錦です。
The Elecによりますと、半導体後工程の組み立てとテストを請け負うOSAT*1業界の話として、Appleは1月~2月にかけて「Apple M2」シリーズ(おそらくM2 Pro・M2 Maxを含む)の製造を停止していたことがわかりました。
需要不足
生産を停止した主な原因は、世界的なPC需要の減少であり、Appleも2022年12月期(2023年度第1四半期)の決算にてMacの売上が前年同期比30%減という厳しい状態に立っています。Appleは「Apple Siliconで競争優位性があると思うが短期的には厳しいだろう」という予想を業績を発表した2月の時点で立てていました。
Apple Siliconが製造を停止したのはこれが初めてで、これはTSMCだけでなくパッケージを担当する日韓台独の企業に影響を与えたとしています。理由は、Apple AシリーズのパッケージはTSMCで完結するものの、Mシリーズではいくつかの企業がまたがってコンポーネントを提供し、韓国の企業にてパッケージされています。
報道によると、最終的なパッケージングを行うAmconaは2ヶ月間注文がなくなったとのことで、Apple Siliconのパッケージングは特殊であり、Apple Siliconを生産する「Appleライン」では他社のパッケージングができないため、言ってしまえば稼働できないラインが発生したとしています。また、それだけでなく、AmconaにApple Siliconのために部品や材料を供給する以下の企業も出荷できなくなり影響が出たとのこと。
影響を受けたとされる企業
- ナミックス(日本):アンダーフィル*2
- Accurus Scientific(台湾):はんだボール
- バッカー(ドイツ):Thermal Interface Material
- Henkel(ドイツ):接着剤
- ヨンイルプレシジョン(韓国):パッケージの蓋(リード)
- Amcona(韓国):パッケージング(組み立て)
この時期においてはMacBook Pro 14"/16"がアップデートされ新たに「Apple M2 Pro」と「Apple M2 Max」が登場しましたが、話を聞いている限りでは、この2つも生産が停止してたようです。発売にあたっては大量にM2 ProとM2 Maxを製造し備蓄していたようですが、実際に2月からもこれらが生産開始しなかったのは、単純に需要が小さかったからでしょうか。
3月からは生産再開
なお、3月からは生産が再開しているそうですが、完全には回復しておらず、例年の半分程度の生産にとどまっているようです。
今後も暫くの間はPC市場は不調が続く見通しで、半導体不足の次は需要不足と、なかなか修羅の道になりそうな気がします。