錦です。
AMDは、2023年に登場するモバイル向けRyzenの命名方式を従来のものから変更することを発表しました。
新命名方式
これまでは、千の位が世代を表していました。それ以外はある程度の命名法則が合ったもののあんまりないような感じでした。
特に、モバイルARyzenでは最新アーキテクチャとひと世代前のアーキテクチャがラインナップの中に混在することもあり、その区別が型番を覚えていないとわかりづらくなっていたのです。例えば、Ryzen 7 5700UとRyzen 7 5800Uは、一見同じ世代で同じアーキテクチャである様に見えますが、5700UはZen 2ベース、5800UはZen 3ベースと性能に違いがあります。
新しい命名方式では、型番からあらゆる情報を読み取れるようになりました。
千 | 百 | 十 | 一 | アルファベット | ||
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発売年 | ブランド | IP | グレード | セグメント | ||
9 | 2025年発売 | Ryzen 9 | HX | 55W~ | ||
8 | 2024年発売 | Ryzen 7/9 | HS | 35W~ | ||
7 | 2023年発売 | Ryzen 7/9 | U | 15~28W(Windows) | ||
6 | Ryzen 5 | C | 15~28W(Chrome) | |||
5 | Zen 5 | 上位 | e | 9W | ||
4 | Ryzen 3 | Zen 4 | ||||
3 | Zen 3/Zen 3+ | |||||
2 | Athlon Gold | Zen 2 | ||||
1 | Athlon Silver | Zen/Zen+ | ||||
0 | 下位 |
まず、千の位では登場した年がわかるようになりました。現時点で明らかにされているのは7が2023、8が2024、9が2025であるということです。
そして、百の位ではブランドがわかるようになっています。
十の位ではアーキテクチャがわかるようになっています。Ryzen 7000番台では旧世代のアーキテクチャが導入されることが明らかになりました。
一の位は0と5でその組み合わせで上位か下位かを示します。
末尾のアルファベットはフォームファクタとTDPを示しています。特筆すべき点は15~28WのグレードがUとCでWindowsとChromebook向けで分けられています。
これを基に、例にもなっている7640Uを解釈すると、
となります。
Ryzen 7000 APU
これを基にすると、Ryzen 7000シリーズというよりかは、Ryzen 7040シリーズといったほうがわかりやすいかもしれません(EPYCみを感じる)。
Ryzen 7000番台(2023年に登場するRyzen APU)のラインナップがこの画像となります。
ここに挙げられているシリーズとして
- Ryzen 7020シリーズ「Mendocino」(エントリ向け/Zen 2/RDNA 2)
- Ryzen 7030シリーズ「Barcelo-R」(メインストリーム 薄型軽量/Zen 3/Vega?)
- Ryzen 7035シリーズ「Rembrandt-R」(プレミアム 薄型軽量/Zen 3+/RDNA 2)
- Ryzen 7040シリーズ「Phoenix」(エリート 薄型/Zen 4/RDNA 2)
- Ryzen 7045シリーズ「Dragon Range」(ゲーミング・クリエイター/Zen 4/RDNA 2)
となります。30番台はZen 3とZen 3+の両方を指していますが、今回の場合7030がZen 3、7035がZen 3となっています。一の位が0と5に分かれているそのもっと詳しい定義はわかりませんが、+のつくアーキテクチャがあった場合は+が5になるのかな?ちょっとわかりませんね。
20番台の製品があることからおわかりいただけます通り、Ryzen 7000番台はZen 2アーキテクチャの製品も登場することになります。この製品は既に存在が明らかになっている「Mendocino」というラインナップで、控えめな仕様で399ドル〜699ドルでの展開になることがわかっています。
エントリ向けであることからAthlon〜Ryzen 5の展開になるようです。
AMD、低価格ラップトップ向けAPU「Mendocino」の存在を発表 〜 Zen 2とRDNA 2で構成されるAPU - Nishiki-Hub
ちょっとした疑問
今回のこの命名方式、GPUが分からないんですよね。多分AMDのことだからこの先しばらくはRDNA 2なんでしょうけど、今回BarceloはVegaベースであり、下位のMendocinoよりアーキテクチャ的に人世代前になります(ただし、MendocinoのRDNA 2はかなり小規模)。
Intelも第10/11世代モバイル向けCoreのIce LakeとTiger Lakeで似たような命名法則を導入し、そこではGxという形でGPUのグレードが分かるようになっていました。第12世代Alder Lakeでは元の命名に戻っています。