Linux 6.10がStableに到達しました。
新機能
Linux 6.10では、ハードウェアのサポート追加とともに、様々な機能が追加されています。
まず、メモリシーリング機能のサポートです。C言語向けにmseal()というシステムコールが追加されました。これは、メモリの再マッピングから領域を保護するための機能で、読み取り専用となっている領域が書き込み可能になっていたりするような.textで確保された領域を保護するために使用されます。Chromeの開発者が手動しており、glibcやWebブラウザでの使用が想定されているようです。
さらに、TPMのサポートも含まれています。整合性の確認や暗号化機能がLinux上から利用可能になっています。
その他、BchaceFSが引き続きメンテナンスを続けている他、起動時にメモリスロットの数が表示されるようになるなど、多数の変更が加えられています。
- Clangを使用してカーネルをビルドした際に、カーネルフロー整合性保護機能がデフォルトで有効化
- RISC-VでRust言語でのLinux開発がサポート
- ARM64での32bitシステムの無効化オプションの追加
- 一部ファイルシステムでのAVX-512拡張命令の活用による処理の高速化
など。
ハードウェア
ハードウェアのサポートに目を向けると、IntelのPanther Lake、AMD Zen 5系統のサポートが目立ちました。
IntelとAMDではP-Stateの更新により、CPUの動作クロックの調整が行われています。
さらにQualcommのSnapdragon X EliteではeDP/DPのサポートなど、継続的な機能追加が行われている印象があります。
それ以外にも、Steam Deckでのモーションセンサーのサポートや、ARMゲーム機のサポート強化、Milk-V Marsのサポート、Intel APXのサポート強化などが行われています。
Linux 6.11
Linux 6.11はマージウィンドウが現地時間15日にも開かれる見込みです。Linux 6.11ではSnapdragon X EliteのGPUのサポート強化のほか、AES-GCM暗号化の大幅な性能向上、AMD Ryzenのブースト強化による性能改善などが計画されています。
Linux 6.11は9月頃〜10月頃にStableに到達する見込みです。