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阪急のなにわ筋新線の状況 〜 おそらく実現するだろうが、予定通り開業するか怪しい

この記事では、阪急電鉄が計画しているなにわ筋線の大阪駅地下ホームと新大阪を十三を経由して結ぶ新駅について、現時点でわかっていることをざっとまとめました。

梅田ー十三ー新大阪新線

まずは概要から。阪急電鉄が計画しているのは大阪駅新地下ホームと新大阪駅を十三を経由して結ぶ路線です。書類上は十三で路線が別れており、大阪駅〜十三駅は「なにわ筋連絡線」、十三駅〜新大阪駅は「新大阪連絡線」となります。この記事ではこれらの2つの路線をあわせて新線・連絡線と呼ぶこととします。

この連絡線は2031年に開業するJR西日本南海電鉄の新線なにわ筋にあわせて開業する予定となっています。おそらくこの話をしっかりと理解していただくためにはこのなにわ筋についても説明しておく必要があるでしょう。

なにわ筋

なにわ筋線は、JR西日本南海電鉄が共同で使用する予定の新線です。今年3月に開業したJR大阪駅の新地下ホーム(21~24番ホーム)を起点とし、南海は関空からの列車が南海本線新今宮で分岐し新たに設けられる南海新難波駅を、JR西日本大和路線JR難波駅をそれぞれ終点となります。西本町駅大阪駅までは路線を共有します。

そして、北側はJRのおおさか東線に直通し新大阪・京都へ、南側は南海本線あるいはJR大和路線に直通し、南海はそのまま関西空港へ、JRは天王寺阪和線に直通し関西空港へ直通することになります。

路線としては、大阪市内のなにわ筋の地下を経由します。大阪の中心部を直線的に通ることから関西空港と梅田エリアの所要時間が最大20分程度時間短縮になります。

さて、ここで南海側に課題があります。というのも、あくまでなにわ筋の北側は大阪駅までであるという点です。つまり、南海の列車が新大阪駅まで直通する場合、それは南海が一切建設費を負担していないJRおおさか東線を経由することになり、一応競合関係であるJR西日本が南海列車の直通を許可する見込みが薄いのです。南海としては、関西空港という日本の玄関口と新幹線が発着する新大阪を結びたいのは本望でしょう。

ここででてくるのが阪急です。

前史

阪急はもともと、京都線の淡路〜梅田間で混雑緩和などを目的としたバイパスを計画していました。そのバイパスは新大阪を経由し十三へ至る路線であり、今回話す新線農地「新大阪連絡線」については、淡路〜新大阪〜十三という経路で事業免許を保有していました。ただし、その後淡路〜新大阪の事業免許は廃止され、新大阪〜十三の事業だけを保有している状態となっています。

また、この計画が存在したため、阪急は山陽新幹線に並走する形で用地をある程度取得できています。と、いうのも、新大阪から阪急宝塚線の付近までは、阪急阪神系列の「ファーストパーキング」、阪急バス、そして大阪神豊中タクシー(神戸鉄道の傘下)の土地が続くのです。これによって、部分的ですが用地買収が進んでいます。

開業することで

阪急の狙いとしては、京都や神戸、宝塚と関西空港を改札を通過することなく結ぶということです。残念ながら、JRと南海はレールの幅に「狭軌(1,067mm)」を採用しているのに対して、阪急の各路線は「標準軌(1,435mm)」を採用していることもあり、直通することができません。そのため、阪急は尾の新線に限って狭軌で建設することとしています。しかし、十三を経由することで阪急の3つの主要路線である神戸線京都線宝塚線が集まる十三駅を経由することで、人の流れを生み出そうとしています。

阪急が直通する相手は、南海となる見込みです。なぜJRではなく南海であるのかというと、JRと阪急は基本的に競合関係にあります。その上、そもそも新大阪に駅を持つJRにとって阪急の新線に直通するメリットはなく、阪急の直通を認める可能性は低いです。

一方で南海は、先述の通り大阪から新大阪へ直通することができません。そこで、十三を経由するものの阪急に直通することで新大阪まで自社路線とつなげることが可能になります。現時点で南海が正式に直通を発表しているわけではありませんが、産経新聞の報道により前向きに検討していることが明らかになっています。

現状

なにわ筋線は正式に開業が決定し、2031年の開業に向けて着々と工事がすすんでいますが、阪急の新線はなにわ筋線をこのなにわ筋線の開業に合わせて開業することを表明しています。ただし、現時点で土地の取得は若干進んでいるものの、環境アセスメントを始めとした建設に必要な各手続きが一切進んでいないことなどから困難ではないかと言われています。特に、今回の新線は全区間で地下となっていることもあり、工事期間が長くなることが懸念されています。

運行形態と所要時間

現時点で、なにわ筋線自体の運行形態もわかっていません。ただ、JRの「はるか」「くろしお」と、南海の「ラピート」が直通することが明らかになっています。有料列車以外の乗り入れは明らかになっていません。

ただし、先日の産経新聞の報道で阪急は無料の急行を関西空港まで直通させる考えを明らかにしています。理由としては、関空だけではなく、十三から新大阪や大阪への通勤客を取り込むため、予約が不要な急行にしたとしています。

阪急から関空への所要時間は、十三からが約57分、神戸三宮からが約1時間20分、京都河原町からは約1時間35分となる見込みです。

阪急側の車両

先述の通り、阪急とJR・南海はレール幅が異なるため、直通することができません。また、これが原因で阪急の既存の車両はすべてがなにわ筋線に乗り入れることができません。そのため、車両も新たに作る必要があります。これについて阪急は、南海と同じ構造の車両を用意し、メンテナンスを南海に依頼する方針としています。

これはすなわち、南海の車両を阪急車として増備し、その車両は南海側に管理してもらうということになります。つまり、阪急はこの新線に伴う車両基地の新設は行わないものとみられます。