錦です。
NWPlayer123氏氏が、任天堂の新ソフト「Nintendo Switch Sports」でFidelityFX Super Resolutionのライセンスが見つかった事がわかりました。
Nintendo Switch Sports
「Nintendo Switch Sports」は先週行われたNintendo Direct 2022.2.10で発表されたNintendo Switch用のゲームソフトです。Wii Sportsを更に進化させてSwitchに蘇らせたもので、シリーズとして人気のあるボウリング、チャンバラ、テニスに加えて、バレーボール、バドミントン、サッカーが新たに追加。夏と秋のアップデートが予定されており、サッカーでは、レッグバンド*1を用いたキック操作の追加や、秋のアップデートでゴルフが追加されるなどかなり楽しそうなゲームとなっています(これは購入候補ですな)。
さてそんなソフトから何やら興味深いものが見つかったようで。
found an interesting license from Nintendo Switch Sports, lists FidelityFX Super Resolution (FSR) pic.twitter.com/cfQKslK6Sg
— Nikki™ 🌹 (@NWPlayer123) February 16, 2022
このツイートによると、Nintendo Switch Sportsのライセンスの中にFidelityFX Super Resolutionの内容が含まれているそう。
FSR
FidelityFX Super Resolution(FSR)は、AMDが展開する超解像度技術です。具体的にはNVIDIAのDLSSと対抗するものというふうに表現されることがありますが、大きな違いでは、DLSSが機械学習を用いてピクセルを復元するのに対して、FSRは描画された画像に対してエフェクトを描ける事によってピクセルを復元するというものです。
とは言っても両方とも超解像度技術であるというのは変わらず。超解像度技術の非常に大きな恩恵としては、すべての描画をGPUで行った映像よりかは信頼性は低いが、GPUが書き出す映像が低解像度でもいいので総じてパフォーマンスが改善されるという点です。
特にSwitchの場合、NVIDIA製GPUが載ってるものの、数世代前だしモバイル向けSoCだしで性能が制約されているので高解像度の出力には超解像度技術がもってこいだったりします(いっとき、SwitchのTVモードで4Kに対応するという話題が出たとき、DLSSを前提としているのではないかとお話しました)。
なぜFSR
なぜ、SwitchのSoCの開発元であるNVIDIAのDLSSではなく競合のFSRなのか。多分、そこらへんに詳しい方ならすでにわかっていると思いますが、Switchに搭載されている開発コード「Mariko」というTegra SoCに内蔵されているGPUはGeForce GTX 900番台のMaxwellアーキテクチャであり、Turing世代以降に対応しているTensorコアを積んでいないからですね。
FSRとDLSSの大きな違いにクロスプラットフォームかつオープンソースであるというのがあります。特に前者、クロスプラットフォームとはWindowsでもLinuxでもAndroidでも動作し、DirectXとVulkanに対応します。その上、AMDの旧世代GPUどころか、NVIDIAの旧世代GPU〜新世代GPUまで対応するというかなりすぐれもの。
SwitchのFW(というかOS)は、Androidをベースにしています。ちなみに、AndroidでのFSRについてですが、先月発表されたSamsungの「Exynos 2200」のGPUがFSRに対応していますので、Androidに対応しています。かつ、Androidで動作するAPIはVulkanです。
ここから導き出される答えは「Nintendo Switch Sports」はVulkanで開発されておりかつFSRにも対応する。ということですね。
ただ一つ疑問なのはAMDのFSRって互換性がPascalで止まってるってところなんですよね。まあGTX 900でも動いてるって言う報告はありますしさして問題ないのかも。
FSRを用いると
ではなぜFSRを用いたのか。多分これは単純にソフトの処理自体が重たくて映像出力を小さくせざるを得なかったのではないかと考えられます。前述の通り、SwitchのSoCはPS5やXSX、スマホよりも性能的制約が大きく、GPUでフルHD解像度の出力が難しかったのではないでしょうか。
FSRを用いれば、リソースをグラフィックの強化以外の部分に当てられますし、ゲーム自体の処理も軽くなります。多分、性能と解像度のバランスを持たせるための判断だと思います(てか、今どき16nmで4GB RAMって相当だぞ)。
サードパーティへは・・・
Note: it seems like Nintendo just added FSR to their "agl" library for graphics/lighting, not available to third parties
— Nikki™ 🌹 (@NWPlayer123) February 16, 2022
Also I take it back, FSR doesn't use any machine learning data, is just a very fancy algorithm
Here's a good link for technical details https://t.co/HybKhPkpVx
同氏のTwitterのスレッドでは、グラフィック・ライティング用のライブラリ「agl」にFSRを追加しただけのようで、サードパーティには公開されていないとのことですね。
「agl」ライブラリって、OpenGLにはあるみたいですけど、Mac用というかMac向けのライブラリ「Apple Graphics Library」なんですよね。なのでSwitchには関係ないんですよ。多分Switch特有の内部ライブラリなんでしょうけど。これはわかったら追記しますね。今は「グラフィックとラインティング用のライブラリ」って、ツイートのまんまの意味でとって大丈夫だと思います。
発売
Nintendo Switch Sportsは、今年4月29日に発売される予定で、それより前、今月19日から2日間はオンラインテストプレイが、Switch Online加入者に対して行われます。
発売後の価格は、ダウンロード版が4300円、パッケージ版が5,478円となっています。
関連リンク
*1:パッケージ版に付属