iOS 18がリリースされましたが、メッセージアプリがRCSメッセージに対応しました。
RCS
RCS(Rich Communication Service)は、SMSの代替として考案されたメッセージの送信規格です。SMSの実質後継ということもあり送信できる文字数が増えているなどの機能的な部分でも強化されている他、SMSが電話回線を利用しているのに対して、RCSはIP上にインターネットと同じプロトコルで実装されているという技術的な特徴もあります。
GoogleはAndroidで2016年以降にOSレベルでサポートしている他、2019年にはキャリア通信を介さないRCSの送受信機能も実現しています。
日本では、KDDI au、NTTドコモ、SoftBankが+メッセージを介してRCSを提供している他、楽天モバイルがRakuten Linkアプリを通じてRCSのメッセージアプリを提供しています。
Googleをはじめとした多くの企業はAppleに対してRCSの対応を促していましたが、Appleは長年沈黙を貫いてきたという流れです。AppleはついにiOS 18にてRCSに対応しました。
iMessageとRCSとの違い
iMessageとRCSはインターネットを経由して送受信するという点で同じです。また、SMSよりも画像や動画などのリッチなデータを送受信できるということも共通点です。では両者の違いは何でしょうか。
まず提供者です。iMessageはAppleが無料で提供しているにたいして、RCSは各通信事業者が提供する機能になります。そのため、通信事業者によっては料金がかかる事も考えられます。
また、iMessageはiOSやiPadOSなど、Apple製のデバイスでのみ送受信することができるのに対して、RCSは対応していればOSやプラットフォームをまたいで送受信することができます。
一見、RCSのほうが優れているように見えますが、iMessageにはならではの機能もあります。例えば、Appleが提供しているSDKを用いて開発されたアプリによっては、iMessageで特殊なデータ(スタンプなど)を送受信することができます。また、iOS 18で追加されるテキストエフェクトなどにもiMessageでのみ対応しています。
とはいえ、RCSのiOS 18への対応によって、普通のメッセージとiMessageの違いが薄くなった様な気がしますね。
iMessage | SMS/MMS | RCS | |
---|---|---|---|
通信経路 | インターネット | 電話回線 | インターネット |
暗号化 | E2E | 暗号化なし | 暗号化なし |
提供者 | Apple | 通信事業者 | 通信事業者 |
iMessageの機能 | 対応 | 非対応 | 非対応 |
OS間送受信 | Apple製OSのみ | 可能 | 可能 |
画像・動画 | 可能 | 不可能 | 可能 |
日本でのiOS 18のRCS対応
日本のキャリアも、おそらく早い段階でiPhoneのRCSに対応するものと見られます。
現時点で何らかの言及を行っているのはKDDIのみで、KDDIは検討していると言及しています。
ここで非常に重要となるのが+メッセージの存在です。実際、両者が共存するかは不明ではあるものの、機能的にはOS標準のメッセージアプリ(GoogleメッセージとiPhoneのメッセージアプリ)については競合する関係にあります。とくに、+メッセージはそのアプリの性質上、au、docomo、SoftBankのいずれかが撤退すれば、その必要性が一気に小さくなるような気がします。
逆に楽天モバイルとすれば、蚊帳の外の+メッセージを考慮する必要もないので、OS標準のRCSに対応することに躊躇しないでしょう。
個人的にはMNO 4社が揃って対応することが望ましいような気もしますが、どうなるのでしょうか。