錦です。
Moore's Law is Deadの最新動画の情報です。同氏は、Ryzen 8000番台となるであろうZen 5世代のRyzen CPUについてのリークを公開しています。
ハイブリッド
ハイブリットコア構成は、AppleやQualcommなどのArmベースのチップの多くが採用する「bigLITTLE」のように、高効率コアと高性能コアの2つのアーキテクチャを同梱して、効率を上げ、低負荷時の消費電力を抑えるという技術です。
Arm以外での主な採用例では、昨日解禁されたIntelの第12世代「Alder Lake」のSKUが採用しています。このように、徐々にその幅は広がりを見せつつあります。Intelが採用した後、やはりAMDもそれを継い付いすることになるみたいです。
Zen 4D
現行のRyzen 5000番台はZen 3がベースになっており、後継となるアーキテクチャはZen 3+です。ただし、Zen 3+をベースにしたデスクトップ向けCPUはキャンセルされ、Ryzen 9 5950Xなどの後継となるCPUラインナップは「Ryzen 7000」番台の「Raphael」になると見られています。
「Raphael」はZen 4ベースのCPUとなっていて、Zen 3からかなり大幅な性能の工場となり、製造プロセスはZen 3が7nmですが、Zen 3+が6nm、Zen 4では5nmになるとのことです(なおこの時点ですでに3nmは製品化されているので、製造にまだ余裕があるであろう若干古めの製造プロセスを用いるのは今と変わりません)。
で、Zen 4D(Zen 4 Dence)というのは、このZen 4のキャッシュが削減され、機能が一部無効化、クロックの低下などで消費電力を抑えるとともに、高い密度を実現しました。この設計によって、チップレットあたりのコア数はZen 3やZen 4の8コアから倍増し16コアになるとのことです。クロックが控えめになることでシングル性能は下がるものの、コアが増加するのでZen 4と同じダイサイズでマルチ性能が高まるということになります。
キャッシュの再設計という話をしましたが、実際にはL3キャッシュが半減になるとのこと。
EPYC
以前「Zen 4世代のEPYCは『Genoa』と『Bergamo』の2つのラインナップに分かれる」とお伝えしましたが、Zen 4Dはそのうちのクラウド向けで最大128コアとなるラインナップ「Bergamo」に採用されることになるそう。確かにクラウド向けならシングルよりもマルチのほうがいいし、クロックもさほど高くはなくてもいい最適なアーキテクチャになりますね。
また、機能の一部の無効化という部分では、IntelのEコアに似ていてAVX-512のサポートがなくなるとのこと。AVX-512については、サポートするみたいな話もあったりなんか錯綜している感じです。まあただ、以前リークされた内容では、2つのEPYCラインナップのうち「Genoa」の方はAVX-512が必要なワークロード向け、「Bergamo」はマルチ性能がより必要なワークロード向けになっているらしいので、サポートしないという予測の方が濃そうですね。
ただ、Intelとは違いZen 4DではSMT(IntelでいうとHTT)が無効化され1チップレットあたり最大16コア16スレッドになるということになるようです。
Ryzen
Ryzenでの「Zen 4D」の扱われ方は、基本的にはIntelで言うところのEコアのような感じですね。AVX-512のサポートがないという点はGracemontと同様なので、可能性としてはZen 5もそれに伴ってAVX-512が無効化されている可能性もあります。
Ryzenの話はZen 5の話をした後のほうがわかりやすいかもしれないのでこの程度にとどめてZen 5の話をしましょうか。
Zen 5
Zen 5はZen 4の後継になるものです。性能が大幅に向上すると見られており、ZenとZen 2で起こったような性能の革命的向上がZen 4からZen 5でも起きるとされています。Zen 4の登場が遅いのでIntelでいうと2世代くらいは多分Intel優勢が続くのかもしれませんが、Zen 5でまたAMD優勢に戻る可能性がありますね。
Zen 5については、まずCPUの話から。
CPU
Zen 5のラインナップ。シリーズは「Granite Ridge」というものになるそう。チップレット構造なのはかわらずみたいなので、Zen 5(高性能コア)+Zen 4D(高効率コア)+I/Oダイという構成になるのでしょう(Zen 4世代からRDNA 2 GPUが同梱されるという情報があるがあれはチップレットで独立するのかZen 4とかZen 5に同梱されるのかどっちなんだろう)。
Zen 5については、Zen 3というかZen 2から変わらず1チップレットあたり8コア16スレッドのコアを同梱可能。つまり「Granite Ridge」の最大構成では、8C16c32T(16T16t)という構成になるみたいです。「Granite Ridge」の登場時点ですでにIntelからは「Raptor Lake」かその後継が登場しているはずなので、Intelも8C16c32Tのような感じになります。同じコア数で殴り合いが出来ますね・・・。
APU
唐突ですが、ここで少し疑問に思ったことが。こういったハイブリット構成のプロセッサというのは、基本的にデスクトップ向けというよりもモバイルで大きな効果を果たすことができるのです。理由は、低負荷な処理は効率コアに任せることによって負荷が少ないときの消費電力を極限まで抑えることができるからです。
おそらく、AMDもハイブリッド構成がモバイル向けに重要であることを理解はしているようで、VideoCradzによると、Zen 5世代のAPU「Strix Point」では、Zen 5+Zen 4Dの組み合わせをとるとされています。
デスクトップはチップレット構造になっているため、パッケージされているチップレットを変えるだけで基本的に簡単に構造の転換ができます。一方、モバイル向けAPUは現在のところマルチチップレットにはなっておらず、CPUとGPUをモノリシックダイ(1つのチップレット)に同梱しているという状況です。
ここで、IntelのようにすべてのコアとGPUを一つのチップレットに収めるのか、あるいはモバイルAPUもマルチチップレットにするのか気になります。ただ、3D V-CacheをAMDはまもなく製品化するので、その応用で3Dパッケージ技術を採用する可能性もありますね。
関連リンク
- Moore's Low is Dead
- via VideoCardz
- via Wccftech