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Intel、「Lunar Lake」こと「Core Ultra Series 2」を正式に発表 〜 最大48 TOPSのNPUを搭載でSnapdragonより省電力を主張

3行まとめ

Intelは「Lunar Lake」という開発コードで開発されてきた「Core Ultra Series 2」を正式に発表しました。

Core Ultra Series 2

Core Ultra Series 2のパッケージ

Core Ultra Series 2は、第2世代となるCore Ultra製品で、実質的にMeteor Lakeの後継です。

Lunar Lakeとして開発されてきたこの製品ラインナップは、PBPが17W〜30W、MTP(PL2)が37Wの薄型軽量のラップトップ向けとなっています。そして30Wモデルを除く全てのSKUにはファンレスで動作することを考えられた8Wの最小保証電力(cTDP)が設定されており、超薄型でも動作する様になっています。

ではラインナップを見ていきます。

コア/スレッドベース
クロック
Pコア
ブースト
クロック
Eコア
ブースト
クロック
L3PBPMTP最小電力NPU構成パッケージ
INT8性能
(GPU+NPU)
GPU INT8
NPU INT8
GPUGPU
ブースト
クロック
メモリ容量
Ultra 9 288V4P4E/8T3.3 GHz5.1 GHz3.7 GHz12 MB30W37W17W6x Gen 4120 TOPS67 TOPS
48 TOPS
Arc 140V
8 Xe-Core
2.05 GHz32GBUltra 9 288V
Ultra 7 268V2.2 GHz5.0 GHz17W8W118 TOPS66 TOPS
48 TOPS
2.0 GHz32GBUltra 7 268V
Ultra 7 266V16GBUltra 7 266V
Ultra 7 258V4.8 GHz115 TOPS64 TOPS
48 TOPS
1.95 GHz32GBUltra 7 258V
Ultra 7 256V16GBUltra 7 256V
Ultra 5 238V2.1 GHz4.7 GHz3.5 GHz8 MB5x Gen 497 TOPS53 TOPS
40 TOPS
Arc 130V
7 Xe-Core
1.85 GHz32GBUltra 5 238V
Ultra 5 236V16GBUltra 5 236V
Ultra 5 228V4.5 GHz32GBUltra 5 228V
Ultra 5 226V16GBUltra 5 226V

Lunar Lakeでは9つのSKUが展開され、Core Ultra 9はPBP 30W、Core Ultra 7/5はPBP 17Wのラインナップとなっています。

【資料】ブランドごとの差異

Core
Ultra
9
Core
Ultra
7
Core
Ultra
5
コア数4P4E/8T
電力帯30W17W
NPU基数65
NPU性能48 TOPS40 TOPS
GPUArc 140V
8 Xe-Core
Arc 130V
7 Xe-Core
キャッシュ12MB8MB

CPUは引き続き、PコアとEコアのIntel Hybrid Technologyによるハイブリッド構成になっており、Pコアには「Lion Cove」、Eコアには「Skymont」がそれぞれ搭載されています。LP-Eコアにあたるコアは今回搭載されていません。

NPUは、Movidius世代から数えて第4世代となっており、Core Ultra 9/7では6ユニット、Core Ultra 5では5ユニット搭載し、NPU単体でUltra 7/9では48 TOPS、Ultra 5では40 TOPSのINT8性能を提供します。1ユニットあたり6 TOPSです。NPUは、OpenVINO、WindowsML、ONNX RTに加え、WebNNのAPIが利用できるようになっています。

GPUにはXe2のアーキテクチャを採用。IntelのCPU内蔵GPUとして初めてXMXエンジンを搭載し、AI機能が強化されました。IntelはAMDやQualcommと異なり、各ユニットの中で最もINT8性能が高いのがGPUとなっています。おそらくXMXがNVIDIAのTensorコアに対抗して設計されたものであることが由来であると見られますが、これが幸いしてAMDよりもNPUの性能は若干低いものの、パッケージ全体での性能が大きいというメリットがあります。

各社のNPUとCPU/GPUが提供するAI性能の構成

GPUのブランドにArcがついているようにゲーム機能に対応しており、レイトレやメッシュシェーディングなどのDirectX 12 Ultimateをフルサポートしています。

Lunar Lakeは電力効率を強く意識した製品となっており、電力効率はArm系のプロセッサよりも高いとしています。電力効率を向上させるために、常に電流を流し続けなければならずネックであったハイパースレッディングを無効にしています。

また、ハードウェアの設計を簡素化できるように、Apple Siliconのようにメモリがパッケージ上に同梱されています。2チャネルで接続されたLPDDR5X-8533メモリが2スタックで、16GBまたは32GBのメモリを搭載しています。

性能と効率

先述の通り、IntelはCore Ultra Series 2の電力効率が高いことをアピールしており、現状製品として出回っているSnapdragon X Elite X1E-80-100と比較してケースバイケースにはなるものの、同等程度のバッテリー駆動時間を実現しています。

UL Procyonが提供する、Microsoft Office環境でのOffice ProductivityベンチマークテストでSnapdragonが18.4時間だったのに対して、Core Ultra 9 288Vは20.1時間のバッテリー駆動時間を実現しました。しかし、TeamsではSnapdragonが12.7時間に対して、Core Ultra 9 288Vは10.7時間と逆転する結果となりました。

電力効率面では、Apple M3と並びますが、最大性能ではM3よりも高く、またSnapdragon X Elite X1E-80-100と同じ性能を40%低い電力で実現しています。

基本的に、性能もほとんどのワークロードにおいてSnapdragon XとRyzen AI 300シリーズを上回ります。シングル性能が強化されており、Snapdragon Xに対してRyzen AI 300は数%高い性能にとどまるものの、Core Ultra Series 2は、20%前後優位な性能を誇っています。

一方で、物理コアが8コアでしかもハイブリッドアーキテクチャであるということもあり、省電力性では勝るもののマルチ性能では若干競合に劣ります。これは前世代のMeteor Lakeと比較した場合にも言えることで、Meteor Lakeの純粋な後継ではない(省電力帯の製品であること)には注意が必要です。

AI性能は、パッケージ全体で見たときに、理論性能の時点でSnapdragonの1.6倍、Ryzen AI 300シリーズの1.41倍のリードがありかなり優位です。さらに、NPU単体の性能はAMDに劣るものの、低精度での実行に関してAMDよりも優位性があるようで、フレームワーク(の可用性)、性能などにおいてリーダーシップがあると主張しています。

特に、GPUのAI性能については非常に高く、XMXの恩恵が出ています。

GPU性能について、ゲームタイトルによってRyzen AI 300シリーズに劣るものの、同等〜30%程度高い性能となっています。

今回、Intelは特にAIとGPUの性能について他社が対応していない部分に対応しているという旨の主張が多い印象があります。今回の発表を見ていると省電力性が高い反面、性能は競合と同等程度に落ち着くものの、汎用性の面では優位性があると判断することができるでしょう。

登場

Core Ultra Series 2搭載製品は、9月24日から販売開始となります。ASUSやAcer、Dell、HPのほか、日本のサードウェーブ、ユニットコム、マウスからも登場することがアナウンスされており、総じて80以上のデザインが登場します。

Windows Copilot+機能への対応は10月頃の無料アップデートを予定しており、先行しているRyzen AI 300シリーズと同時に対応となるでしょう。

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