WWDCが終わりましたが、今回はWWDCの間に発表された「iOS 18」「iPadOS 18」「macOS Sequoia」を見ていきます。
共通の新機能
では、最初にiOS 18、iPadOS 18、macOS Sequioiaに共通して搭載される新機能を取り上げていきます。
Apple Intelligence
AppleはWWDCにて、iOSとiPadOS、macOSに対して「Apple Intelligence」の導入を発表しました。今年秋から米国英語で対応が始まり、日本語を含む他の言語への対応や、watchOS・visionOSのような他のプラットフォームへの展開は来年以降になる見込みです。
Apple、生成AIを統合する「Apple Intelligence」を発表 - Nishiki-Hub
Appleの生成AI機能は非常に注目集めていましたが、最大の特徴としてはWindowsのようにGPTに依存するわけではなく、独自のモデルをローカルで動作させる点です。Apple MシリーズとA17 Proを搭載したデバイスでは、30億パラメータの比較的小さな言語モデルを使用し、ローカルで処理されます。ローカルで処理するには複雑なリクエストにたいしては、Apple Silliconで構成され、Swiftのセキュリティ機能を使用し、独立した専門家によるレビューなコードで書かれたサーバーで処理する「Private Cloud Compute」が行われます。
機能としては、アプリ間をまたいで、複雑な処理を自動で行ってくれたり、画面に表示されている内容を理解したり、更には、通知の要約や重要度付け、画像生成とそれを利用したGenmoji、Webサイトに表示されている内容の要約、書いている内容の要約や構成などを行ってくれるリライト機能などがあります。これらの機能はApp IntentやSiriKitなど既存のApple製APIを使用していれば自動で対応するほか、リライト機能などは、OSの機能として提供されるため、アプリ側の対応なく使用することが可能です。
パスワード管理
今年から、設定内のパスワード管理機能がアプリとして独立するようになりました。
このパスワードアプリでは、IDパスワードのほか、パスキーやWi-Fi認証情報、認証コードなどがまとめて提供されるほか、パスワードのグループ分け、安全華道家の確認などが一括で提供されるようになりました。
また、パスワード管理アプリはiCloud Keychainに対応しており、iPhone/iPad/Mac以外にApple Vision ProとWindowsにもアプリが提供されるようになります。なお、Windowsに関しては、iCloudアプリのいち機能として提供されるのか、独立したアプリとして提供されるかは不明です。現在はiCloudに統合されており、Chromeなどで拡張機能を通じて利用することが可能となっています。
マップ
マップでは、アメリカの63の国立公園でハイキングコースを表示できるようになりました。このハイキングコースについてはダウンロードしてオフラインでも利用可能になっています。
メッセージ
iMessageでは、送信したテキストに太字やイタリック、強調するアニメーションなどを付加することができるようになりました。
また、送信されたメッセージに対するアクションも拡充され、自分の写真から作成したライブステッカーなどが追加できます。
その他では、メッセージの送信予約機能が利用可能になっています。
そして、Googleが推奨しているRCSにも対応しました。
メモ
メモアプリでは、新たにAIを用いて音声メモを文字起こしする事が可能となりました。
また、計算式を記述することで、計算してくれるようになりました。これは後ほどiPadの計算機のところでもお話しますが、Passes = 62のように、変数のように記述すると、その変数に基づいた計算ができるようにもなっていますし、複雑な計算にも対応しています。方程式なども解けるようになっています。
それ以外でも、折りたたみ表示対応したり、文字のハイライトなどが簡単につけられるようになりました。
AirPods
AirPods Proと第3世代AirPodsでは、声での応答やiPhone/Mac/iPadを見ることが難しいときにSiriに対して、頷くか首を横に振ることによってYesとNoの回答をすることができます。例えば、電話がかかってきたときにSiriは、「XXさんから電話がかかってきました。応答しますか」と問うてきますが、このときに首の動きでどうするかをSiriに伝えることができます。
そして、AirPods Proでは騒音が大きな場合でも、「声を分離」機能で、鮮明に自分の声を相手に届けます。
加えて、ゲームでは空間オーディオに対応しました。
Safari
Safariでは、画面に表示されている住所や電話番号などを抽出して、必要な情報だけを教えてくれるハイライト機能が搭載されます。
さらに、リーダー機能が強化されて、記事の要約機能や、目次機能が搭載されるようになりました。便利そうだな?この要約はAI機能ですが、Apple Intelligenceの一部というわけではない様で、日本語にも提供されます。
カレンダーとリマインダー
