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「Steam Deck」でWindows 11を実行するためにAMDとValveが連携 ~ Valveの幹部「Win11で問題が発生することはまだ何もない」

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錦です。

先月中旬に発表されたハンドヘルド式のゲーム機「Steam Deck」ですが、開発元Valveが、Windows 11を動作させるためにAMDと連携していることを明らかにしました。

Steam Deck

Steam Deckは、昨月発表された、Steamの開発元であるValveの新型のハンドヘルド式のゲーム機です。実際には「ゲームに特化したPC」という扱いになっており、Nintendo Switchの競合相手とも見られているデバイスです。

プロセッサには、Zen 2 CPUとRDNA 2 GPUを搭載したAMDのカスタムAPUが使われており、性能やプロセッサの規模は別にして、PlayStatiton 5やXbox Series X/Sと同じ構成のAPUを採用しています。特徴的なのはOSで、動作するOSは、他のゲーミングUMPCのようなWindowsでも、ゲーミングスマホのようなAndroidでもなく、Arch Linuxをベースにした「SteamOS 3.0」を搭載しています。

外部OSの扱い

Steam Deckは、前章の冒頭で説明したとおり「ゲームに特化したPC」という扱いになっているようで、発表直後に公開されたFAQによると、OS含め、お好みのソフトウェアをインストールできるとしています。

Windowsや他のサードパーティコンテンツをインストールできますか?
はい。 Steam DeckはPCですので、他のOSも含め、プレイヤーはお好きなソフトウェアを何でもインストールできます。
Steamworks ドキュメンテーションより

これは、すなわち、WindowsLinuxAndroid x86のようなサードパーティ製のOSもインストールすることが可能ということを意味しています(おそらく、自分でOSは用意しなければならないのでしょう)。

Windows 11

では本題。PC Gamerによると、ValveのSteam Deckの設計者である、Greg Coomer氏はWindows 11についてのサポートをするために準備中であることを示しています。その準備のためにAPUの開発元であるAMDと連携しているそう。どうやら、すでにTPM 2.0の問題はクリアしているようで、現在はBIOSレベルの対応を確認するためにAMDと話し合いを行っていると説明しています。

同氏は「Windows 11で何か問題が発生するということは、まだ何もありません」と強気な発言をしており、おそらくSteam Deckは出荷時点でWindows 11の互換性をクリアした状態で登場することになるのでしょう。

最強コスパの本物PCにも使える

Steam Deckにオプションで付けられるドックにはUSBポートや、HDMIポート、Display Portが搭載されており、Steam Deck自体でもBlutoothのサポートがあるので、それらを経由してキーボードやマウスなどのアクセサリを使うことができる他、外部ディスプレイに映像を出力できます。その上、Windowsも搭載できる(Windows 11だけでなくWindows 10にも対応)ので、ゲーミング以外にも普通にPCとして利用できます。

このAPU、Zen 2とRDNA 2だからそこそこ性能もよく、メモリも16GB搭載している上、Wi-Fiにも対応しているので、オフィスワークどころか、ある程度の動画編集なんかも普通にできちゃうくらいの代物です。しかもお値段は、512GB NVMe SSDモデルで649ドル。日本円にしたらいくらになるかわかりませんが、本稿執筆時点での為替レートをそのまま適用すると7.1万円程度。これにWindows 10 Homeが大体1.5万円なので、総じて8.6万円程度。日本への輸入を鑑みても10万円程度になります。実際のAPUの仕様がわからないのでなんとも言えませんが、普通に考えて10万~20万するようなPCが10万円程度で手に入るというのは、なんかいいですね。(しかも一応モバイルすることもできる)。

SteamOS

Nishiki-Hubでは、NVIDIAとSteamの話で過去に何回か登場していますが、Steamには「Proton」というものがあります。これは、Linuxで、Steamのコンテンツを動作させるものですが、実は現時点で、対応していないゲームも多いんです。

Protonの対応度合いを公開している「ProtonDB」によるとTop10のゲーム*1では、4つのゲームがBorked(致命的に動かない)判定、Native(ネイティブで問題なく動作する)判定を受けたゲームは3つのみとなっています。Top100まで広げると、Gold(微調整はいるが快適に動作)判定以上を受けたゲームは78%、Top1000まで広げると79%まで増えます。

ただし、Top10が前述の通り50%にとどまっているので、Steam DeckをSteamOSで楽しむのなら、遊びたいゲームが対応しているかどうかを「ProtonDB」で確認するほうがいいかもしれません。


とはいいつつ、ValveはSteamOS 3.0のサポートについて、Protonの改良によって拡充していくようで、Steam Deckを出荷するまでにすべてのゲームが動作するようにするという目標を掲げています。実際、SteamOSは、Steam Deckに最適化されているそうで、PC Gamerは実際に使ってみた感想として「SteamOS 3.0のUIの見た目と使い心地に大きな感銘を受けた。Windows 11ではなかなか真似できないコンソールのような体験ができる」とレポートしました。

Steam DeckをPCのように使うのなら話は異なりますが、Steamゲームを遊ぶために・・・というのなら、Windowsのインストールについては少し、様子見をしてもいいのかもしれません。

関連リンク

*1:Counter-Strike: Global Offensive、Dota 2、PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS、Apex Legends、Rust、鬼谷八荒、Grand Theft Auto V、Destiny 2、Team Fortress 2、Tom Clancy's Rainbow Six Siege