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Intel、「Sierra Forest」が288コアであることを公表 ~ TCOの優秀さをアピール

日本時間15日にMeteor Lakeが解禁となりましたが、そのタイミングでSierra Forestについても若干触れられていたので今回はその話。

Sierra Forest

Sierra Forestは、性能よりも物理コア数を求められるようなクラウド事業者向けのCPUです。このセグメントでは近年Armの進出によってIntelの牙城が崩され始めています。例えば、AWSは最大96コアのGravitonを投入しますし、Microsoftも128コアのCobalt 100を自社のサービスに投入します。さらに、Ampereは最大192コアのAmpere Oneを提供しており、Armの進出が強いです。

この様になっている理由はいくつか考えられます。一つが慢性的な半導体不足。結局製造はTSMCが行うことにはなるものの、自社の供給ネットワークを持つほうが比較的安定的にプロセッサを供給できます。

それ以外にも、ArmのNeoverse系のIPは電力効率が高いのです。特にここ数年、欧州を中心にエネルギー事情が悪化しており、非常に大きな電力を食うデータセンターでは電力問題に悩まされています。実際、一部のクラウド提供企業は、自社で発電設備を持つなどの徹底ぶりです。その中で、性能は高いけど電力を食うIntelAMDのプロセッサを採用するよりも、電力効率が高く、それでもって高密度でコア数が多いArm系のプロセッサに走るのは妥当な選択肢と言えるでしょう。

しかし、これにIntelAMDが何も反応していないわけではありません。AMDは「Zen 4」アーキテクチャからキャッシュを削ぎ落として高密度化し、1ソケット128コア256スレッドを実現した「Bergamo」という開発コードのEPYCを提供しています。「Sierra Forest」はIntelの対応となります。

アーキテクチャ

IntelはCPUアーキテクチャとして、Core系統のPコアと、Atom系統のEコアを並行して開発しています。以前まではそれぞれ別々の製品としてラインナップも大きく分けられていましたが、LakefieldとAlder Lake以降、それらはIntel Hybrid Technologyという形で融合されています。EコアはPコアとAlder Lakeで合体する際に、大幅に機能が追加されました。Gracemontでは、AVX系命令セットのサポートが追加されており、そのリッチさが話題になりました。

性能も、現在は、Eコアを採用したエントリCPUが第7世代Core i5程度の性能があることから、よりハイグレードな環境に合わせれば2020年頃のCoreプロセッサ程度の性能をかなり低い消費電力で実現することができるでしょう。それくらい進化しているのです。

PコアとEコアの違いとしては、その密度があります。Pコアは、機能が多く性能が高い分、電力効率はさほど良くない上、面積も大きくなっています。一方でEコアは性能が出でず機能も少ない分、電力効率が高く、面積も小さくなっています。つまり、純粋に物理コア数を稼ぐのであれば、PコアよりもEコアのほうが向いています。実際、Alder LakeからRaptor LakeにかけてEコアが倍増したものの、パッケージの大きさは維持し、ダイの大きさも数十%程度大きくなる程度で済みました。

これらの理由から、EコアはNeoverseの対抗馬としてかなり有力なのです。

なお、現時点で、Sierra ForestがAlder LakeとRaptor Lakeで採用された「Gracemont」を採用しているのか、Meteor Lakeで登場した「Crestmont」を採用するのか、あるいはまたべつを採用するのかは不明です。

構造とコア数

Sierra Forestは、マルチチップレット構造となっています。おそらくタイル構造という名前になるでしょうが。

1タイルあたり144コア、それをソケットあたり2タイル搭載するので、計288コア。ソケットあたりの物理コア数は世界最大となります。

TCO

クラウドにおいて「Total Cost of Owenship」(TCO:総所有コスト)は非常に重視されます。

Intelは、性能・効率の観点から、このSierra Forestが誰も追いつけないTCOを実現するとしています。また、コア数も多いことから、1基あたりのシステムのスケールも大きくなり、ランニングコストも抑えられることが期待されます。特に競合のBergamoと比較すると、物理コア数も論理コア数も勝上、物理コア数についてはダブルスコア以上のスケールです。期待が持てます。

登場

Sierra Forestの登場は来年上半期。気になる点があるとするならば、Bergamoから1年遅れで登場することくらいです。

関係ないですが、個人的にはXeon Maxの後継も気になるところです。

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