カレンダーとリマインダーが連携し、カレンダーからリマインダーを作成することができるようになりました。
ゲーム
ゲームでは、Windows向けゲームをMacに移植するための支援として提供されているGame Porting Toolkit(GPTK)がGPTK 2にアップグレードされ、Xcodeに対応しました。これに伴い、GPTK 2を用いて移植したゲームがiPad・iPhoneにも対応できるようになりました。
フリーボード
フリーボードでは、作成したフリーボードをトピックごとに整理したりすることが可能になりました。
iOS 18
Apple、「iOS 18」を発表【速報メモ記事】 - Nishiki-Hub
iOS 18は速報記事でお伝えした内容がほとんど術です。
ホーム画面のカスタマイズ
ホーム画面でこれまでは、配置は右詰め・上詰めでしたが、その制限がなくなり、自由にアプリを配置することが可能になりました。ただ、整列機能だけは現存していますので、4x6以上にアプリを配置できるわけではありません。
さらに、アイコンをダークモード時と通常時で変更することができるようになったり、Androidのテーマ機能のように、アイコンの色を変更できるようになりました。
コントロールセンター
コントロールセンターもiOS 11以来の大型アップデートとなりました。コントロールセンターには「Control Gallery」という新たに追加されるウィジェットブラウザから、ウィジェットが配置できるようになり、サードパーティの機能に対応しました。
更に、コントロールセンターにもカテゴライズ機能が登場し、複数のページで利用可能です。コントロールセンターのページ移動は、片手でできるようになっており、コントロールセンターの引っ張り具合で調整できます。
ロック画面
コントロールセンターつながりで、ロック画面で画面下部にある「フラッシュライト」ボタンと、「カメラ」ボタンがカスタマイズできるようになりました。このカスタマイズはコントロールセンター同様、Control Galleryから選択できます。
また、iPhone 15 Proのようにアクションボタンを搭載しているiPhoneでは、アクションボタンからもControl Galleryにあるアクションを実行できるようになります。
メッセージ
メッセージは上記の共通の機能で追加される機能ほか、一部のiPhoneと地域で使える衛星通信機能でメッセージや絵文字を送受信できるようになりました。これは、iMessageだけでなくSMSでも利用可能です。
写真
写真アプリが過去最大のアップデートとなっており、グリッド表示をカスタマイズできたり、テーマごとに写真をブラウズしたりすることができるようになっています。
さらに、お気に入りの人物やペット、場所を取り上げるカルーセル表示が追加され、毎日更新されます。
さらに、Apple Intelligenceの機能で、余計な背景物を取り除く機能も搭載されました。
ゲーム
iPhoneにはじめてゲームモードが追加されました。
このゲームモードを使用することによって、バックグラウンドのタスクを最小限に抑えて処理リソースをゲームに集中させ、フレームレートを維持するというような処理面でのゲーム強化や、ワイヤレスコントローラのポーリングレート(コントロールを受け付ける速度)を高めたり、AirPods Pro 第2世代では遅延を短縮したりすることが可能です。
Apple Pay/Wallets
Apple Payでは、対象のクレジットカードやデビットカードからポイントを使ったり、分割払いにアクセスしたりすることが可能になります。
また、Tap to Cash機能が導入されて、iPhoneを2台近づけるとApple Cashの送信・受領が可能になります。
Walletsでは、チケットのスタジアムの情報や、おすすめのApple Musicプレイリストなど、イベントの情報にアクセスすることが可能になります。
アプリや連絡先のロック機能
プライバシー機能が強化されており、アプリや連絡先にアクセスする際にもFaceIDやTouchIDで認証を求める事ができるようになりました。実質的にアプリのロック機能となります。
また、写真ですでに導入されているように、アクセスできる連絡先を制限できるようになりました。
SharePlay
Share Playで画面を共有している時、相手にリモート操作の権限を与えることが可能になりました。
iPadOS 18
iPadOS 18の新機能
ホーム画面とコントロールセンター
iPadOS 18でもiOS 18と同様にホーム画面とコントロールセンターのカスタマイズ性が向上しており、基本的にiOS 18のすべてのカスタマイズ機能が利用可能になっています。
写真
iPadOS 18もiOS 18同様に写真アプリが更新されています。
計算機
iPadOSにようやく計算機アプリが登場しました。
基本的にiOS向けの計算機アプリをベースとしているものの、iPadアプリ向けに強化されており、例えば、履歴が残るようになっています。この機能はMacでも利用可能です。
そして、計算メモという機能も搭載されており、Apple Pencilを用いて手書きで書いた式の答えを出してくれたり、式を基にグラフを描画してくれるなどの機能があります。計算メモが出してくれる答えは、手書き風にしてくれており、メモ感を出しながら計算機能を使うことができます。
