錦です。
WWDC 19で発表された Mac Pro ですが、その情報の多くはすでに発表されており、それが割とわかりにくいしとらえにくいので、まとめておきます。
スペック
まず、スペックですが、バカ高性能なことに間違いはありません。最大28コア56スレッドの並列処理、最大4つのGPUを搭載できること、最大1.5TBのRAMが装備できます。
CPU
プロセッサ部。Mac Proは、これまで最多コアだったiMac Proの18コアを大きく上回る 28コア Xeonを搭載してきました。
搭載されたのは、Intelから新たに発表された Xeon W-3200シリーズ の8コア/12コア/16コア/24コア/28コアモデルです。
TB3.0は、ターボ・ブースト・マックス・テクノロジー 3.0を利用したときのクロックになりますが、Macがこれに対応するかはわかりませんのであくまで参考としてください。一応全プロセッサアンロックモデルです。
TDPは8コアは160W、12コアが180W、16/24/28コアが205Wとなっています。共通した仕様としては、Cascade Lake・14nmプロセスルールで製造されることです。
メモリ仕様については後述 RAMのところで紹介します。
CPUは取り換え不可能に見受けられます。
GPU
グラフィックスに関しては、新たにMPXという独自のモジュールが採用されます。
CTOカスタムで搭載できるGPUは、Radeon Pro 580X・Radeon Pro Vega II・Radeon Pro Vega II Duoです。同じ種類のGPUであれば、デュアルGPUの実装も可能です。
Radeon Pro 580Xは、iMacに採用されるRadeon Pro 580の上位機種のものとみられます。8GB GDDR5メモリが採用され、36コアの演算コア(CU)と2304のストリームプロセッサ(SP)を搭載し、最大5.6TFLOPSの単精度浮動小数点性能が引き出せます。ポートは、HDMI 2.0が2ポート、内部接続のThunderbolt 3ポートが4ポートあります。最大6つの4Kディスプレイ・2つの5Kディスプレイ、2つのPro Display XDR(後述)がサポートされます。
Radeon Pro Vega IIは、Vega 64の上位モデルとみられ、32GB HBM2メモリが採用され 64コアのCU、4096のSPを搭載し、14.1TFLOPSの単精度浮動小数点性能が引き出せます。ポートはHDMI 2.0、Thuderbolt 3が4ポート、内部接続のThunderbolt 3が2ポートあります。最大6つの4Kディスプレイ・3つの5Kディスプレイ、2つのPro Display XDRがサポートされます。
Radeon Pro Vega II Duoは、Vega IIを2つ搭載したモジュールです。HBM2 32GB×2で計64GB HBM2メモリ、64×2で計128のCU、4096×2で計8192のSPを搭載し、最大28.2TFLOPSの単精度浮動小数点性能が引き出せます。ポートは、HDMI 2.0が1ポート、Thunderbolt 3が4ポートあり、内部接続のThunderbolt 3が4ポートあります。最大8つの4Kディスプレイ・4つの5Kディスプレイ、4つのPro Display XDRがサポートされます。二つのVega IIは、オンボードのInfinity Fabric Linkで接続されます。
GPUの接続には、独自のMPX ConnecterとPCIを利用して行われます。PCIが利用できるようなので、実際にはPCIのみのGPU(一般的なGPU)も搭載可能かもしれません。
先述のデュアルGPUですが、同じGPUであれば搭載可能で、例えば、580Xと580Xを搭載することは可能ですが、580XとVega IIを同時搭載することはできません。
Vega II Duoを2つ搭載することで、最大128GB HBM2メモリ・4つのGPUの並列処理を行うことが可能です。
現在MPXモジュールに対応しているのは、先述の3つのGPUだけですが、今後MPXモジュールに対応したGPUが出てこれば、ユーザー自身で物理アクセス・換装することが可能です。Radeon VIIとかが出てくると予想していますが、NVIDIAはたぶん出てこれないでしょう。ただ先述の通り、MPXモジュールとはいえ、PCIレーンも使っているため、AppleがMPXを利用しないGPUの搭載を許可するのであれば、GeForceやQuadroなど、物理干渉しなければ実装可能でしょう。
RAM
RAMについては、非常に脅威の容量を搭載します。
これまで、Macが搭載できる最大のRAM容量はiMac Proの256GB、iMacなどでは128GB(取り換え必要・サポート外)でしたが、Mac Proではなんと1.5TB選択できます。
RAMは32GB/48GB/96GB/192GB/384GB/768GB/1.5TBが選択可能です。ただし、1.5TBを選択する場合、24コアCPUまたは28コアCPUを選択する必要があります。
メモリタイプは、8コアモデルのみDDR4-2666(2666MHz)ですが、そのほかのモデルは DDR4-2933(2933MHz)です。共通でECCメモリに対応します。
RAMは、ユーザー自身による物理アクセス・換装が可能です。ですが、CPUのサポートにより、上の表のRAM容量以上の容量は搭載できません。
