Microsoftは、Microsoft AzureにてHPC用のAzure仮想マシンとして、HBMを搭載したカスタムEPYCをAMDと共同で開発したと発表しました。
HBv5 VM
Microsoftが今回発表したのは「HBv5」仮想マシンです。この仮想マシンは、計算流体力学、自動車・航空宇宙シミュレーション、気象モデリング、エネルギー分野、分子動力学、コンピュータ支援エンジニアリングのようなメモリ帯域幅を多く消費するGPCアプリケーションに最適化されています。
Azure VMのHBシリーズはHPCにとって重要な大容量メモリの帯域幅に重点を置いているようです。メモリ帯域をHPCの最大のボトルネックとし、AMDの3D V-Cacheを採用しているGenoa-Xの製品を採用することで部分的な解決を果たしていました。さらにMicrosoftは、追加の性能向上を目指したようで、結果としてHBMを採用するということにしたようです。
HBv5に搭載されるAMDのカスタムEPYCは、CPUとともにHBM3メモリを搭載し、仮想マシン全体で約7 TB/s(6.9 TB/s)のメモリ帯域幅を実現しています。
メモリ容量は400GB~450GBで提供されるとのことで、実際の容量は顧客が構成することができるようです。また、VMはシングルテナントで提供され、1ノードまるまる貸し出されます。CPUはマルチソケットとなっており、メモリが高速であるためかInfinity Fabricは従来のAMDプラットフォームと比較して2倍の帯域幅を持っているとしています。
カスタムEPYC
今回リリースされたカスタムEPYCはZen 4で構成されており、ノードあたり352コア352スレッドで提供されるとしています。4ソケットとなるため1ソケットあたりのコア数は88コアとなるでしょう。
駆動クロックは最大4GHzになるとのことです。
HBMを搭載するサーバー向けCPUとしては、IntelのXeon Max(Sapphire Rapids-Max)がありますが、AMDもHBM搭載CPUを開発したことになります。これらのHBM搭載CPUは基本的にHPC向けとなっており、実際に先日発表されたスパコンTOP500でもXeon Maxを搭載するシステムがあります。HBMはDDRと比較して高い帯域幅を提供するため、メモリ帯域という、コンピュータのボトルネックを緩和することが期待されているのです。
提供
Azure HBv5 VMは2025年前半にプレビューが提供されます。現在開催中のSupercomputing 2024(SC 2024)にて実際に使用されるラックが展示されているそうです。
現時点で、どのタイミングで正式な提供になるかは不明です。