錦です。
台湾・UDN(経済日報)によると、TSMCのCEOであるCC Wei氏が同社の3nmの計画について述べたことがわかりました。
3行でまとめると・・・
- TSMCのCEOが3nmプロセスに困難があるものの今年量産開始で計画通りであると改めて明らかにした。
- 初のTSMC 3nm採用はAppleになる見込み。
- TSMCは少なくとも2025年まで毎年プロセスルールが更新される計画で2025年には2nmが登場する。
開発は難航も予定通り
同氏は、TSMC 3nmの開発について「言葉で言い表せないほどの困難を抱えている」としています。この困難とは、どうやら人手不足にあるようで、3nmの研究開発のスタッフが不足しているようです。
しかし、続けて「予想通りに大量生産されるだろう」と計画通りに大量生産されると明らかにしており、N3プロセスは今年中に量産されることが明らかにされました。
TSMC 3nmには、N3自体がキャンセルされ後継のN3EがTSMC初の3nmプロセスになると言う噂がありましたが、これはWei氏によって否定されています。
TSMC 3nmの採用
各社のTSMC 3nmの採用スケジュールですが、一番最初に採用するのはおそらくAppleとなり、今年後半に登場すると噂されているApple M2 Proが最初の採用になる見込みです。どうやら来週登場するApple A16(仮称)には引き続きTSMC 5nmが採用される見込みですが、来年のチップではN3が採用される見通しです。
そして、ついで採用するのがIntelだと見られていましたが、IntelがMeteor Lakeで3nmを採用しないことを明らかにしたので、少なくともIntelは2024年登場予定のArrow Lakeでの採用になる見込みとなりました。AppleとIntelの間で少なくとも1年半〜2年のギャップが生まれる事になってしまいますので、この間に別の企業が採用する可能性がありますね。
AMDは、Zen 5世代で3nmを採用することを明らかにしていますが、4nmと3nmを採用するとしているため、初期に登場するZen 5では採用されず、Zen 5cやZen 5+のようなもので採用されるのではないでしょうか。こちらが2024年登場となっているので、もしかしたらAppleとIntelの間でAMDが採用する可能性があります。
Qualcommについては、今年登場するSnapdragon 8 Gen 2(仮称)においてTSMC 4nmを採用する見込みです。うまいこと行けば2023年に登場するSnapdragon 8 Gen 3ではTSMC 3nmになる可能性があります。ただ、TSMCの3nmをどれくらいの期間Appleが独占するかによってもこのあたりの計画は変わってきそうなので、情報には注意する必要があるでしょう。
NVIDIAは少なくとも2024年まで採用しないでしょうし、今回の5nmの製造容量の獲得にもだいぶ苦労しているところを見ると、TSMC 3nmを採用するかはわかりませんね。
N3E/N3Pと2nm
そして、TSMCの幹部は3nm世代と2nmについて言及しました。
まず、N3プロセスは今年中に量産するとしました。これは前述のとおりです。そして、N3世代のマイナーアップデートとなる、N3Eが来年後半、N3Pが再来年に量産されるとしています。そして、2025年には2nmの生産が開始されるとしています。
つまり、TSMCは少なくとも2025年までは毎年製造プロセスのステップアップを行う計画であることがわかります。そして、話を見ていると2nmは新世代となるようで3nmのマイナーアップデートとはならない様子。2nmの性能については、N3Eと比較して同じ電力で10〜15%性能が向上、または同じ性能で25〜30%省電力になると述べています。