錦です。
Igor's LABがZen 3ベースのThreadripper「Chagall」のうち、Ryzen Threadripper PRO 5000番台となるラインナップの仕様を明かしています。
仕様
ではその仕様を見ていきます。
これを表にまとめました。
5995WX | 5975WX | 5965WX | 5955WX | 5945WX | |
---|---|---|---|---|---|
コア/スレッド | 64C/128T | 32C/64T | 24C/48T | 16C/32T | 12C/24T |
最大クロック | 4.55GHz | 4.55GHz | 4.55GHz | 4.55GHz | 4.55GHz |
TDP | 280W | 280W | 280W | 280W | 280W |
P0クロック | 2.7GHz | 3.6GHz | 3.8GHz | 4.0GHz | 4.1GHz |
P0電力 | 255W | 260W | 235W | 195W | 170W |
P1クロック | 2.25GHz | 2.70GHz | 2.80GHz | 1.90GHz | 2.94GHz |
P1電力 | 229W | 190W | 171W | 1152W | 138W |
P2クロック | 1.8GHz | 1.8GHz | 1.8GHz | 1.8GHz | 1.8GHz |
P2電力 | 212W | 159W | 142W | 131W | 121W |
FMINクロック | 0.55GHz | 0.55GHz | 0.55GHz | 0.55GHz | 0.55GHz |
FMIN電力 | 168W | 138W | 124W | 119W | 112W |
L2キャッシュ | 32MB | 16MB | 12MB | 8MB | 6MB |
L3キャッシュ | 256MB | 128MB | 128MB | 64MB | 64MB |
メモリ | DDR4-3200 | DDR4-3200 | DDR4-3200 | DDR4-3200 | DDR4-3200 |
モデル名は予測に基づくものです。
Ryzen TR 3000同様に64コア・32コア・24コア・16コア・12コアというラインナップになりました。型番に秋があり間隔も広いので48コアモデルがありそうな雰囲気ですが、同じことがRyzen TR 3000番台でもあったのに未だに48コアの「Ryzen TR 3980X」みたいなモデルが出てないのでないのでしょう。
クロックはおおよそ最大クロック以外は各電力段階での最大クロックを指していると見られます。TDPはデフォルトで変わらず280Wとなっています。コンフィグラブルTDPのような感じで、結構段階的にクロックが指定できるようになっています。これは嬉しいユーザーもいるのでは(特にマイナーとかサーバーとか)。
ソケットはRyzen PRO 3000WXシリーズとかわらずsWRX8となると、WRX80チップセットでそのまま使えるのでしょうか?だとすると、この表からではわからないPCIeやメモリの仕様もわかり、PCIeはGen 4が128レーン、メモリが8チャネル16レーンになります。おそらくメモリの最大容量は2TBなのでしょう。
L3キャッシュは最上位である5995WXが256MBでこれは3000シリーズと変わりません。Threadripperでの3D V-Cacheは直近で投入される予定はない様子(Chagall-X自体はどこかで聞いたような記憶があります)。
あと、中のCCDのはなしになりますが、L3キャッシュを見る限り、5995WXは8つのダイがすべて有効に、5975WXと5965WXが4つ有効に、5955WXと5945WXが2つ有効になっているみたい(これはあくまでのすべてのCCDで全コアが有効になっている場合の計算)。
PROなしモデルは・・
現状PROのないChagallは全くリークされていません。正直これについては「存在しない」という可能性が高いです。
そう考えるに至る理由はいくつかあります。
1つ目はリソース。昨年から続く半導体不足はAMDにガッツリ影響を与えており、PROじゃないThreadripperを作る容量がないという問題。
2つ目は自社での競合となってしまう可能性。Ryzen Threadripper PROは業務向けかつ基本的に個人向けの製品ではありません。Intelで言うところのXeon Wに近い製品です。に対して、Ryzen Threadripperは個人もターゲットにしている製品です。IntelでいうとCore Xのようなもの。ただ、その個人向けのThreadripperとRyzen 9が競合する恐れがあります。初代Threadripperはたしかにコア数で大きなメリットが有りましたが、徐々にRyzenもコア数が増えていった結果現在は16コアまでコア数が増加しています。多くの場合この16コアで需要が満たせてしまうためThreadripperは必要ない(誤解を恐れず言えばターゲットがかぶっている)と考えられます。
正直、無印Ryzen ThreadripperとCore Xは、メインストリームの「Core」と「Ryzen」がコア数を一気に伸ばしている中でターゲットが重なっているという状態で、実際Core Xと競合しているのはThreadripperではなくRyzen 9だったり、Alder Lake-SでP/Eに分かれるとはいえ、24スレッドのCPUがある事で大方の需要はこなせるわけです。で残るもっと上の部分はRyzen Threadripper PROなりXeon Wなりが埋めることで解決と。多分Intel AMD双方でその流れができています。