錦です。
AMDは投資家向けイベント「Financial Analyst Day」にて、CPU・GPUのロードマップの刷新と詳細について発表しました。
この記事ではGPUについて取り扱います。CPUについては、以下をご覧ください。
ざっくり解説
- AMDはRDNAの後継アーキテクチャ RDNA 2を発表
- RDNA 2はレイトレーシングのハードウェアアクセラレータを搭載し、DXR 1.1に対応
- RDNA 2はPS5やXbox Series Xにも採用されるため開発者はマルチプラットフォームの開発が用意
- データセンター向けにディープラーニングなどに特化したGPUアーキテクチャ「CDNA」とその未来を発表
- CDNA 2では、エクサスケールのスーパーコンピューターにも採用され、EPYCとの連携が強化される
現在、展開されているAMDのGPUは、基本的に全てRDNAというアーキテクチャで開発されています。RDNAはTSMC 7nmプロセスで製造され、性能が大きく向上しました。そのため、市場でのシェアも以前よりも向上しています。
Radeonはそのコスパの良さから低価格PCとか、コスパ重視のPCには人気でした。しかし、性能はGeForceやQuadroに及ばない部分も多く、GeForceの人気があるのも現状ですが、AMDの次世代GPUアーキテクチャ「RDNA 2」ではその現状を変える手立てになるかもしれません。
RDNA 2自体の存在は以前から噂されており、CESでAMD Lisa Su CEOでの示唆や、MicrosoftのXbox Series Xの概要発表で存在が明らかになっていましたが、概要自体は今回が初お目見えです。
概要
Radeon RX 5000シリーズの競合相手である、NVIDIAのGeForce 16/20シリーズと、Quadro RTXシリーズに採用される「Turingアーキテクチャ」には、16シリーズは別にして、ハードウェアでレイトレーシングをサポートが含まれています。
AMDもそれに追従すべく、ハードウェアに、レートレーシングのアクセラレータを含んだRDNA 2を発表しました。RDNA 2は、RDNAの後継アーキテクチャで、おそらくBig Naviだとかって言われていたハイエンド向けのアーキテクチャです。製造プロセスは変わらず7nm。
GeForce同様、Direct X Raytracing 1.1に対応し、RDNA 2 GPUが採用される、PlayStation 5・Xbox Series Xでも利用可能です。AMDは、これらのプラットフォームについて、アーキテクチャが共通であるため、開発者がマルチプラットフォームでの展開も容易であるとしています。
RDNA 2は、IPCの工場に加え、回路の複雑製の解消や、クロックの向上を果たし、電力性能比はRDNAより50%引き上げられているとしました。
搭載製品は年内に登場させるとのことで、多くのメディアはRX 5800 XTや5900 XTではないかと予想しています。ロードマップを見る限り、RDNA 2 GPUは、2020年から2021年にかけて展開される見込みです。
データセンター向けCDNA
また、AMDは、データセンター向けにCDNAというアーキテクチャも発表しました。RDNA 2もCDNAもともにGCNからの発展形ですが、構造が違うようです。
RDNA 2では、レンダリングやテクスチャ処理を強化し、CDNAではディープラーニング処理を強化するといった感じです。CDNAは、データセンター、HPC、マシンラーニング向けのGPUになるとのことで、第2世代Infinity Architectureを採用しています。
また、この先AMDは、CDNA 2が採用する第3世代Infinity Architectureが実現するヘテロジニアスコンピューティング時代に向け、ソフトウェア開発環境の充実を図るべく、「Radeon Open Compute Platform(ROCm)」を投入し、CUDAコア向けに書かれたものでも、Platform Agnostic Open APIに準拠したHIPコードに変換すれば、AMDのGPUでも動作できるとしています。
CDNA 2は、データセンター向けCPUであるEPYCとInfinity Fabricがベースの広帯域インターコネクトで接続されるとのことで、GPUは最大8つ、相互接続するアーキテクチャになります。最終的に、これらのCPU・GPUはメモリ共有が可能になり、CPU・GPU間の大尉域はPCIe 4.0の2.25倍になり、レイテンシも低減されます。これはまさにCPU・GPUを両方開発するAMDだからできる技なのでしょうか。
CDNA 2は今後、エクサスケールのスーパーコンピューターにも採用される見通しです。