Nova Lakeでは「APX」と「AVX10.2」がサポートされる

3行まとめ

Intelが公開した「Intel Architecture Instruction Set Extensions and Future Features」の最新版(2025年11月版)において、Nova LakeがAVX10.2とAPXに対応することが明かされました。

Nova Lake

このIntel Architecture Instruction Set Extensions and Future Featuresというドキュメントは、Intelが主にコンパイラなどの開発者向けにCPUの機能を公開するために提供しているもので、将来のプロセッサの拡張命令の機能などの情報が含まれています。

この内容を見ると、Nova Lakeに置いて、APX及びAVX10.2のサポートにおいて、Diamond Rapidsに加えてNova Lakeが対応していることが明記されました。

Nova Lakeは、Panther Lakeの後継となるCore Ultra Series 4にあたるプロセッサラインナップです。

APXとAVX10.2

APXとAVX10.2について説明します。

APXは、x86アーキテクチャで使用できる汎用レジスタの数を16から32に増やすことで、コンパイラがより多くの変数をレジスタ内に保持できるようにし、メモリアクセス(ロード・ストア)を削減して性能を向上させる拡張です。Intelによれば、APXを利用することでロードを10%、ストアを20%削減することができるとのこと。

APXにはこのレジスタの倍増とともに、関係する追加の拡張命令が追加されています。

次にAVX10.2です。これは、AVX10 Version 2のことです。なのでAVX10の説明をします。

Intelは、AVX-512という拡張命令セットを提供していますが、この命令セットは512-bitのレジスタを必須としています。そのため、使用には512-bitのレジスタ(ZMM)が必要ですが、Atom系(Eコア)のプロセッサに搭載されているレジスタは256-bit(YMM)にとどまっており、Intel Hybrid Technologyに基づきPコアとEコアを混載しているコンシューマ向けCPUでは無効化されています。

更に、AVX-512は機能が乱立したことでかなり複雑になっています。

これらの問題を一気に解決するのがAVX10です。AVX10では、512-bitレジスタの対応をオプションとすることで、256-bitのレジスタしか搭載しないEコアでも利用可能にする他、バージョンとして機能を管理することで、乱立したAVX-512機能の整理を測っています。

AVX10は現時点で、AVX10.1とAVX10.2が明らかになっています。AVX10.1はXeon系プロセッサに限定的に搭載され、機能自体もAVX-512の機能をAVX10で踏襲するといった形になっており、512-bitレジスタはまだ必須です。AVX10.2からは新機能が追加され、128-bit、256-bit、512-bitで動作するような形になっています。

今後

これら2つの技術に対応したことにより、コンシューマ向けCPUでも最新のCPU機能を利用可能になりました。

特に、AVX10の対応については、AVX-512向けに追加されていた低精度演算の機能が使用可能になることにより大幅な理論性能の向上が見込まれます。

合わせてAMXの強化も進められているので、SIMDの強化は今後も続いていくことになりそうです。

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