ向けのみの展開になるそう。なので、Alder Lake-H/P/Uについての後継は後でご紹介するMeteor Lakeまで登場しないそうです。形的には、Coffee LakeからみたCoffee Lake Refreshみたいな立ち位置で、Alder Lake Refreshみたいな感じなんでしょうね。
Raptor Lakeでは、最大のPコアの数は変わらないものの、Eコアが最大16コアに倍増、これにより24コア32スレッドというSKUが登場することが明らかになりました。また、Alder Lakeとプラットフォームを共有し、LGA-1700のまま最大2桁の性能向上が期待できるそう。
プロセスルールもAlder Lake同様「Intel 7」プロセス(旧Intel 10nm Enhanced SuperFin)になります。
イベントでは、Raptor Lakeの実機のデモが行われ、After Effectのエンコード処理が行われました。このとき、エンコードの作業を行っているのは16スレッド分のEコアで、Pコアの使用率はさほど向上していないようです。
タイル構造を採用した「Meteor Lake」「Arrow Lake」
Intelプロセッサが次回のプロセスルールの更新を迎えるのは来年になります。「Meteor Lake」はAlder Lakeの直接的な後継となる製品で2023年に登場するラインナップです。
Meteor LakeがCoreシリーズで大きな転換期を迎えることになる世代で、Coreシリーズとして初めてタイル構造が採用されます。タイル構造とは言ってもAMDのマルチチップレット構造と同じものを指しています。
タイルには、CPU・GPU・I/O・SoCという4つのタイルが存在するそう。Intelは同梱されるGPUについて、これまでのiGPUともdGPUとも異なる物説明しており、Tile-GPU(tGPU)と名付けました。
で、このtGPUがN3プロセスで製造されるそう。N3については「外部プロセス」であることは明らかになっていますが、どこのプロセスかまでは明らかにしていません(でもまあTSMC 3nmなんでしょうね)。CPUタイルには、Intel 7から進化したIntel 4プロセス(旧Intel 7nm)が用いられます。
GPUは、次世代グラフィックエンジンと書かれていますので、Xeに続くアーキテクチャが採用される(Gen 13みたいな)ことになるでしょう。
そして、2024年の登場を予定している、Meteor Lakeの後継「Arrow Lake」はCPUタイルのプロセスルールがIntel 20Aにアップグレードされます。Meteor Lakeのマイナーチェンジのように見えましたがそうではない様子。
Arrow Lakeについては詳しい情報はそこまで明らかにはなりませんでしたが、CPUがIntel 20Aに、GPUはそのままN3プロセスで製造されることになります。
やや残念な話としては、Meteor LakeがAlder Lake/Raptor Lakeとプラットフォームの互換性があると明言されなかったことですかね。もしかしたらMeteor Lakeのタイミングでソケット・プラットフォーム変わるのかも。
Intel 18Aプロセスの「Lunar Lake」とそれ以降
Arrow Lakeの後継で2024年以降に登場することになるのは「Lunar Lake」です。
Lunar LakeではIntel 18AプロセスがCPUタイルに採用され、GPUには更に進化した外部プロセスが採用されるとされています。おそらくそれは、TSMC 2nmかSamsungなど他のファウンダリのその先のプロセスになるのでしょう。
Core系統まとめ
Core系統のロードマップをまとめます。
登場時期 | CPU プロセス |
GPU プロセス |
構造 | |
---|---|---|---|---|
Alder Lake | 現在 | Intel 7 | シングルダイ ハイブリット |
|
Raptor Lake | 2022H2 | |||
Meteor Lake | 2023(H2?) | Intel 4 | N3 | タイル |
Arrow Lake | 2024 | Intel 20A | ||
Lunar Lake | 2024以降 | Intel 18A | 外部 | 超高効率 |
Xeonのロードマップ
ついでXeonのロードマップを見ていきます。
現在は、Ice Lake-SPとCooper Lake-SPが最新のスケーラブルプロセッサ(第3世代)を担っていますがその続きとなるものです。ではまずSapphire Rapidsから今回発表された内容を見ていきます。
3月から出荷を開始する「Sapphire Rapids」
前述の第3世代スケーラブルプロセッサの後継となるのが「Sapphire Rapids」です。こちらは3月に出荷を開始する予定であることが新たに明らかになりました。
Sapphire Rapidsはマルチチップレット構造が採用され、CPUはIntel 7プロセスで製造されます。パッケージには最大4つのダイが搭載されます。CPUアーキテクチャにはIntel 7プロセスで製造されるAlder LakeのPコアの部分「Golden Cove」が採用され、AI性能やセキュリティ機能などで、これまでで最も高機能なXeonであるとしています。
インターフェイスの仕様も今日され、DDR5メモリやPCIe 5.0、Compute Express Link(CXL)のサポートなどが含まれています。
その後継「Emerald Rapids」
Sapphire Rapidsのマイナーチェンジとなるのが「Emerald Rapids」。ソケットを含めたプラットフォームとプロセスはSapphire Rapidsと共通となります。登場時期は2023年になるそうです。
大幅アプデの「Granite Rapids」「Sierra Forest」
そして、そのEmerald Rapidsの後継となるのが「Granite Rapids」と「Sierra Forest」です。ともにIntel 4プロセスからワットあたりの性能が18%向上する「Intel 3:プロセスに基づきます。Intel 3プロセスがCore系統でパスされているので、このプロセスはXeon専用になるのでしょう。
「Granite Rapids」は、Pコアと呼ばれる部分で高性能サーバー向けのラインナップとなります。一方で「Sierra Forest」は、高密度・高効率を打ち出しており、クラウドワークロード用のCPUとなります。
これについてはAMDも同様にサーバー向けとクラウド向けで別れた製品ラインナップにすることを発表しており、Granite Rapidsと競合するのが「Genoa」、Sierra Forestと競合するのが「Bergamo」ということになりそうです。
まだコア数などの詳細には触れられていないものの、Granite Rapidsはそこまでコア数が多くはないCPU、Sierra Forestはコア数が多いCPUとなるのでしょうね。
これらのCPUのアーキテクチャについては何も触れられておらず、今回はあくまでの外面だけの内容でしたが、今後もこの2つのラインナップが後続していくことが発表されました。おそらく、Rapids系が高性能向け、Forest系が高効率向けになっていくのでしょう。わかりやすいです。
Xeonまとめ
Xeonはそこまで世代が多くはなかったので、まとめる必要もないかもしれませんが。
高性能系 | 高効率系 | ||||
---|---|---|---|---|---|
シリーズ | 登場時期 | プロセス | シリーズ | 登場時期 | プロセス |
Sapphire Rapids | 2022H1 | Intel 7 | |||
Emerald Rapids | 2023 | ||||
Granite Rapids | 2024 | Intel 3 | Sierra Forest | 2024 | Intel 3 |