錦です。
AMDは昨日、Ryzen 7000シリーズのモバイル向けAPUを発表しました。
発表されたもの
では発表されたものを見ていきましょう。
最大16コアを実現したRyzen 7045HXシリーズ
Ryzen 7045HXシリーズは「Dragon Range」として知られる超ハイエンドラップトップ向けのシリーズです。
コアスレッド | ベース クロック |
ブースト クロック |
L2+L3 | TDP | GPU | CU数 | GPU ブースト |
|
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Ryzen 9 7945HX | 16C/32T | 2.5GHz | 5.4GHz | 80MB | 55~75W+ | 610M | 2 | 2,200MHz |
Ryzen 9 7845HX | 12C/24T | 3.0GHz | 5.2GHz | 76MB | 45~75W+ | 610M | 2 | 2,200MHz |
Ryzen 7 7785HX | 8C/16T | 3.6GHz | 5.1GHz | 40MB | 45~75W+ | 610M | 2 | 2,200MHz |
Ryzen 5 7645HX | 6C/12T | 4.0GHz | 5.0GHz | 38MB | 45~75W+ | 610M | 2 | 2,200MHz |
7045HXシリーズは、Intelで言う、55W帯CPU、Raptor Lake-HXと競合するラインナップです。どうやら、デスクトップ向けの構造をそのままモバイルソケットに置き換えた形になっているものと見られます。そのため、マルチチップレット構造となっており、Ryzenではこれが初めての採用になるでしょうか。ただし、TDPは55Wとノートパソコンに搭載できるレベルくらいには落とされていますが、それでも超高性能です。
注目すべきは、最上位の7945HXです。7945HXはなんと16コア32スレッドとなっています。L3キャッシュの容量を見る限り、Ryzen 9の2 SKUは2つのCCDが搭載・有効化されているようです。
RDAN 2の内蔵GPUも搭載していますが、2 CUと非常に小規模であり、dGPUを前提としています。
RDNA 3 GPUとXDNA NPUを統合したRyzen 7040シリーズ
Ryzen 7040シリーズは「Phoenix」として呼ばれていた、ハイエンド向けのCPUです。AMDのセグメントでは「Elite Ultrathin」向けとしています。おそらくは軽量ゲームブック向けであると見られます。Rembrandtの実質的な後継であり、今回登場した製品の中で唯一構造が新しくなったモデルとなります。
コアスレッド | ベース クロック |
ブースト クロック |
L2+L3 | TDP | GPU | CU数 | GPU ブースト |
|
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Ryzen 9 7940HS | 8C/16T | 4.0GHz | 5.2GHz | 40MB | 35~45W | 780M | 12 | 3,000MHz |
Ryzen 7 7840HS | 8C/16T | 3.8GHz | 5.1GHz | 40MB | 35~45W | 780M | 12 | 2,900MHz |
Ryzen 5 7640HS | 6C/12T | 4.3GHz | 5.0GHz | 38MB | 35~45W | 760M | 12 | 2,800MHz |
このモデルに置いて注目すべきは、内蔵GPUです。内蔵GPUはなんと12CUのRDNA 3「Radeon 780M」を搭載しているのです。もちろんハードウェアレイトレーシングに対応します。
Phoenixシリーズは、XDNAというAIエンジン(NPU)「Ryzen AI」が搭載されています。このNPUはAMDはが買収したXilinxのFPGAをベースにしています。これによってCPU/GPUとは別のリソースでAI推論を行うので、より高い性能・効率が実現できます。ちなみに、Phoenixはモノリシックのチップレットとなっており、このRyzen AIもこのダイに含まれているようなのですが、どうやら、普通にFPGAとしてプログラマブルであるそうです。
Ryzen AIはWindows 11 v22H2で追加された「Windows Studio」系の機能を使うのに必要なアクセラレータで、Qualcommが選考して採用している他、IntelもRaptor Lakeで外部チップとしてサポート、第14世代Meteor Lakeで搭載する計画を明らかにしています。
更に、プロセスルールはTSMC 4nmとなっており、なにげに初めてAMDが4nmを採用した製品となっています(そして、初めてAMDがTSMCの最新プロセスを採用)。
なお、今回のモデルには、予告されていたU(15W/28W)モデルがなかったのですが、これはどうなるんでしょうか。
Zen 3+ + RDNA 2構成のRyzen 7035シリーズ
Ryzen 7035シリーズは、昨年発表された「Rembrandt」をリフレッシュした「Rembrandt-R」として開発されていたモデルです。
コアスレッド | ベース クロック |
ブースト クロック |
L2+L3 | TDP | GPU | CU数 | GPU ブースト |
|
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Ryzen 7 7735HS | 8C/16T | 3.2GHz | 4.75GHz | 20MB | 35~54W | 680M | 12 | 2,200MHz |
Ryzen 5 7535HS | 6C/12T | 3.3GHz | 4.55GHz | 19MB | 35~54W | 660M | 6 | 1,900MHz |
Ryzen 7 7735U | 8C/16T | 2.7GHz | 4.75GHz | 20MB | 15~28W | 680M | 12 | 2,200MHz |
Ryzen 5 7535U | 6C/12T | 2.9GHz | 4.55GHz | 19MB | 15~28W | 660M | 6 | 1,900MHz |
Ryzen 3 7335U | 4C/8T | 3.0GHz | 4.3GHz | 10MB | 15~28W | 660M | 4 | 1,800MHz |
このシリーズは、Rembrandと同様にZen 3+ CPUとRDNA 2 GPUから構成されています。
おもに昨年のCPUを更新されたモデルであり、詳細な使用以外の大きな変化はありません。プロセスルールは6nmです。
Zen 3 + Vegaでメインストリームに投入されるRyzen 7030シリーズ
Ryzen 7030シリーズは、Ryzen 5000シリーズAPUを更新したモデルです。2世代前のCPU「Barcelo」のリフレッシュ版です。
コアスレッド | ベース クロック |
ブースト クロック |
L2+L3 | TDP | GPU | CU数 | GPU ブースト |
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---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Ryzen 7 7730U | 8C/16T | 2.0GHz | 4.5GHz | 20MB | 15W | Vega | 12 | 2,000MHz |
Ryzen 5 7530U | 6C/12T | 2.0GHz | 4.5GHz | 19MB | 15W | Vega | 6 | 2,000MHz |
Ryzen 3 7330U | 4C/8T | 2.3GHz | 4.3GHz | 10MB | 15W | Vega | 4 | 1,800MHz |
おそらく、数世代前のアーキテクチャを更新することによって安価に投入するのが目的であると見られます。
そして久々に見たVega。このAPUはZen 3 CPUにVegaを搭載しています。プロセスルールはTSMC 7nmとなっています。
発売
これらのAPU・CPUが搭載されたデバイスは今年から登場し、すでにCESでもいくつか登場しています。
7045シリーズは2月から搭載システムの出荷が開始され、7040は3月から出荷が開始されます。