錦です。
GeekBench BrowserにApple M1搭載Macのベンチマークスコアが上がっています。
詳細
Geekbenchでは詳細な仕様も同時に公表されることから、Apple M1の仕様も明らかになりました。
M1 | A14 | A13 | A12Z | A12X | A12 | |
---|---|---|---|---|---|---|
高性能コア | 4 | 2 | 2 | 4 | 4 | 2 |
高効率コア | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 |
合計コア数 | 8 | 6 | 6 | 8 | 8 | 6 |
高性能コア クロック |
3.2GHz | 3.0GHz | 2.66GHz | 2.5GHz | 2.5GHz | 2.5GHz |
高効率コア クロック |
1.8GHz | 1.8GB | 1.8GHz | 1.5GHz | 1.5GHz | 1.5GHz |
GPUコア数 | 8 | 4 | 4 | 8 | 7 | 4 |
GPUクロック | 1.0GHz | |||||
プロセスノード | 5nm | 5nm | 7nm | 7nm | 7nm | 7nm |
ニューラルエンジン | 16コア | 16コア | 8コア | 8コア | 8コア | 8コア |
メモリランナップ | 8GB/16GB | 4GB/6GB | 4GB | 6GB | 4GB/6GB | 3GB/4GB |
メモリタイプ | ユニファイド LPDDR5? |
LPDDR5 | LPDDR4X | LPDDR4X | LPDDR4X | LPDDR4X |
消費電力 | 10W~15W | 6W | 6W | 15W | 15W | 6W |
キャッシュ容量 | 16MB (12MB+4MB) |
4MB | 4MB | 8MB | 8MB | 8MB |
8コアであるということはAppleの発表のとおりです。CPUクロックは3.2GHz(おそらく高性能コア)となっており、モデル名はMacBook Proが「MacBook Pro17,1」、MacBook Airが「MacBook Air7,1」、Mac miniが「Mac mini9,1」となっているようです。
消費電力について、CPU Monkeyによるデータですが、10Wと15W。どうもコンフィグラブルTDPのような感じになっているようです。通常のTDPは15W、cTDP Downが10Wのようです。
GPUについて2.6TFLOPSという情報がありましたが、あれはどうも単精度浮動小数点数の性能みたいですね。なのでFP32。
性能
そして、今回は性能も図りました。どうも、Mac miniだけクロックが低くなっているので、スコアの計測時に安定したクロックを得られていない可能性があります。Mac miniは本来はこれ以上のスコアが出る可能性があります。
ラップトップとデスクトップで分けます。まず、ラップトップ2機種から。
MacBook ProとMacBook Air
まずはCPUから。MacBook Proでマルチスコアが下がっているのは多分誤差と環境です。そもそもMacBook Airは色々スコアがアップされていましたが、MacBook Proは1つだけでした。なので計測した環境で少し誤差が出た可能性があります(偽装された可能性もあります)。
ただ、全体的にスコアが上がっていることがわかりますね。で、グラフを分けまして、同じラインナップでGPUの性能を見てみましょう。
グラフィック性能はダントツですね。桁が違います。どうもMetalのスコアが回っていないようなんですよね。個人的にApple M1の真のグラフィック性能はMetalで出ると思っているので、これは実機が出るまでお預けですかね・・・。そういえば、Geekbench 5ってまだApple Siliconにネイティブ対応してませんよね。Rosetta 2の威力がわかる資料になるかもこれは。
これは、Apple M1搭載カスタムで置き換えられた2020年のIntel MacBook Pro 13インチとの比較です。はじめは圧倒的な差があるのが分かってたのでやる気はなかったんですが、どれくらいオーバーキルなのか気になったので調べてみました。やっぱり圧倒的でした。マルチ性能の差とグラフィックスの差が非常にえげつないものになっているのが目に見えてわかりますね。
一応、ラインナップとしてApple M1搭載カスタムはこれらの第8世代搭載MacBook Pro 13"を置き換えていますので、前世代というとこれらを指すことになるでしょう。実際Appleが発表のときに比較の対象としたのが、このi7-8557Uとのことでした。
