Appleが「Apple M2 Ultra」を搭載した「Mac Studio」と「Mac Pro」を発売しましたが、徐々にその全貌が明らかになってきましたのでご紹介します。
基本的な仕様
基本的な仕様は以下の通り。
M2 Ultra | M1 Ultra | |
---|---|---|
CPUコア | 24コア | 20コア |
構成 | 16P8E | 16P4E |
クロック | 3.5GHz | 3.2GHz |
GPUコア | 64コア | 76コア |
M2 UltraはM2 MaxをUltra Fusionにより2個連結したものになっていますので、規模はそのままM2 Maxの2倍です。
まず、M1 Ultraから大きく変わった点としては、CPUのコア構成です。M1 Ultraでは16基の高性能コアと、4基の高効率コアでしたが、M2 Ultraでは高効率コアが倍増。16基の高性能コアに対して、8基の高効率コアが搭載されました。これに伴い消費電力も向上しており、推定M1 Ultraが最大120W程度だとすると、Mac Studioのシステム消費電力が最大70W程度向上しているので、M2 Ultraはバッファも考えると最大180~200W程度で駆動するものと見られます。M2シリーズでM1からの消費電力が向上していますので、これは順当と言えるでしょう。
ただし、アイドル時の消費電力はさほど変わっていないと見られており、単純にシリコンとしての消費電力の上限が上がったと考えるべきです。
プロセスルールがN5からN5Pに変わっていると見られており、さほど大きな電力効率の上昇には繋がらなかったのでしょうか。
なお、CPU及びGPUのアーキテクチャはM2及びApple A15 Bionicと同じです。
メモリは、1024bitのLPDDR5-6400MHzで、帯域は819.2GB/sとなっています。メモリ帯域・クロック・バスともにM1 Ultraからの変更点はありません。
GPU
GPUについては、映像出力が非常に強化されています。M1 Ultraでは、4台のPro Display XDR(6K60Hz)と1台の4Kテレビ(4K60Hz)の出力に対応していました。つまり、最大5台のディスプレイ出力に対応していたわけです。
M2 Ultraは、4K60Hzであれば最大8台、6K60Hzであれば最大6台と、M1 Ultraから6K以下でも大幅にディスプレイ出力がアップグレードされているうえ、8K出力にも新たに対応しており、8K60zが最大3台サポートされています。さらにHDMI経由では8K240Hzにも対応するなど、ディスプレイ出力は非常に強いことがわかります。
PCIe
今回、初めてユーザーからアクセスすることができるPCIeレーンが追加されたMac ProにもM2 Ultraが搭載されています。もちろんApple Siliconもコンピュータ向けのSoCであることからPCIeのサポートがあります。これまでの使用例は、ストレージやThunderboltなどに用いられていました。
今回Mac Proでは、ドライバがApple Siliconに対応していればPCIeに対応するということになっています。しかし、Apple SiliconがGPUを受け入れる設計になっていないため、Radeon RXシリーズのようなdGPUだけでなく、Mac Pro 2019に存在したMPX Moduleも対応しません。つまり、今回Mac ProでPCIeが使われる場面というのは、ストレージやサウンドボード、ビデオ入力ボードなど、ユースケースがかなり上級者向けに限られます。なので、一般向けにはMac Studio、プロユース向けにはMac Proという漢字なのでしょう。