錦です。
先日NVIDIAが発表した「GeForce RTX 2050」の話です。
あの、多分記事の内容は最後の「ざっくりまとめよう」の章を読めば理解できます。
ややこしい
ざっとシリーズとアーキテクチャの話をまとめます。と言っても簡単で、RTX 30シリーズは「Ampere」で、RTX 20シリーズとGTX 16シリーズは「Turing」だよってだけなんですが。
Ampereを採用するGeForceはRTX 30シリーズのみですが、前世代「Turing」はRTX 20シリーズがハイエンド〜ミドルを、残るエントリクラスをGTX 16シリーズが担っていました。つまり単純に、Turingはミドル以上と未満でラインナップが異なっていたわけです。
この2つラインナップは、RTX 20シリーズではRTコアとTensorコアが有効化されて、GTX 16シリーズでは無効化されているという違いがあります。もう少しわかりやすく言うと、RTX 20シリーズで使える「リアルタイムレイトレーシング」と「DLSS」がGTX 16では同じ世代なのに使えないという違いです。
で、その中でRTX 2050という製品はこれまで登場しませんでしたが、先日、突如登場したのです。
本当にわけのわからない製品だった
再度申し上げます通り、RTX 20を冠する製品は「Turing」製品のはずだったのです。しかし、すでに後継となるAmpereが登場している中で、しかもRTX 3050もモバイル向けで登場している中で、モバイル向けに投入されたRTX 2050は本当に分けのわからない製品なのです。
あえて言うなら、RTX 2060が再登場したように、半導体不足への対策として古いプロセスルールを使って製造する製品が復活したのかとも考えましたがどうやら、これについては少し異なるそうです。
GA107ベースのRTX 2050(本編)
Igor's LABによるとRTX 2050はRTX 20シリーズなのにも関わらず、ベースは「Ampere」になっており、GPUコアにはどうやら「GA107」を採用しているそう。また、クロックやメモリなどの一部の仕様を除けばどうやらRTX 3050と仕様が共通です。
ではなぜこんな製品が登場しているのでしょうか。考えられる理由はいくつかあるそうです。
まず、製品を出さないといけない理由から。それは、競合製品がまもなく登場するから。2週間後に控えるCES 2022では、IntelからARC 128(エントリGPU)が、AMDもエントリGPUを投入すると見られておりその競合としてRTX 2050を投入しているとのこと。RTX 3050はこれらに比べるとまだ高いようですね。
次にRTX 2050である理由です。これは、Igo's LABのヨスでしかありませんが、単純にRTX 2050はそれほど性能の良いものではなく、RTX 30番台で性能の悪い製品を出したくないというNVIDIAの思いがあるのかもしれないと予想されています。
確かに、RTX 3050を下回るものでRTX 30シリーズとして出せるようなものではないという場合、MXシリーズとして登場させるなども出来たのでしょうが、RTX 2050ではレイトレとDLSSが有効になっており、機能だけはRTX 30番台と同じものを備えています。なのでMXにすることも豪華すぎてできず、RTX 30番台に入れるのも性能が悪すぎて出来ないという中途半端な製品であるにもかかわらず、競合製品が登場する以上、投入しないといけないという状態みたい。そこで、多少ブランドが劣化してもそもそも一つ世代が前のブランドで問題がないけど、エントリクラスブランドではないRTX 20番台がつけられたのでしょう。つまり、内部の技術的な理由ではなく、NVIDIAとしてのマーケティングの要因が強いのでしょう。
ちなみに、Igo's LABのドイツ語原文をDeepLで翻訳したところ「豪華に推しているRTX 30シリーズをこんなクズカードで薄めないようにしているのは、たしかになんとなく理解できる」と書かれていました。それに続いて「NVIDIAはこのカードが好きではないのだろうなと感じます」と書かれていました。まあ大雑把に言ってしまえば、「NVIDIAとして出したくないけど出さないといけないGPU」だということです。
このストーリーを擬人化したとき、RTX 20番台くんはきっと可愛そうなヒロインになることでしょう。
ざっくりまとめよう
ちょっと回りくどい書き方をしてしまったのでまとめます。
CES 2022でIntelとAMDがエントリ ラップトップ向けにGPUを投入しようとしている状態の中、NVIDIAもそれに対抗する製品を登場させないといけなくなってしまった!しかし、そのグレードは豪華なGPUとしてNVIDIAが押しに押しまくっている「RTX 30シリーズ」の名前を冠するにはその名を汚してしまうほどには性能が悪く、かといってエントリ向けの「GeForce MX」を名乗るには豪華で性能も良すぎるという中途半端な製品だった。そこで目をつけたのはすでに使い古されていて汚しても問題ないが、若干豪華であるブランド「RTX 20シリーズ」だった。
もえるGPU市場、Intelという新しい敵、仕方がなく登場させられたRTX 2050の運命とはーーー。劇場版へ続く!!続かない