錦です。
iFixitは、iPhone 12とiPhone 12 Proの分解レポートを公開しました。
今回は割と面白いこともわかったので、見ていきます。
iPhone 12 and 12 Pro Teardown - iFixit
iPhone 12/12 Pro
各パーツの供給元
iFixitの分解によってわかる個人的に面白い点は、各パーツの供給元とパーツのモデルです。特に今回は、5Gに対応したもの。2019年の年始にQualcommとAppleが和解してから初めてQualcomm製のパーツが搭載されるということなので、一体何が搭載されているのか気になるところです。では見ていきます。
- ストレージ Samsung製
- 5G/LTEトランシーバー Qualcomm製 SDR865トランシーバー
- 5Gモデム Qualcomm製 Snapdragon X55モデムチップ
- Avago8200パワーアンプ
今回は、5Gとモバイルデータ通信周りのパーツがQualcommに統一されているようです。iPhone 11シリーズではこれがIntel製でした。X55モデムチップとSDR865自体の組み合わせは、Snapdragon 865のAndroidスマートフォンでもよく見る組み合わせなので、チップ周りの5Gの仕様は、これらのスマートフォンと共通しているのでしょう(実際の性能は、アンテナの配置や筐体の素材などに依存します)。
筐体とロジックボード
筐体は、iPhone 12とiPhone 12 Proで大きな差異はありません。ただ、望遠カメラとLiDARスキャナの有無、カラバリエーション、筐体の素材の違いがあります。「筐体の形」という点では全く同じです。サイズも全く同じです。そして、今回の分解により、その中身もほぼ同じであることがわかりました。
多くのパーツがモジュール式となっており、簡単に取り外しができるようになっているようです。そして、そのモジュールの多くがiPhone 12と12 Proで共通で互換性があることがわかりました。何ならこれロジックボードもほぼ同じです。
ただし、iPhone 12とiPhone 12 Proで最も大きな違いとなるのがカメラです。広角カメラ・超広角カメラ・マイク・フラッシュに加え、iPhone 12 Proには望遠カメラとLiDARスキャナが搭載されています。iPhone 12はその部分の隙間ができてしまいます。その部分はどうやらプラスチックで埋められています。
Taptic Engineが小型化しているようです。その分厚みが増しているそうですが。
筐体サイズとロジックボードのサイズが同じだということをお話しました。そして、どうやらバッテリー容量も同じようです。今回の分解から、バッテリーも12と12 Proで互換性があることがわかりました。バッテリーは最近のiPhoneのようなL字型のものではなく、長方形のバッテリーが搭載されています。iFixitはコストカットのためではないかと指摘しています。iPhone 12とiPhone 12 Proのバッテリー容量は10.78Wh。iPhone 11の11.91Wh、11 Proの11.67Whから大きく減少していることがわかります。しかし、Apple公式のバッテリーの性能はiPhone 11と変わっていないため、Apple A14 Bionicの消費電力の抑制によりこれを実現しているのでしょうか。
アンテナ
iFixitが分解しているのは、mmWave(ミリ波)の5Gのアンテナモジュールが搭載されている米国モデルになっています。アンテナモジュールは、ロジックボードの裏と、筐体フレームに取り付けられています。この内、筐体フレームのアンテナは台湾 USI製のようです。そもそも日本モデルでは、この筐体フレームに取り付けられているアンテナモジュールはありません。ロジックボード側のモジュールについては言及されていません。
MagSafe
MagSafeですが、こちらはほぼ公式発表通りとなります。18個のマグネット、底に取り付けられているワイヤレス充電用のコイル。ここでは言及されていませんが、Appleの公式発表ではここにNFCアンテナがあり、対応アクセサリを認識する機能があるとのことです。
iPhone 12/12 Proの評価
iFixitのページの順番と前後してしまいますが、ここでiFixitの分解レポート恒例である、修理のしやすさを10点満点で評価するスコアは6点になっています。この点数の理由としてはいかが上げられています。
- ディスプレイとバッテリーの交換が優先された設計になっている
- 重要なコンポーネントがモジュール式であり、アクセスと交換が簡単である
- ネジに特殊なものが含まれており、特別なドライバーが必要である
- 耐水によって一部の修理が複雑になるが、水による故障の可能性が低くなる
- 背面ガラスが破損した場合、すべてのコンポーネントを取り外して交換する必要がある
iPhone 11シリーズとスコアは同じ、その理由も大方一致しています。
MagSafe充電器
そして、同じレポート内でMagSafe充電器が分解されています。
MagSafeの外枠のアルミ(?)の部分には16個のマグネットが設置されています。そして、MagSafeのロジックボードはコイルの裏側に実装されています。