錦です。
Geekcbenchなどから「Apple A16 Bionic」の詳細な仕様とベンチマークが判明しました。
「Apple A16 Bionic」のメモリにはLPDDR5が採用 〜 5Gモデムは「Snapdragon X65」・チップサイズはやや小さく - Nishiki-Hub
Apple A16 Bionic
Appleから明らかになっている情報としては、Apple A16 BionicはTSMC 4nmプロセスに基づいているという点です。これがN4なのかN4Pなのかはわかりませんが、次期的なことも考えるとN4Pに当たると考えられます。
そして、各機構のコア数ですが、CPUが2P4Eの6コア、GPUが5コア、Neural Engineが16コアとなっています。これはApple A15から変わりまりません。
Apple A16 Bionicのクロックは最大3.46GHzになっているようです。アーキテクチャとしての進歩は後のベンチマークの部分で触れることにします。
今回、AppleはApple A16のキャッシュ構成について明らかにしていませんが、Geekcbenchから読み取れたのは、コアあたりL1命令キャッシュが128KB、コアあたりL1データキャッシュが64KB、L2キャッシュが4MBということです。これはApple A15と変わりないです。ただし、Geekcbenchで読み取られたものは性能コアのものである可能性が高いです。Apple Siliconでは、性能コアと効率コアで共有キャッシュが別れています。
メモリの容量はXcodeの解析から6GBであることがわかりました。メモリの規格ですが、Appleが1.5倍に帯域が上がったとしていますので、同じメモリインターフェイスであることを考えるとLPDDR5-6400が計算上当てはまります。このLPDDR5-6400はM2やM1 Pro、M1 Maxなどで採用されているメモリ規格なので、この際統一したと考えるのが自然です。
【追記9/17】メモリは、SamsungのLPDDR5「K3LK2K20CM-EGCP」を採用している事がわかりました。
そして、おそらくApple A16は伝統的に64bitメモリインターフェイスを採用していますので、これを合わせると帯域は51.2 GB/sになる見込みです。
で、これを基にA15、M2と比較しますと。
A16 | A15 | M2 | |
---|---|---|---|
高性能コア | 2 | 2 | 4 |
高効率コア | 4 | 4 | 4 |
合計コア | 6 | 6 | 8 |
クロック | 3.46GHz | 3.23GHz | 3.5GHz |
GPUコア数 | 5 | 最大5 | 最大10 |
メモリ | 6GB | 4GB 6GB |
8GB 16GB 24GB |
メモリ規格 | LPDDR5-6400 | LPDDR4x-4266 | LPDDR5-6400 |
メモリバス幅 | 64bit | 64bit | 128bit |
L1命令 | 128KB | 128KB | 192KB |
L1データ | 64KB | 64KB | 128KB |
L2 | 4MB | 4MB | 16MB |
となります。
ベンチマーク
それではベンチマークを見ていきましょう。
Apple A16 Bionicが搭載されているiPhone 14 Proのモデル名は「iPhone15,2」、iPhone 14 Pro Maxは「iPhone15,3」となります。
では、スコアを表にして提示します。
14 Pro | 14 Pro Max | |
---|---|---|
CPU Single | 1887 | 1879 |
CPU Multi | 5455 | 4664 |
Metal | 15400 |
iPhone 14 Pro Maxのマルチスコアが若干疑いあるので今回はCPUのスコアにはiPhone 14 Proを採用します。
A14と比較すると、シングルスコアは約11%の向上、マルチスコアは約17%の向上となっています。クロックの伸びが7%なのでクロック以上の性能向上がありますね。メモリの速度向上もあるのでしょうか。
では、アーキテクチャの進化を見たいので、シングルスコアを1GHzに慣らして計算して比較したグラフがこちらです。
こう見ると、アップグレードが小幅だったA15に比べて結構あがっているようにみえますね。これがアーキテクチャの進歩でしょうか?
では最後にMetalのスコアを比べましょう。
Apple A15(5コアGPU)と比較すると8%の性能向上、Apple A15(4コアGPU)と比較すると36%の向上となっています。