Armベースのプロセッサの開発と販売を行っているAmpereは、LinuxカーネルがサポートするArmプロセッサの最大コア数の上限を引き上げることを提案しているようです。
LinuxのArm
現在、LinuxのARMカーネルはシステムあたり最大256コアをサポートしています。何故かRHELはRHEL 9で512コアをサポートしていますが*1。
Ampereは「CPUMASK_OFFSTACK」と呼ばれる方法でLinuxカーネルのコア数の上限を512まで引き上げることを提案しているのです。これによって、システムを分割することなく多くのコアを搭載できます。
なぜこの提案をしたのかというと、Ampereが展開している「Ampere One」ラインナップには128コアを超える、136コア、144コア、160コア、176コア、192コアのプロセッサがラインナップしており、マルチソケットした場合、最下位の136コアでさえLinuxの上限をオーバーしてしまうのです。このAmpere Oneは、AMDのEPYC 9004番台Bergamoを超える世界最大のコア数を誇っており、問題が顕在化しました(論理プロセッサ数でいうとBergamoが256コアなのでこちらが世界最大となります)。
CPUコア数の上限を引き上げるパッチは2021年にも提案されたようですが、当時はテストするハードウェアがないことからマージされませんでした。
ですが今回は、すでにLinuxでサポートしているCPUMASK_OFFSTACKを用いて最大コア数を増やすため、この機能をデフォルトで有効にするかはLinuxのメンテナ次第であるとのことです。
ちなみに、富岳などのスパコンはLinuxながら何万というCPUコア数を搭載していますが、実際は数十コアのCPUが搭載された計算機の集合体であるため、この制限はあまり関係ありません(富岳の場合、1ノードあたり48コア)*2。