Linux 6.7がStableに到達しました。今後、数日以内に各パッケージマネージャーやディストリビューションの管理者から提供されます。
大きな変更点
Linus Torvalds氏は、Linux 6.7では、Bcachefsの追加によりコミット数が増えているとしていますが、全体的に見てもホリデーシーズンからCESにかけてリリースされる製品へのサポートも含まれています。Linux 6.7からLinux 6.8にかけてHW向けで興味深いバージョンが続く見込みです。
Bcahcefs
Bcahcefsは、Linux 6.7からサポートされるコピーオンライトのファイルシステムです。Bcachefsは、Google出身のKent Overstreet氏が開発したファイルシステムで、同氏が過去に開発したSSDによるディスクキャッシュ技術「bcache」をベースとしています。
基本的にbtrfsやZFSの機能を包括しており、そこにキャッシュ技術、ChaCha20とPoly1305アルゴリズムによる暗号化などを組み合わせて、より安定し、高速なファイルシステムとなっています。
Meteor Lakeのサポート
Meteor Lakeのサポートが含まれています。今回はグラフィックスを中心としており、Meteor Lakeに統合されたXe-LPGの安定性が向上しています。
今回のアップデートにより、デフォルトでMeteor LakeのGPUを利用することが可能になり、Meteor Lake搭載製品への準備が完了しています。
なお、Meteor LakeのNPU「Intel AI Boost」についてですが、IntelがOpenVINOラインタイムを以前からLinux向けにリリースしており、それを経由して叩けば使えるはずです。
IA-64サポート終了
今回のアップデートにより、IA-64アーキテクチャをサポートするコードが削除され、「Itanium」が利用できなくなりました。
Linux 6.8
Linux 6.7のアップデートは、大晦日を避けるために1週間延期されています。Linux 6.8のマージウィンドウは、現地時間8日(日本時間では9日になる見通し)にオープンする予定であることをLinus Torvalds氏が明かしています。
Linux 6.8では、ImagenationからPowerVR向けのオープンソースドライバーが追加される見込みであるほか、GoogleがPixelに搭載しているTensor G1チップのサポート、今年後半に発売が予定されている「Arrow Lake」「Lunar Lake」の部分的なサポート、Raspberry Pi 5のカーネルグラフィックスんドライバーの追加、AMDのRISC-V CPUのサポートなど、かなり魅力的な追加がすでに予定されています。
Linux 6.8は3月頃にStableに到達する見通しとなっています。Nishiki-HubではLinux 6.8の情報を追ってお伝えする予定ですので、期待してお待ち下さい。