錦です。
AppleのMacは2006年頃からすべてIntelベースになっています。現在のMacはすべてXeonやCoreが採用されており、CPUにはIntel、dGPUにはAMDという構図が数年前から続いています(少し前はNVIDIA GPUもあった)。しかし、最新のmacOSのBetaからAMD CPUの情報が見つかったことがわかりました。
見つかったのは、Picasso・Raven・Renoir・Naviで、Metalのドライバから見つかりました。一つ一つをざっと解説するとこんな感じになります。
- Picasso:Zen+世代の AMD APU(第2世代)
- Raven:Zen世代のAMD APU(第1世代)
- Renoir:Zen2世代のAMD APU(第3世代)
- Navi:最新のAMD GPUアーキテクチャ(RDNA)
APUというのは、CPUとGPUを統合したプロセッサのことです。広義ではiGPUを内蔵したAMD CPUのことだと思ってください。
Renoirの情報は以下からご覧いただけます。
Macが過去にAMD CPUを搭載した前例はありません。2006年にPowerPCからx86に変わった際にすべてIntelに移行されました。それ以降ずっとIntel CPUが採用されているわけですが、数年前からiPhoneなどに採用されているApple AシリーズのSoCをMacにも採用する、いわゆるApple独自プロセッサに移行するという話が頻発しており、Macのプロセッサが大きく変わるという話題はそればっかりです。
AMD CPUを採用するという話が、信頼性のあるBetaからの記述という形で登場するのは初めてで、Appleがただ単にAMD CPUの性能を確かめているのか、それとも本当に採用する気なのかは不明です。ただ、Apple独自プロセッサに移行するという話で登場した2023年というXイヤーまでのほんの少しだけのAMD Macというのが本当に実現するのかは結構疑問です。
ただ、APUという性格上、基本的にデスクトップ向けというよりかはモバイル・小型PC向け。しかもdGPUを搭載しないMacBookやMac miniなどに採用される可能性はありそうです。今回の件のような Intel CPUを採用してきたのに、AMD CPUを急に採用した前例としてはMicrosoftのSurface Laptopが挙げられます。Microsoftは、第3世代Surface Laptop(15インチ)に、Ryzenを採用しています。採用した理由としてGPU性能がいいからとしています。AMD APUの特徴としては、GPUがRadeonそのものが採用されているので、IntelのiGPUよりも性能がいいということが挙げられます。そのため、薄型化において、電力効率・排熱機構を気にしながら GPU性能を上げるにはAMD APUは良い選択肢のように見えます。ただ、IntelよりもRyzenのほうが若干 排熱量が多いですが(気にならないくらいだけども)。
以上の点を踏まえると、MacでAMD APUを採用する可能性があるのは、dGPUを搭載しないモデル。つまり安価モデルと見られ、MacBook・MacBook Air・MacBook Pro 13インチ・Mac mini・ローエンドiMac 21.5インチ。これらになりますね。ただ、これら のMacたちは、Apple Aシリーズを一番初めに搭載するというMacでもあるため真偽は不明です。新たに製品を投入するなら、Renoirだけ記述して、RavenとPicassoをサポートする意味はよくわかりませんしね(単に下位互換の可能性もありますが)。
CPUの移行について、PowerPCからIntelへの移行よりも格段と楽な理由は、アーキテクチャが同じだという点もありますね。