Mac mini
Mac miniは、クロックが3.04GHzとなっていますが、おそらくベンチマーク中に何らかの要因でクロックが上がらなかったものと見られます。なので、本来のMac miniの性能ではない可能性があるということを先にお話させていただきます。
で、Apple M1はTDPが15Wだというお話をしました。現行最新であるMac mini 2018モデルには65WのCPUが採用されていたので、搭載CPUのTDPは4分の1以下になっています。ですが、性能はApple M1のほうが上。マルチスコアも、シングルスコアも最上位のCore i7-8700Bに勝っています。ただ、やはり現行Mac miniのCPUが専らデスクトップ向けなのに対して、Apple M1はラップトップ向けにも対応できる設計のCPUなので、大差をつけて勝っているというわけではありませんが、TDPが4分の1なのに性能で勝るというのはものすごく面白い結果です。
個人的に、Apple M1搭載Macのうち、Mac miniが一番性能が出ると予想しています。理由は熱設計と電力問題です。熱設計でいうと、ファンを搭載しており、ある程度の発熱は耐えられます。MacBook Airはファンレスなので、発熱が続くとサーマルスロットリングを起こす可能性がありますが、Mac miniとMacBook Proではその無用と言っていいでしょう。そして、電力問題。今回の3機種の中で常時給電という状況下で駆動する唯一のモデルになっており、安定した電力供給で高クロック駆動が持続しやすいモデルになると思います。
Mac miniではグラフィックスのスコアを見つけることができませんでした。
Apple M1 vs 現行Mac
ここまで、同じ製品の世代間で比較してきましたが、次は現行のMacの中でどれくらいの性能帯にいるのかを比較します。結局3機種ともCPUは同じApple M1なので、今回のスコアの中で筆者的に信頼性が最も高いMacBook Airのスコアを参照して比較を行います。
まずは、シングル性能の比較。といっても上はいません。現行のMacの中で最も高いシングルスコアをマークしました。現行のMacで最もシングルスコアが高いのはiMac 27" 2020の最上位カスタム Core i9-10910ですが、MacBook Airはそれを大きく上回っています。
続いてマルチスコア。こちらは、MacBook Pro 16インチの最上位カスタム Core i9-9980HKを上回っています。Apple公式の発表によればワットあたりの性能差は通常のラップトップCPU(おそらくIntel)と比べて3倍としていますので、Apple M1のTDPが15Wとするならば、45Wの9980HKを追い抜くことは驚くことではありません。
驚くべきは、Mac Pro 2013の最上位モデルに勝っている点ではないでしょうか。8コア実質8スレッドのCPUが、数世代前とはいえ、去年まで最新だった12コア24スレッドでTDPが9倍のCPUにまさるというのは、Apple Siliconの恐ろしさを語っています。
今回、8コアや12コアという比較的コア数が近いMacに勝つことができました。ただ恐ろしいのが、Apple M1は高効率4コアはバックグラウンド処理に使われるので、実際にベンチマークのような重たい処理で使われているのは高性能コアの実質4コアのみという事実。実際にこれらのマルチスコアは4コア+αで出たスコアというのがまた恐ろしいですね。
IPC比
では最後に、Apple M1の1GHzあたりのシングルスコアを求めてから終わりにします。先程同様、MacBook Airのスコアを利用します。
Apple M1の1GHzあたりのスコアは527.2になりました。Apple A14と共通のアーキテクチャを持つという証拠です。今回、前回よりも比較する対象を絞ったので前回の同じ数値を比較したグラフを載せておくのでよければご覧ください。だいたいiPad Air 4と同じくらいです(グラフのデザインに差があるのはこの記事からデザインを変えたからです)。
IntelのCore i9-10910と比較しても2.1倍の差があります。これに基づく計算をすれば、シングルスコアでIntelがApple M1に追いつくには、6.74GHzまでクロックを上げる必要があります。
〆
いかがだったでしょうか。他のサイトでは比較していないだろうなっていうところまで比較してみました。個人的に、シングルスコアが軍を抜いてMacの中で最上位ということに驚きを隠せません。Intelほんとに何やってんだろ。
