錦です。
Moore's Law Is DeadがYouTube動画を更新し、将来数年間のIntelの動向について伝えています。
本エントリは、この中でIntelの内容のみを取り上げます。
今後しばらくのCore
今回の話は、少し先までのIntel CPUのロードマップを理解しておかないと分かりづらい話だと思うので、先に簡単にまとめておきます。
以前、登場したリーク。どうやら、このリークはソースがなかったので信憑性は低かったのですが、徐々に裏が取れつつあり、あながち間違いではないかもしれないと言われています。
シリーズ | 時期 | P-Core | E-Core | |
---|---|---|---|---|
第12世代 | Alder Lake | 21Q4 | Golden Cove | Gracemont |
第13世代 | Raptor Lake | 22Q4 | Raptor Cove | Gracemont |
第14世代 | Meteor Lake | 23Q2 | Redwood Cove | Crestmont |
第15世代 | Arrow Lake | 23Q4 | Lion Cove | Skymont |
第16世代 | Lunar Lake | 24Q4 | Lion Cove | Skymont |
第17世代 | Nova Lake | 2025 | Panther Cove | Darkmont |
Xeonの流れ
まず、Xeonというかスケーラブルプロセッサについて触れていきます。
Emerald Rapids
Alder Lakeと同世代となるXeonのプロセッサとなるのは「Sapphire Rapids」です。これは既に発表済みです。
で、そのSapphire Raidsの後継となるのがEmerald Rapidsとなります。Emerald Rapidsは、Sapphire RapidsとGranite Rapidsの間のプロセッサになります。未だにその存在はIntelから発表されていません。
Emerald Rapidsは、Golden Coveを採用するSapphire Rapidsから5-10%ほどIPCが向上するとされています。Raptor LakeのPコアに採用される「Raptor Cove」が「Golden Cove」と比較して同じくらいのIPCの向上を果たすと言われているので、Emerald Rapidsも「Raptor Cove」と考えていいでしょう。プロセスルールはSapphire Rapidsと同様に10nm Enhanced SuperFinが名前を変えたIntel 7が採用されています。
プラットフォームは、Sapphire Rapidsと共通で「Eagle Stream」が対応します。
製品として、最大コア数は64コアになり、TDPは最大350Wとなるみたいです。
Granite Rapids
そして、Emerald Rapidsの後継となるのが「Granite Rapids」です。Granite Rapidsの存在は、すでにIntelから明らかにされており、7nmが名前を変えたIntel 4プロセスルールで製造されます。当初、Granite RapidsはSapphire Rapidsの後継になる予定なのが、変わったらしい。
一応、Meteor Lakeと同じ「Redwood Cove」を採用して、コア数は増えるそうです。
パッケージ構造はSapphire Rapids同様、マルチチップレット構成を取るとのことで、ダイあたり最大60コアになるそうですが、歩溜まりを改善するため、いくつかのコアは無効化されるとのこと。普通に考えれば56コアずつの112コア程度と予想する事ができます。競合するのはAMD Zen 4 EPYC「Bergamo」。Bergamoは、Zen 4 EPYCの中でも、最大128コアものコアを提供するもので、クラウド向けとなっています。Granite Rapidsは、Bergamoにコア数は及びませんが、IPCが追いつきつつあり、競争できる可能性がります。
Diamond Rapids
Diamond Rapidsは、Granite Rapidsの後継とみられるラインナップです。Granite Rapidsでもサポートされる、BirchStreamおよびMountainStreamプラットフォームが対応します。
このタイミングで、大型なアーキテクチャの改善が含まれるとのことです。Diamond Rapidsは少なくともRedwood Coveよりも後のCPUコアを採用します。
アーキテクチャの大幅な改良と書かれていますが、そのCPUコアは明かされておらず。これまで通りCore系統と同じCPUコアを採用するの出れば「Lion Cove」なるアーキテクチャが搭載されることになりますが。Diamond Rapidsについてのもう少し詳しい内容後述します。
Coreシリーズ
ついで、Coreシリーズを見ていきます。実際にはRaptor Lakeよりもあと、第14世代からです。
Meteor Lake
第14世代Meteor LakeはIntelから既に発表がある通り、マルチチップレット構造を採用し、CPUタイル自体はIntel 4プロセスルールで製造されます。また、Foverosと呼ばれる2Dスタッキング技術を初めてCore系統のプロセッサで採用することが公式で明かされているシリーズでもあります。
Moore's Law Is Dead曰く「Meteor LakeはAlder Lake/Raptor Lakeのデザインをタイルを用いて分散型のアーキテクチャにしたものと考えて良いだろう」とのこと。実際、iGPUとなるXeが2.5Dあるいは3DスタッキングのGPUタイルとして独立していることがIntelの発表から明らかになっています。
Meteor Lakeは、Intelの発表によれば、「Compute」「SoC」「GPU」の3つのタイルから構成されています。ComputeはCPU、あと2つはそのままの意味です。
Arrow Lake
Arrow Lakeについては、以前お伝えしたとおりの内容になります。
モバイル向けとなるArrow Lake-Pには、6C+8cとなる構成に、320基ものEUが搭載されるiGPUを内蔵するSKUがあるとのこと。
Royal Core Project
現行のCoreは2006年から展開されているIntelのメインストリームCPUブランドです。で、Royal Coreは単に言うと「Coreの進化系」と表すといいかもしれません。
Royal Coreは、Intelのx86プロセッサARMベースのチップや、AppleのSoCに対して、将来に渡って効率で優位に立たせるための構想です。具体的には、電力効率を改善しまくるという内容です。「Royal Core」自体は、アーキテクチャの改良という部分のコードネームであり、実際の製品で使われることは今の所なさそうな感じ。
当初の予定では、Royal Coreが一番初めに採用されるCPUシリーズというのが「Lunar Lake」という予定だったそう。ただ、現在では「Nova Lake」から始まるとされています。
Lunar LakeとNova Lake
で、Lunar Lakeの「Lion Cove」では、Meteor Lakeと比較して30%ものIPCの向上を目標としているそう。以前のリークでは、Lion CoveはArrow Lakeからの採用という話でしたが、その話には触れられていませんでした。
で、「Panthor Cove」を持つNova LakeはよりIPCが向上するそう。
Meteor Lakeで分散型アーキテクチャに成功したら、Lunar LakeかNova LakeでGolden Coveの2倍のIPCを実現するともしており、Intel Core史上最大の性能の向上になるそうです。これがRoyal Coreのパワーなのかどうか。
ここらへんの前後
Moore's Law Is deadは2026年までにCoreにSMT4やDDR5-7400のサポート、内蔵の機械学習アクセラレータ(Appleで言えばNeural Engineに当たるもの?)などの採用が行われるとしています。
SMT4は、4-wayのマルチスレッディング技術で、1コアあたり4スレッドのHTTを意味しています。つまり、物理コア4コアなのであれば、論理コアが16コアで動くということであり、もしこれが実現すれば、かなり歴史的なことになります(サラッと流され過ぎだけど)。