錦です。
今回は、明後日発表のApple M1X(仮称)について予想していきたいと思います。
Apple M1X
Apple M1Xは、おそらく19日の発表会で発表されるであろうAppleの次期SoCで、M1の後継ではなく上位モデルと言う立ち位置になるものです。
今回は発表まで目前にも関わらず、発表が待てない私が勝手に予想して、はずしたら悲しもうというコーナーでございます。
M1
とりあえず、前提としてApple M1XがM1の上位モデルであるということを話しておこうかと。
Apple M1自体もApple A14の上位モデルという事になっています。iPad Proに採用されたことからなんとなく察しが付きますが、実質的にApple M1はApple A12Zの後継という立ち位置にあります。なので、言い換えればApple M1はApple A14Xのような立ち位置にあるというわけです。
Apple M1Xはその強化版ということで、Apple Siliconの中で飛び抜けて最大のチップになるというわけです。
ラインナップ
IntelのApple Silicon置き換えにおいて、個人的に最も気になっているのはそのバリエーションの話。実際、Intelのそれに加えるとApple Siliconのラインナップはかなり限定的です。
Intel Macは、モデルによってIntelのTDP帯が異なるというわかりやすさがありました。IntelのそのCPUの話とApple Siliconへの置き換えを表でわかりやすくしてみます。
Intel | Apple | |
---|---|---|
Mac Pro | Xeon W(SP) | |
iMac Pro | Xeon W(CoreX) | |
iMac 27" | S(65W/125W) | |
iMac 21.5" | S(65W)/U | M1 |
Mac mini | B(65W) | M1X |
M1 | ||
MBP 16" | H(45W) | M1X |
MBP 13" High | U(28W) | |
MBP 13" Low | U(15W) | M1 |
MBA | Y(7W) |
Wikipediaによると、M1自体の最大消費電力は13.5Wらしいです。iPad Proが20Wで充電できることを考えると、これは8コアGPUの消費電力なんでしょうね。
で、Apple Siliconのラインナップを、Intel同様に考えて「コア数」「GPUの規模」「CPUクロック」のどれか1つでも違えばモデルが異なると考えれば、ラインナップは少ないとはいえ、ちょっと多いようにも見えるようになります。ここでApple Aシリーズのチップの話題を出すのもどうかと思いますが、Apple A14・M1・M1X・A15だけでもこれだけのラインナップがあるわけです。
IntelとかAMDは、これらのSKUを製品別にしてわかりやすくしていますが、Appleはそもそも「公式にクロックを公開しない会社」なので、製品を分けなくてもいいだろうというのは、別の意味ではわかりやすいです。
M1Xの仕様
CPU
Apple M1Xも既存のApple製SoC同様big.LITTLEの方式を取ります。そのコア数は、M1では4C+4cとなっていました*1。M1Xでは8C2cの計10コアになるとのこと。
高性能コアが倍、高効率コアが減少しているということから、M1ほど効率性を重視していないモデルであるということが伺えます。実際には、それなりに電源周りがしっかりしているデバイス向けという話になってきますね。効率性を重視していないといえど、やはりM1の成果を見るに高くても30W程度の消費電力に収まるのでしょう。
Apple M1Xは、Intelで言うところのTDP 28W帯のCore U、TDP 45WのCore H、そしてそれよりも高い消費電力を持つCore Sを置き換えるものです。M1と比べてもかなり広範囲な置き換えとなります。おそらく性能的に見れば、Mac miniの最上位であるi7-8700Bを置き換えるということもあるので、現行のIntel Coreと比較してもほぼ最上位に匹敵するものになるでしょう。情報によれば、iMac 27インチもM1Xが置き換えると言われているので、125W CPUであるCore i9-10910すらも超える性能を持つことになります。
シングルスレッドは、Alder LakeでIntelがM1を超えてくることが予想できるものの、Appleは3.2GHzというクロックでIntelの5GHzくらいのクロックを持つCPUに匹敵する性能を持っているので、Appleとしてはクロックを上げればIntelを容易に凌駕することが出来ます。
クロックを上げれば性能は無論上がりますが、Appleはそこまでクロックを向上させないんじゃないかと思っています。噂では3.35GHzになるとされています(信憑性は低め)。多分、消費電力の問題でIntelやAMDのように5GHzとかには向上させないでしょう。4GHzにも満たないはずです。それでもクロックあたりの性能がでかいので100MHzクロックを向上させるだけで割と性能が上がります。
キャッシュは、M1は高性能コア・高効率コアがそれぞれ12MBと4MBのL2キャッシュ(LLC)を共有しています。この場合、コアあたりのキャッシュで求めていいの変わりませんが、M1Xでは高性能コアで24MB、高効率コアで2MBのキャッシュをそれぞれ共有すると見られます。
