間もなく発売が予定されている「Ryzen 9000」シリーズと「Ryzen AI 300」シリーズですが、AMDは24日、これらの製品のもう少し詳細な情報を共有しました。
こちらの記事をあわせてお読みいただくとわかりやすいかもしれません。
AMD、Zen 5とともに「Ryzen AI 300」と「Ryzen 9000」シリーズの詳細を明らかに ~ すべて大幅刷新 - Nishiki-Hub
Ryzen 9000シリーズ
デスクトップ向けの「Ryzen 9000」について、Zen 5の詳細については、先日明かされていましたが、今回I/O DieとCCDのより詳しい情報が明かされました。
Ryzen 9000シリーズは、これまでのデスクトップ向けRyzenと同様に、最大2基のCCDと、1基のI/O Dieで構成されています。CCDはTSMC 4nm、I/O DieはTSMC 5nmで製造されています。
I/O Dieは、28レーンのPCIe Gen 5をサポートしており、チップレットとの接続で4レーン、GPU用の16レーン、NVMe接続に4レーン x 2の構成がサポートされています。ここはRyzen 7000シリーズと変わりません。
また、USB 3.2のサポートやiGPUの統合も変わらず。iGPUにはRDNA 2 GPUが2 CU搭載されています。また、ディスプレイエンジン、ビデオエンコーダ・デコーダ、オーディオコプロセッサなど各種アクセラレータも搭載されています。USB4のサポートも含まれていますが、USB4のサポートはチップセットに分離しており、I/O Dieではサポートを行っていません。
I/O DieとCCDの接続は、IFoP(Infinity Fabric over Package)によって行われており、クロックあたり16MBのディスパッチとなっています。
では、そのCCDのお話に移ります。CCDは先述の通りTSMC 4nm、最もN4Pプロセスによって製造されています。N4Pは、ノードレベルで22%の電力削減、6%の性能向上、6%のトランジスタ密度の向上を実現しています。 Zen 5のCCDは、Eldoraという開発コードで開発されていたようです。
CCDには、1MBのL2キャッシュを備えた最大8基のZen 5 CPUと32MBのL3キャッシュ、SMU、ファブリックのみが搭載されています。
Ryzen 9000シリーズの構造については以上ですが、AMDはRyzen 9000シリーズの発売を延期することを発表しています。
Ryzen AI 300シリーズ
ついで、Ryzen AI 300シリーズです。Ryzen AI 300シリーズは、Zen 5/5c ハイブリッドCPUとRDNA 3.5 iGPUとともにXDNA 2 NPUが搭載されています。
XDNA 2は単体で50 TOPS〜55 TOPSのAI性能を提供し、パッケージ全体で80〜85 TOPSの性能を実現します。IntelがNPU単体で48 TOPS、パッケージ全体で120 TOPSを実現しているのに比べるとパッケージ全体の性能はそれほど高くないようです。これはおそらくGPUのXMXに当たるユニットの欠落などが原因であると見られます。
そして、そのiGPUの構造も明らかになりました。RDNA 3.5はRDNA 3をベースにモバイル向けの最適化を施したものと説明されていました。
Radeon 890MはWGPを8基搭載するシェーダエンジンを1つ搭載しており、合計16 CU搭載しています。CUの規模に応じて1024基のSP、32基のAI Accelerator、16基のRay Acceleratorを搭載しています。
FP32の理論性能は11 TFLOPSを上回っており、AMDはRDNA 3 GPUを搭載するPhoenixと比較してワットあたりのパフォーマンスが30%高くなっていると主張しています。
この要因となっているのは、テクスチャサブシステムを改良することで、テクスチャサンプラーレートを2倍向上させ、ポイントサンプリングアクセラレーションを搭載されたこと、補完の精度を高めたことが挙げられます。
更に、モバイル向けに適合するようにGDDR6よりも帯域が小さいLPDDR5のためにメモリ圧縮技術を適用させ、最適なメモリ管理を実現しました。
完全にメモリのネックをdGPU並に取り払うには、メモリをHBMやGDDRほどの帯域があるものにするのがいいのかもしれませんが、メモリコントローラを大量に搭載する必要がありますし、手っ取り早い解決策はInfinity Cacheなのかなぁとか思ってみたりします。