なお、メモリタイプもDDR4-2666(8コア)、DDR4-2933(12/16/24/28コア)に合わせる必要があります。Mac Proには6チャンネル、12スロットあります。
メモリは、DIMMです。
Appleは、8GB/16GB/32GB/64GBのMemory Kitを販売予定のようです。
ストレージ
ストレージもモジュール式になっており、ユーザー自身による物理アクセス・換装が可能です。
CTOで選択できる容量は、256GB/1TB/2TB/4TBです。
CTOでSSDを選択している場合、モジュール分けは上のようになります。256GBは256GBモジュール1つだけですが、1TB以上は、半分の容量のSSDモジュールを2つ搭載しています。
SSDモジュールは、容量を統一しなくても認識します。
また、換装については、Mac Pro内部でRAIDを組むことも可能のようで、32TBのMPXに対応するRAID Kitを販売するようです。
外部接続
Mac Proに搭載されるポートは、PCI Expressのx4ポートに接続されており、2つのUSB 3(USB TypeA)、2つのThunderbolt 3(USB TypeC 最大40Gb/s)、2つの10Gbイーサネットが搭載されています。PCIで拡張可能とみられます。まとめると、
- USB 3 Type-A ×2
- Thunderbolt 3 ×2
- 10Gbイーサネット ×2
また、Mac Pro上部にはこれに加えてThunderbolt 3ポートが2ポートあります。
ワイヤレスに関しては、Wi-Fi 802.11 a/b/g/n(Wi-Fi 4)/ac(Wi-Fi 5)に対応、Bluetooth 5.0に対応します。
オーディオ
Mac Pro内部にはスピーカーが内蔵されているほか、3.5mmイヤフォンジャックが搭載されます。
Afterburner
Mac Proには、Afterburnerという、動画編集・ビデオエンコードのためのアクセラレータが標準搭載されています。
1秒あたり63億ピクセルの処理に対応し、3ストリームの8K ProRes RAW 30FPS または、12ストリームの4K ProRes RAW 30FPSをハンドル可能です。
PCI x16ポートに接続されています。
セキュリティ
iMac Pro、Macbook Pro 2018/2019、Mac mini 2018、Macbook Air 2018に標準搭載されている、セキュリティチップ Apple T2チップも標準搭載されています。
Apple T2チップでは、SSDの内容を暗号化するほか、システム管理コントローラ、画像信号プロセッサ、オーディオコントローラ、SSD コントローラなど、ほかの Mac コンピュータに搭載されているさまざまなコントローラを再設計して統合しているため、CPUの処理を借りずに処理できることが増えます。
OS
初期搭載OSは、macOS Mojave 10.14です。
macOSのBootCampを利用してWindowsをMac上で起動させることもできます。
価格
価格は、最小構成で5999ドル(約65万円)
Pro Display XDR
Pro Display XDRは、Macと同時に発表されたApple純正のディスプレイで、最大6K解像度に対応します。
32インチのLCD Retinaで、Extream Dynamic Range(XDR HDRよりもきれい)に対応するとのこと。リフレッシュレートは最大60Hz
解像度は縦3384 横6016の6Kで、密度は 218 ppi、アスペクト比は16:9。
筐体サイズは、横71.8cm、縦41.2cm、厚さ2.7cmです。相変わらず薄い。
価格は、Standard glassモデルが 4999ドル(約50万円)、Nano-texture glassモデルが 5999ドル(約65万円)
Pro Stand
今話題になっているのが、純正スタンドであるPro Stand。Pro StandとPro Display XDRは別売りなのですが、Pro Display XDRが高価になるのはわかるとして、Pro Standはなんと、999ドル。日本円にして10万円を超えます。この価格は、以前あったAppleの純正ディスプレイ「Thunderbolt Display」と同じ価格。
とりあえず価格の話は置いといてスタンドの詳細を
先述の通り、Pro StandとPro Display XDRは分離可能です。また、Pro StandではPro Display XDRを縦方向にすることが可能です。Pro Standのアームは上下でき高さを調節できます。
一番高くしたとき、地面からPro Display XDRの上部までの長さが63.3cm、一番低くしたときは53.3cmで、上下できる距離が10cmとのこと。Pro Display XDRを盾にしたときは80.6cmになるとのこと。
今秋登場
Mac Pro、Pro Display XDR、Pro Standは今秋登場です。ただ、macOS Catalinaではなく、macOS Mojaveが採用されるということは、9月あたり?そんな気がしますが、iMac Pro同様、CPUのコア数を増やすとその分出荷は遅れるでしょう。いや、これは、買いたくても買えんわ・・・。