Apple M1に内蔵されるユニファイドメモリが2つのチップレットまでというところを見ると、これ以上メモリを増やすことはできなさそうなので(できたとして32GBが限界)、Apple M1がエントリー向けであることがわかります。そうです。このレベルでまだエントリ向けなんです。じゃあこれがもっとすごいのになったら?やばいことになりそうです。しかも、これが最廉価帯のMacに搭載されてるんですから。コスパが良いとかそのレベルの話じゃない。
半導体専業ではないAppleにとって、開発費などの要因を考えても、バリエーションをIntel並には増やしにくいでしょう。少なくとも、IPCは現行のすべてのCPUの中で上位なので、今後 消費電力をあげてクロックを上げれば、無双になりますよね。最後に参考にしたデータをすべて表でベンチマークをまとめたものをおいておくので、確認しづらかった場合はごらんください。長い記事ご閲覧いただきありがとうございました。お疲れさまでした。
ベンチマークデータ
MacBook ProとMacBook Air
①Apple M1搭載のMBP MBAと2020年 IntelベースモデルのすべてのCPUカスタムのベンチマーク
MBPのHはThunderboltを4ポート搭載しているハイエンドモデル、Lは2ポート搭載しているローエンドモデルを意味しています。
① | シングル | マルチ | OpenCL |
---|---|---|---|
MacBook Air i3-1000NG4 |
995 | 1965 | 5938 |
MacBook Air i5-1030NG7 |
1075 | 2903 | 8620 |
MacBook Air i7-1060NG7 |
1140 | 3080 | 7369 |
MacBook Pro 13" H i5-1038NG7 |
1148 | 4240 | 8860 |
MacBook Pro 13" H i7-1068NG7 |
1239 | 4515 | 9185 |
MacBook Pro 13" L i5-8257U |
906 | 3747 | 7514 |
MacBook Pro 13" L i7-8557U |
1028 | 3824 | 8143 |
MacBook Air Apple M1 |
1687 | 7433 | 16900 |
MacBook Pro Apple M1 |
1714 | 6802 | 18656 |
Mac mini
②Apple M1搭載のMac miniとMac mini 2018の全CPUカスタムのベンチマーク
② | シングル | マルチ |
---|---|---|
Mac mini 2018 i3-8100B |
897 | 3203 |
Mac mini 2018 i5-8500B |
998 | 4651 |
Mac mini 2018 i7-8700B |
1101 | 5474 |
Mac mini 2020 Apple M1 |
1682 | 7097 |
その他比較
③Apple M1とシングルスコアを比較
③ | シングル |
---|---|
iMac 27" 2020 i7-10700K |
1248 |
iMac 27" 2020 i9-10910 |
1251 |
MacBook Air Apple M1 |
1687 |
④Apple M1とマルチスコアを比較
CTはコアとスレッド数
④ | マルチ |
---|---|
Mac Pro 2020 Xeon W-3223 8C16T |
7993 |
Mac Pro 2013 Xeon E5-2697 v2 12C24T |
7018 |
MacBook Pro 16" i9-9980HK 8C16T |
6869 |
MacBook Air Apple M1 8C |
7433 |
⑤1GHzあたりのスコア
デバイス/CPU | 1GHzあたりのスコア |
---|---|
MacBook Pro 16" i9-9980HK |
219.2 |
iMac 2020 27" i9-10910 |
250.2 |
Mac Pro 2020 Xeon W-3275M |
253.9 |
iMac Pro 2017 Xeon W-2191B |
258.1 |
MacBook Pro 13" i7-1068NG7 |
302.7 |
MacBook Air 2020 Apple M1 |
527.2 |
iPad Air 4 Apple 14 |
528.3 |