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Linux 6.11がStableに到達 ~ Fedora 41で採用へ

3行まとめ

Linux 6.11がStableに到達しました。

Linux 6.11

Linux 6.11は、Linuxカーネルの最新バージョンです。10月22日のリリース目標であるFedora 41に採用されるカーネルです。

今回の主な変更点はハードウェアサポートの追加が中心となっています。目玉としては、Snapdragon Xシリーズのサポート追加や、年末に向けて発売されるIntelやAMDのCPUが含まれています。いつも通りであれば、6.12が11月半ばにリリースされるので、CESで登場するような製品についてはそちら側でサポートされるというものもあるようです。6.11は年内最後のバージョンではないので長期サポート版は提供されないものと見られます。

ハードウェアサポートの追加・強化

Zen 5 CPUが登場しましたが、Linux 6.10から引き続きZen 5のサポートが行われています。また、Ryzen AI 300シリーズに搭載されているRDNA 3.5アーキテクチャの最適化や、この先登場するZen 5 CPUのサポートなどが行われています。Windowsで実装された分岐予測の強化によるRyzenの性能向上についてLinuxでも反映されるかは不明です。

Intelも同様で、今月発売されるLunar Lakeや、年内登場予定のArrow Lakeのサポートが行われている他、Xe2 GPUの実験的なサポートが行われています。Xe 2 GPU(Battlemage)はLinux 6.12で安定する見込みです。

Snapdragon Xシリーズについても引き続きサポート作業が続いており、このバージョンでも対応するデバイスが増加しました。ただし、デバイスのすべての機能に対応しているわけではないことには注意が必要です。

  • AMD
    • RDNA 4のサポート、Linux 6.12でより最適化される予定
    • Strix Point(Ryzen AI 300シリーズ)のiGPU RDNA 3.5のサポートが強化
    • ProArt X670E CREATOR WiFiマザーボードドライバ
    • Zen 5 CPUのサポート強化(PMCドライバのサポートとSMUコマンドの修正)
    • Zen 5 CPUのラインナップ追加
    • AMD Core Performance Boost処理が追加され、Ryzenで電力効率が向上
  • Intel
    • Arrow LakeとLunar Lakeのサポート強化
    • Panther Lakeのオーディオサポートの追加
    • Xe2(Battlemage)GPUのサポート(現在は実験的で6.12で安定する予定)
  • Snapdragon X
    • サポートされるデバイスが増加(ただし、すべての機能には対応していない)
  • その他
    • LoongArchのカーネル機能が強化
    • RISC-Vの新しい拡張機能に対応
    • RISC-Vの性能向上
    • Apple T2搭載Macのキーボードバックライトに対応するデバイスが増加

その他

AVX-512やAVX10、VAESへの最適化により、IntelやAMDプロセッサでのAES-GCM暗号化の性能が大幅に向上します。

それ以外では、メモリ再利用のための新しいswapiness引数の追加や、デバイスメモリTCPの追加が行われています。

Rustツールチェインの強化は引き続き行われています。

その他、多くの修正や調整が行われています。

リリース

Linux 6.11は、パッケージマネージャを通じて、UbuntuやFedora、Arch Linuxをはじめとしたディストリビューションに提供される見込みです。

前述の通り、来月リリースのFedora 41ではデフォルトで採用されるカーネルとなります。

あれこれ

Linux開発において、Linux 6.10がリリースされてから少し興味深い話があったので少しだけ言及。

まず、Linuxの開発言語について。現在、LinuxカーネルはC言語とRust言語の2つが用いられています。もちろん細かいところでShell Scriptやアセンブリ直書きがありますが、メインはC/Rustです。RustはLinux 6.1で初めて利用されているものになりますが、現在はC言語派とRust派で派閥争いが発生しているようです。

Rustが採用された理由としては、Rustの言語仕様上 メモリ安全性を高める事ができ、Linuxをはじめとした多くのソフトウェアに存在する脆弱性の多くを占めるメモリ関連の問題を事前に防止することができます。しかし、C言語の開発者はこれを快く思っていないようで、対立によってRustのLinuxへの採用が遅れているようです。

この対立が表面化したのがLinuxのRustメンテナだったWedson Almeida Filho氏が辞任した出来事です。これによって対立がより明確になったような気さえしています。実質的にこの対立は保守派と革新派による対立であり、保守派はRustの必要性をそれほど高く評価していないということのようです。おそらくは、考え方の違いと新しい言語への抵抗性が根底にあります。

Linux 6.12

Linux 6.12は明日からマージウィンドウが開かれます。いつも通りであれば9月22日にrc1がリリースされるでしょう。

記事の冒頭でお話した通り、6.12は11月頃にリリースされる見込みで、こちらが年内最後のバージョンとなるものと見られます。

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