計算メモでは、変数や方程式にも対応しており、手書きでy=15m/s、A=25°などと記述して、それを用いて方程式を記述すると、グラフや計算をしてくれます。
同様の機能はメモアプリにも搭載されています。
メモ
メモ機能は先述の通り、計算メモ機能を利用できる他、文字のハイライトや折りたたみなど、iOS/iPadOS/macOS共通の新機能が利用できます。
さらに、Apple Pencilで手書きで書いた文字にたいして文字の移動や挿入、誤字の修正などを行えるようになる「スマートスクリプト」が搭載されています。
例えば、文字をApple Pencilで少し右へD&Dすると文字が自動で改行されたり、不必要な部分をグチャッとすると消して、その下に書かれた部分を詰めてくれたりというような機能が搭載されています。誤字の修正もユーザーの文字を真似て書いてくれるので、自然です。
タブバー
AppleはiPad向けアプリケーションがiPadの大画面を活かして利用しやすいようにデザインする機能をSwiftUIに取り込んでいます。例えばデスクトップクラスアプリケーションもその一つです。
今回もその機能が追加され、新たに「タブバー」というデザインが追加されました。
タブバーは、サイドバーからユーザーが好きな機能をタブバーに追加できるという新しいデザインです。
アプリや連絡先のロック機能
iPadOS 18にもiOS 18と同様にアプリと連絡先へのロック機能が追加されています。
プライバシー機能が強化されており、アプリや連絡先にアクセスする際にもFaceIDやTouchIDで認証を求める事ができるようになりました。実質的にアプリのロック機能となります。
また、写真ですでに導入されているように、アクセスできる連絡先を制限できるようになりました。
ゲームモード
iPadOS 18でもゲームモードが有効になりました。これによって、Mac・iPhone・iPadのすべてのデバイスでゲームモードに対応したことになります。
SharePlay
Share Playで画面を共有している時、相手にリモート操作の権限を与えることが可能になりました。
さらに、実際に相手の画面や自分の画面に文字を書き込んだりすることも可能になっています。
macOS
最後にmacOSの新機能を見ていきましょう。
iPhoneとの連携機能
MacからiPhoneを操作できる新機能「iPhoneミラーリング」が追加されました。MacにiPhoneの画面を映し、またMacのトラックパッドとキーボードで操作できるようになりました。iPhoneをそのまま操作するため、基本的にiPhoneのすべての事ができます。
iPhoneミラーリングを使用している際のiPhoneはロック画面であるため、他のユーザーから触られる心配もありません。
iPhoneの通知
また、iPhoneとの連携機能として、iPhoneの通知をすべてMacでも受け取れるようになりました。通知への反応もMacからiPhoneミラーリングを通じて行うことができるため、わざわざMacからiPhoneへ手を移すことなくiPhoneを操作することができるようになりました。
iPadに対応するかは不明。
ゲーム
ゲーム面では、GPTK 2が導入されました。
さらに、Ubisoftと連携し「プリンス オブ ペルシャ 失われた王冠」と「アサシン クリード シャドウズ」がリリースされることもアナウンス。
ニュースリリースでは、Capcomから「BIOHAZARD 7 resident evil」や「BIOHAZARD RE:2」がリリースされることも明かされました。
それ以外にも「パルワールド」などの年内リリースが予定されており、着実にゲームが拡充されています。
なお、今年はGPTK 2を除くゲームのMetalの発表はWWDCの基調講演ではありませんでした。セッションで新しい機能があればお伝えしたいと思います。
ウィンドウ管理
macOSでのウィンドウ管理は、画面を左右に配置するSplit Viewのみ簡単にできていましたが、macOS Sequoiaでは、画面を4分割にしたり、左半分に1つウィンドウをおいて、右半分を上下に分割してアプリを配置するというようなウィンドウの配置が楽にできるようになりました。
Windowsのウィンドウ管理機能と似たものが導入されることになります。
発表者モード
MacではmacOS Sequoia自体に、背景機能が導入されます。コラボレーションツールを用いた時に、背景を設定できるようになりました。これによって、一部の背景機能に対応しないコラボレーションツールを用いても背景を隠すことができるようになります。
今秋リリース
iOS 18、iPadOS 18、macOS Sequioiaは共にすでに開発者向けのDeveloper Betaが配信されています。来月には一般向けのPublic Betaの提供も始まります。
そして、正式リリースは今秋になるよていです。例年であれば、9月にスペシャルイベントが開催され、iPhoneが発表された後に正式リリースとなります。
なお、一部機能は年内提供予定となっており、同時にリリースされるわけではないことには注意が必要です。