錦です。
Qualcommは、いくつかのメディア向けにSnapdragon 888のベンチマークを公表しました。今回はそれを基に、Snapdragon 888とApple A14 Bionic・Apple A13 Bionicと比較していきます。
公表されたベンチマーク
公表されたベンチマークはPC Watchがすべて公表しています。今年は、Snapdragonがオンラインで発表され、現地開催ではなくメディア関係者がリファレンス機の実機をテストすることができなかった影響でQualcommがベンチマークを公表しています。
Qualcommがリファレンス機として検証したマシンは以下の仕様になっています。
- Snapdragon 888
- クロックはOCも劣化もなし(2.8GHz x 1+2.4GHz x 3+1.8GHz x 4)
- メモリ 12GB LPDDR5
- 3780mAhバッテリー
- 512GB UFS(ストレージ)
- 6.65 FHD 1080x2340ディスプレイ 120FPS
- USB Type C 3.1Gen 2
何、このリファレンス機、これだけ見るとほしくなるスペックだ。。。
ちなみに、今回Qualcomm自信がベンチマークを公表するにあたって同社は、メディアに対してベンチマークの正当性を公表するビデオを公開しているようです。PC Watchに掲載されています。
部分的
Geekbench 5とAnTuTuで比較します。
SoC | デバイス | GB5 Single | GB5 Multi | AnTuTu |
---|---|---|---|---|
Apple A14 | iPhone 12 Pro | 1585 | 3929 | 599059 |
Apple A13 | iPhone 11 Pro | 1328 | 3317 | 525543 |
SDM 888 | Qualcomm | 1135 | 3794 | 735439 |
GeekbenchはCPUの、AnTuTuはCPU・GPU・UX・RAMの総合的な評価です。GPU単体の性能も比較したかったのですが、GFX Benchmarkの仕様がよくわからなかったので省略します(ごめんなさい)。
CPUの性能では、Apple A14 Bionicに軍配が上がりました。AppleのSoCはApple M1を視ていただければわかるようにシングル性能が異常です。IntelやAMDですらも超えてしまう性能を持っています。Anandtechの記事によると、GFX BenchmarkのGPUスコアでもApple A14とA13に軍配が上がります。しかし、AnTuTuではSDM 888に軍配が上がっているのはなぜなのでしょうか。
AnTuTuは前述の通り総合的な評価になっているため、CPUやGPUの性能とは別に、UX(体感速度や使用感)やRAMのスコアも伴っているので性能はApple A14に勝らずとも「使い勝手が上がった」と捉えればものすごくわかりやすいと思います。正直、すでにスマートフォン向けのプロセッサの性能向上はもはや「無駄遣い」の域に達しつつあります。ただし、技術の向上に伴って性能向上するのは無理のない話だし、性能が向上したところで損はありませんのでいいのですが、性能の向上がユーザーに還元されているかどうかはまた別の話になると思います。そういう観点から見れば、性能だけで勝るApple A14よりも、総合的な評価で性能がいいSDM 888のほうがありがたい進化なのかもしれません。ただ、iPhoneはOSとハードが緊密に連携していて、この部分は数値とかでは測れない部分なので、何が正解なのかはわかりません。
ちなみにですが、Apple Aシリーズの特徴というか、大欠点なのですが、Apple A14は熱に弱いため、ピークパフォーマンスを継続して発揮できる時間が短く、ベンチマークを連続で回すと2回目以降の数値が極端に低下します。なので、性能で言えば「一時的に驚異的な性能を発揮するのがApple A14、継続してある程度の性能を保てるのがSDM 888」と考えればいいと思います。ただ、SDM 888搭載スマホが熱対策を怠れば同様の問題は発生するので、この言葉を参考にするなら、実機が出てきた後に出てくるレビューなどを参照したほうがいいです。少なくとも、チップ単体では、Apple A14よりも熱に強いです。
タイトルに、「Apple A14と比べて負けた後に勝った」とつけた理由がこの部分で、単発だと負け、連発だと勝つという意味でつけました。FPSゲームなんかは単発よりも連発のほうがいいかもしれませんね。
via Wccftech