Intelは、同社のISAや拡張命令セットの仕様について解説する「Intel Architecture Instruction Set Extensions and Future Features」の2024年10月版を公開し、Diamond Rapidsについて判明しました。
Diamond Rapids
Diamond Rapidsは、Granite Rapidsの後継となるXeonシリーズのPコアで構成されたラインナップです。明確な登場時期は明らかにされていません。
今回明らかになったのは、Diamond Rapidsがサポートする命令セットです。Diamond Rapidsでは引き続きGranite Rapidsでサポートするすべての命令セットともに新しい命令セットや機能をサポートします。
Granite Rapidsでサポートされていないが、Diamond Rapidsで新たにサポートされる機能は以下のとおりです。
- Linear Address Masking(LAM)
- CMPCCXADD
- AVX-IFMA
- AVX-NE-CONVERT
- AVX-VNNI-INT8
- RDMSRLIST/WRMSRLIST/WRMSRNS
- Linear Address Space Separation (LASS)
- Virtualization of guest accesses to IA32_SPEC_CTRL
- AVX-COMPLEX(Granite Rapids Dでは採用)
- AVX-VNNI-INT16
- SHA512
- SM3
- SM4(VEX)
- SM4(EVEX)
- APX
- AVX10.2
- Architectural PEBS
- Immediate encodings got RDMSR and WRMSRNS
- MDVRS and the OREFETCHST2 instruction
- AMX-MOVRS
- AMX-AVX512
- AMX-FP8
- AMX-TF32
- AMX-TRANSPOSE
- Intel RDT RegionAware Memory Bandwidth Allocation
一部の機能はGranite Rapidsよりも新しいアーキテクチャを採用しているLunar LakeやArrow Lakeでもサポートされており、実質的にXeonに移植された形になる機能もあります。
現時点で、Diamond RapidsについてIntelの公式の発表はありませんが、可能性としてLion Coveが採用されている可能性は高いです。
この中で注目すべきは、いくつかあります。
まず、AVX-VNNI系の命令。AVX-VNNI系はAVX/AVX2系の命令ですが、これはIntel Hybrid Technologyを採用するプロセッサでAVX-512が無効化されるその救済措置のような形で実装されたものであり、それがXeonにも対応するのは興味深いです。
次に、APX(Advanced Performance Extension)への対応です。APXは、汎用レジスタ(GPR)の数を16から32に倍増させ、コンパイラが保持できる値を大きくしたことで、コードの変更なく再コンパイルするだけで性能が向上するという拡張です。
そして、AVX10.2への対応。AVX10は、512-bitレジスタを搭載しているプロセッサに限定されていたAVX-512命令を、256-bitのレジスタしか持たないAtom系統のCPUアーキテクチャにも対応させたものです。これにより、Eコアのみで構成されるForest系のXeonや、CoreラインナップでもAVX-512の機能を利用できるようになります。
これらの命令についての詳細は以下の記事をご覧ください
- Intel、使用可能な汎用レジスタ倍増によって性能向上を実現する「APX」を発表 ~ 再コンパイルで利用可能 - Nishiki-Hub
- Intel、PコアとEコアの両方に対応する事が可能な「AVX10」拡張命令セットを発表 ~ AVX-512を網羅した新命令 - Nishiki-Hub
- Intel、AVX10.2のドキュメントを公開 ~ Core Ultraに搭載されるAVX-512の後継命令 - Nishiki-Hub
- 【編集後記】AVX10はどのようなもので、なぜ追加されるのか - Nishiki-Hub