話をまとめるためにそろそろCPU部分に結論を出します。CPUの仕様はこうなるはずです。
- 8x 高性能コア 24MBの共有キャッシュ
- 2x 高効率コア 2MBの共有キャッシュ
- 3.2GHz前後のクロック
- クロックが上昇したとしても4GHzにはならない。
GPU
ついでGPUの話です。AppleはM1にて統合グラフィックスとUMAによるメリットを説明していました。UMAと統合グラフィックスのメリットについてはまた記事にしようと思いますが、RAMを作業台に例えたとき「CPUとGPUが同じ作業台で作業している方が、データの受け渡しもなくて効率的だよね」ということです。実際、このUMAという仕組みは、vRAMとメインメモリが分割して存在するということを否定するものです。無論これにはメリット・デメリットありますがMacにおいてデメリットは目立ちにくいと思います(そこらへんの話は割愛)。
というのはどうでも良くて、M1XもUMAで登場するのはほぼ確実です。これはすなわちどういうことかというと、MacBook Pro 16"ではdGPUが廃止されます。基本統合グラフィックスは悪性能というイメージがCPUのiGPUのせいでついていますが、実際にはAppleのGPUはかなり高性能です。M1の結果を見ていただければわかると思いますが、M1自体はGeForce GTX 1050 Tiなみの性能を持っています。
因みに、GTX 1050 Tiなみというと低く聞こえる人もいるかも知れませんが、M1はエントリ向けです。Core i7-1195G7がだいたいApple M1と同じくらいのGPU性能を持ちますが、消費電力が倍くらいあります。
Appleは、Apple A15でGPUコア1つでだいぶ性能が変わるということを証明しました。Apple M1が8コアのGPUなのに対して、M1Xでは倍の16コア、あるいは更に倍の32コアになるとされています。以前の噂では、32コアのGPUがRTX 3070に匹敵すると言う情報も出ました。
M1のGPUコアはApple A14の倍なんですけど、GeekbenchのMetalスコアを参照すると、スコアは倍以上なんですよね。と考えれば、M1の2倍や4倍となるM1Xの性能は2倍以上・4倍以上ということになります。
OpenCLのスコアで比較すると、16コアGPU M1XではRadeon Pro 5300やGTX 1650 Max-Q、GTX 1060と似たような感じです。32コアGPUで考えれば、Radeon RX 5700 XTやRTX 2070 Max-Qくらいにいなります。これまでのそれと比べると非常に性能が向上することになります。ただ、この結果は単純比較なので、実際にはもっと高くなるんじゃないかと思います。
- 16コアバリアントと32コアバリアントが存在する
- 単純計算で、RX 5700 XTなどのハイエンドGPUに匹敵(消費電力は比較すると非常に低い)
- 統合グラフィックスに
MacBook Pro 16インチ向けということも有り、消費電力をある程度抑え込まないということになります。システム全体での最大消費電力を60W程度に抑えないといけないことを考えても、100W超えのdGPUに匹敵しているんだからすごいもんです。
合わせてレイトレの話もよろしければ・・・。
Macとリアルタイムレイトレーシングの話 ~ 対応しているのかしていないのか - Nishiki-Hub
Neural Engine
これは、もうほぼ結論のみですが、16コアのNeural Engineになるかと。というか、これ以上Neural Engine増やす意味は今のところないのでは・・・。
メモリ
最後にメモリです。先程も申し上げましたがUMAを採用するというのは変わらないでしょう。ただメモリの構成自体についてはM1状態では限界があると見られます。
M1には、メモリモジュールが2つ搭載されています。メモリモジュールあたりに最大8GBで合計最大16GBのメモリ容量を実現しています。おそらく、M1Xではメモリモジュール自体が増えると思われます。最大4個くらいには。その他考えられる可能性としては、LPDDR4XからDDR4やDDR5に変更されるということですが、どのみちメモリモジュールは増加するはずです。
メモリの容量についてですが、MacBook Pro 16インチの最大容量が現行で64GB、13インチ上位モデルが32GBですので、それの後継であるということを考えても、最大64GBにはなるものと見られます。
まとめ
と、Apple M1Xを予想してみたわ開けですがいかがでしたでしょうか。
ざっとまとめますとこうなります。
M1 | M1X | ||
---|---|---|---|
CPU | Sum | 8 | 10 |
P | 4 | 8 | |
E | 4 | 2 | |
GPU | Up to 8 | Up to 32 | |
Clock | 3.2GHz | 3.2GHz | |
LLC | 16MB | 26MB | |
RAM | Capa | 8GB/16GB | 8/16/32/64GB |
Type | UMA LD4x |
まあ実際にこうなるかわわかりませんが、あくまで個人的な予想として。正解してたら褒めてください。
*1:Nishiki-Hubでは高性能コアをC、高効率コアをcと略しています