錦です。
Tom’s Hardwareによると、Intelが「Intel Evo Platform」やTiger LakeとApple M1を比べれば、前者の方が優れている点が多いと主張していることがわかりました。
Apple M1についてIntelが何か、反発するような姿勢を見せたのはM1登場後初めてのことだと思います。
これらは、Intelによって比較された「MacBook Pro M1 16GB」と「Tiger Lake Core i7-1185G7 16GB」の結果です。
まず、全体的なウェブブラウジング性能を測定する「Web XPRT 3」をChrome上で動作させた結果は、「全体」がApple M1に対してIntelの方が1.32倍高い結果であるとしており、そのほかにも「写真の補正」が2.96倍になっていると指摘しています。また、Microsoft Office 365でのパフォーマンスでは、「PowerpointスライドのPDFへのエクスポート」で2.34倍、大きなExcelのデータの並べ替えで1.93倍や3.23倍ほどIntelが上回っていると主張しています。また、
また、クリエイティビティについても、「Handbrake」で4K AVCとHEVCに変換する性能が1.12倍高いと主張しているほか、Adobe Premireの「4K H.264書き出し」で1.42倍、「4K H.265書き出し」が1.72倍になっているなど、クリエイティブな性能についてもApple M1に勝っているとしており、AIの性能が求められるPremireの「Auto Reframe」で1.36倍、「Topaz Labs」の「DenoiseAI」による「Denoise Photo」で5.67倍、おなじく「GigapixelAI」による「4倍拡大」についても6.02倍など、クリエイティブな処理におけるAI性能もApple M1に大きく勝っていると主張しています。
そして、ゲーミング性能も、平均FPSが「Middle - Earth: Shadaw of Mordor」でM1が32.2FPSしか出ないのに対して、Intelが71.2FPS出ているなどの資料を挙げています。ゲーミングについては、そもそもM1で動作しないゲームも数えきれないほどあるとしています。
Intelの主張としては、非常にわかりやすく「Apple M1もすごいけど、Intelの方がもっとすごいんだぞ」という内容でしたが、Tom’s Hardwareによるとどうやらこの結果は、何かがおかしいようです。というのも、Tom’s Hardwareが公開しているレビューと異なるそうで、同メディアが検証したChromeの性能比較の結果は、M1のほうが高いとは言えないものの、ほぼ同じレベルになっていたそうです。そのほか、Intelの比較に使われたi7-1185G7は、搭載モデルが数モデルしか出ておらず、比較する対象としてはその価値に疑問が呈されています。そのほか、OfficeやPremireなどの検証にはIntelの基準が使われていることも指摘しています。
M1でできないこと
Intelは、MacBook Proで検証したものとして、Outlookの「カレンダーに切り替える」や、Zoomの「ビデオ会議の開始」、PowerPointの「画像メニューの選択」など、25個のテスト中8項目に失敗したと主張。Intelはこれの詳しい情報を明らかにしませんでした。
これについては疑わしきものもありますが(Zoomについては、Tom’s Hardwareも指摘している通り、ビデオ会議ができてるし)、Apple M1ではできないこともあるということは間違いないので、どうとも言えませんね。たしかに、この部分はIntelが強い。
そして、IntelはApple M1で使えない外部デバイスや対応しないソフトなども挙げています。Intelは、MacでプレイできるSteamタイトルは限りがあるとしているほか、CoDやValorant、GTA VはmacOSでサポートされない、タッチスクリーンに対応していない、Boot Campが使えない、Macにはストリーミングゲームも低いゲーミング体験しか提供されない、Wi-Fi/Bluetoothに問題がある、とひとしきりゲーミングに関するM1の問題点を挙げました。
そのほか、外部デバイスの対応が乏しいことも挙げ、eGPUに対応しないことや、指紋センサーを搭載したSamsung T7が利用できないことを問題点に挙げていますし、ゲーミングヘッドセットやペンタブ、ゲームコントローラーの対応が怪しいというところも問題点に挙げています。ただ、この部分は若干Intelの難癖感があって、eGPUに対応しないことは確かに問題ですが、ゲーミングヘッドセットやペンタブについてはある程度サポートが進んでいますし、ゲームコントローラーについても現在テスト中のmacOSでPS5とXbox SXのコントローラがサポートされているので、まぁあまり気にしないでいいのかなと。。。。
そして、Intelの最大の強みであるソフトの対応問題。Google DriveやBox、FocusriteなどのソフトがMacには対応しないと強調しています。
バッテリー
そして、Intelは250ニトのディスプレイの輝度でブラウザでNetflixで再生しながらタブを開いた状態でのバッテリーの駆動時間を「M1 MacBook Air」と「Acer Swift 5(i7-1165G7)」で比較すると、MacBook Airが10時間12分・Swift 5が10時間6分と、ほんの少ししかMacがリードしなかったとしています。Intelが多分言いたいのは、Appleが公式発表で謳っている18時間や15時間というバッテリー駆動時間は、状況を変えるとIntel CPUと大差ないということだと思います。
ただ、これもTom’s HardwareのMacBook Proの検証で、数時間Macが上回ることが指摘されているので、バッテリー容量が少し少ないMacBook Airでもたいして状況が変わらないとみられることから、この点はIntelの主張がおかしいとみられます。
まとめ
IntelがApple M1に対する自社の優位性をアピールすするためのスライドだったようですが、実際の数値にはやや疑わしき点もあります。Intel側の主観的な発表なので、一概に正しいとは言えず、Tom’s Hardwareが指摘するように、ややおかしな数値も含まれているようです。ただ、Macの最低値とIntel CPUの最高値をそれぞれ取るとこうなるかもしれませんので、Intelが間違ってたとか、そういうわけでもないです。特にゲーミングあたりの数値はこういうのが出しにくいと思うので信じていいかも。
あと、IntelもApple M1のことをけなしてばかりいるわけではなく良い点も挙げていて、ある意味 IntelがAppleのことを立派な競合相手だと認識しているということなので、今後IntelとApple、そこにAMDやQualcommあたりがバチバチに戦ってくれることを楽しみにしたいと思います。Intelもモバイルプロセッサの方は急速に性能が上がってきていますし!
スライドの画像などは、Tom’s Hardwareに掲載されているので、興味のある方はご覧ください。