錦です。
今回は、今年年末に登場する予定の第12世代Core「Alder Lake」と第13世代「Raptor Lake」のお話です。
WccftechとMoore's Low is Deadによる情報です。
Alder Lake
Alder Lakeは、現行のRocket LakeとTiger Lakeの後継に当たる第12世代Coreプロセッサになるものです。コンシューマー向けのデスクトップ向けソケットのCPUとしては初めてIntel 10nm Enhanced SuperFinを用いて製造されています。
また、主要なArmチップのようにbig.LITTLEのチップ構成をとることも分かっており、高性能コアにはCoreの流れを汲んだ高性能の「Golden Cove」が、高効率コアにはAtomの流れを汲んだ省電力の「Gracemont」がそれぞれ採用され、最上位のモデルではそれぞれを8コア搭載した16コアのモデルとなっています。スレッド数については、Golden CoveはHTTに対応し、Gracemontは対応しないということになっているので、16スレッド+8スレッドの24スレッドとなっています。
Intelは、Alder Lakeはこのような効率的な処理と、アーキテクチャ・プロセスルールの更新によって2倍のマルチスレッド性能を実現したとしています。シングルスレッド性能については20%の性能向上。
それ以外の情報を箇条書きで書き出します。
- ソケットはLGA-1700(LGA1200とクーラー互換性なし)
- PCIe 5.0をサポート
- DDR4とDDR5の両方をサポート(2ch)
- Thunderbolt 4をネイティブサポート
- モバイル向けのシリーズはMやPに
では、今回明らかになったSKUの詳しい構成についての情報です。
Alder Lake-S
Alder Lakeのデスクトップ向けメインストリーム「Alder Lake-S」の話からまいりましょう。Alder LakeにはS1チップとS2チップがあります。S1がGracemontを搭載するモデル、S2が搭載しないモデルということになるようです。
まず、Sの中でも上位となる末尾KのCPUから。i9-12900Kとi7-12700K、i5-12600Kの3つのSKUの話です。これらのSKUは2021年10月25日ごろにリリースされる模様です。
Golden CoveとGracemontのそれぞれの数ですが、末尾Kのモデルでは以下のようになるとのこと。
GLC | GRT | Total | |
---|---|---|---|
i9 | 8 | 8 | 16C/24T |
i7 | 8 | 4 | 12C/20T |
i5 | 6 | 4 | 10C/16T |
※表中では、Golden Coveを「GLC」、Gracemontを「GRT」と略しています。
提示された情報によると、Comet Lakeに引き続きi3にはK付きモデルはないようです。
i5/i7/i9の違いはやはりコア数になっているようです。
iGPUのEU数は固定32コア。Rocket Lakeと変わりませんでした。
末尾Kではないモデル。動画内ではAlder Lake-S Aシリーズとされていますが、こちらは来年の第1四半期の登場となっています。
チップはS1チップとS2チップが混同する形になっています。
GLC | GRT | Total | Chip | |
---|---|---|---|---|
i9 | 8 | 8 | 16C/24T | S1 |
i7 | 8 | 4 | 12C/20T | S1 |
i5 | 6 | 0 | 6C/12T | S2 |
i3 | 4 | 0 | 4C/8T | S2 |
こちらはi5/i3でGracemontコアを搭載しないS2チップを採用。単純なGolden Coveの性能向上でマルチ性能の向上を図っているものと見られます。
登場時期について、Kモデルは今年の10月25日に解禁されるとのこと。それ以外のSKLについては2022年第1四半期の登場になるとのことです。つまり、先にアンロックモデルのみが登場して、追って残りのSKUが登場するということみたい。第9世代のときがそんな発売方法でした。
Intelの第1四半期は3月末から4月を指すことが多いので、大体Rocket Lakeの発売時期と捉えていいでしょう。
Alder Lake-P/M/HX
Alder Lake-PとMは、モバイル向けのAlder Lakeです。MはTiger LakeのUP4の流れを汲む7~12W帯を、PはUP3とHの流れを汲む12~45W帯を担うモデルとなっています。つまり、Mはエントリ向け、Pはミドル~ハイエンド向けということです。
そして、HXは、モバイル向けの最上位。45W~65Wという驚異のTDPを持つCPUです。i9-11980HKの後継となります。
そして、Pシリーズは、UシリーズとHシリーズにまた分けることが出来ます。おそらく、15W/28W帯のU、35W/45W帯のHということでしょう(Tiger Lakeに引き続いてcTDPが設定される可能性がありますが)。
Chip | GLC | GRT | Total | Model |
---|---|---|---|---|
P1 | 6 | 8 | 14C/20T | H |
P2 | 2 | 8 | 10C/12T | U |
M | 2 | 8 | 10C/12T | M/Y |
HX | 8 | 8 | 16C/24T | HX |
HXについてはソケットがBGAになる以外のインターフェイスの情報はありませんが、PとMについてはPCIe/RAM/GPUの情報が書かれていました。
まず、Pシリーズについては、PCIe 5.0とDDR5をサポートします。そしてGPUは96EU搭載されるとのこと。
そして、Mシリーズについては、PCIeのサポートは4.0にとどまるもののメモリはLPDDR5をサポートするとのこと。これに加えてLPDDR4Xもサポートします。そしてこちらも96EUのGPUが搭載されます。
登場時期については、MとPが来年初頭のCES 2022で、HXが来年第2四半期に登場するとのこと。
Alder Lakeのコアまとめについては以前リークが発生しており、消費電力の一部修正する形にはなりましたが、そちらのリークとコアの構成自体には変更はありませんでした。
Raptor Lake
そして第13世代Raptor Lake。こちらは、Alder Lakeの改良版となっており、Rocket Lake→Alder Lakeほど大きなアップデートにはならないとのこと。CPUの高性能コアは「Enhanced Golden Cove」が、高効率コアには「Gracemont」が採用されます。どうやら、高性能コアのアーキテクチャは若干改良されるようですが、高効率の方はそのままみたいです。で、その「Enhanced Golden Cove」は「Raptor Cove」と名付けられているそうです(中身はほぼ変わらず)。
ソケットも変わらず、LGA 1700が採用されます。
動画によると、コア構成の内、最大のものは8コアの「Raptor Cove」と16コアの「Gracemont」の計24コア32スレッドのものになるとのこと。これにより、よりマルチスレッド性能が高まるとのことです。
メモリは、5600MHz+のDDR5に対応。モバイル向けではLPDDR5Xにも対応するそうです。
そして、Raptor Lakeの登場時期は2022年の年末商戦期。Alder Lakeが早すぎるだけで、Alder Lakeのほぼ一年後と考えると妥当なアップデートサイクルです。ちなみにRaptor Lakeの後継となる「Meteor Lake」は既に2023年に登場することが明かされているため、大方1年毎のアップデートに収束する見込み。
予定をまとめます。
と、まぁこんな感じですかね。Intelについては、Intel 10nmの導入によって一気に性能向上への道がひらけましたから、AMDへの反撃がそろそろ本格化しそうです。