錦です。
今回は、日本では来週金曜日に発売となるMacBook Pro 14"および16"、Mac miniに搭載される「Apple M2 Pro」「Apple M2 Max」の詳細をお伝えします。
公式に明らかな内容
まず、公式に明らかな内容から述べていきます。
CPUは両者共に8コアの高性能コアと4コアの高効率コアで構成された12コアとなっています。キャッシュが増強されており、高性能コアのL2キャッシュは32MB、L1命令キャッシュは192KB、L1データキャッシュは128KBとなっています。高効率コアは4MBのL2キャッシュに128KBのL1命令キャッシュ、64KBのL1データキャッシュを備えています。後述でわかりやすく解説します。
GPUはM2 Proが19コア、M2 Maxが38コアであり、この部分が最も大きな違いです。
M2 ProのGPUは2432基のExecution Unitsが含まれており、理論性能は6.8TFLOPSとなります。一方、M2 Maxは4864基のExecution Unitsが含まれており、理論性能は13.6TFLOPSとなります。
メモリはM2 Proが200GB/sで通信する最大32GBのLPDDR5メモリ、M2 Maxが400GB/sで通信する最大96GBのLPDDR5メモリを搭載します。今回、メモリバス幅、及びメモリクロックは明かされていません。
この記事では便宜上、高効率コア8基、高効率コア4基を8P4Eのように表現します。
詳細な仕様
詳細な仕様を見ていきます。まずはCPUから
CPU
CPUはGeekbench 5によってその詳細が明らかになっています。
まずコアですが、先程も申し上げた通り、8P4Eの構成となります。AppleはM2 ProもM2 Maxも共にM2をスケールしたものと表現しています。更にM2はAppleからの公式ではないもののApple A15からのスケールだと見られていますので、Apple A15からスケールしたプロセッサラインナップであることがわかります。
キャッシュについては、公式発表以上に判明したことはありません。AppleはIntelやAMDには存在するようなL3キャッシュはなく、L2キャッシュがラストレベルキャッシュとなっています。コアによってスケールするのかどうかは不明ですが、おそらくL2キャッシュは高性能コアあたり4MB、高効率コアは4コアで1クラスタを構成し1クラスタで4MBであると見られます。共有キャッシュはメモリとなっている可能性もありますね。
性能 | 効率 | |
---|---|---|
L2 | 32MB (4MB✕8C?) |
4MB (4MB✕1?) |
L1命令 | 192KB | 128KB |
L1データ | 128KB | 64KB |
クロックは3490MHzとなっており、これは3.5GHzと言っていいでしょう。M2、A15と同じです。
GPU
GPUは、19コアあるいは38コアとなっています。
速報記事では「M2 Proは物理的に19コアだがM2 Maxは39コア搭載しているようだ」とお伝えしましたが、よく見るとM2 Maxも38コアしか搭載していませんでした。
GPUの理論性能は前述の通りM2 Proが6.8TFLOPS、M2 Maxが13.6TFLOPSでした。そして、今回M2シリーズでは初めて、Execution Unitsの数が明らかになりました。これによってGPU1コアあたりのExecution Unitsが128コアでM1と相違ないことになり、以下のような感じになりました。
EU数 | 理論性能 | |
---|---|---|
A15(4GPU) | 512 | 1.4TFLOPS |
A15(5GPU) | 640 | 1.8TFLOPS |
M2 | 1280 | 3.6TFLOPS |
M2 Pro | 2432 | 6.8TFLOPS |
M2 Max | 4864 | 13.6TFLOPS |
なお、この表の結果を導き出す過程でGPUクロックも求まり、M2 ProとM2 Maxは1,398MHz、M2が1,406MHzとなっています。誤差なので、おそらく1.4GHz駆動のGPUでしょう(理論性能は小数第二位を四捨五入されているようなので正確な値は計測しないと導かれません)。
M1で同様の計算を行うと、1,269MHzという結果が帰ってきました。おそらく、1.27~1.28GHz程度で駆動していると見られますので、クロックは100~200MHzほど上昇したことになります。
メモリ
メモリはAppleからの公表通り、LPDDR5となります。ただ、今回AppleはメモリインターフェイスについてM2 ProをM2の二倍と表現する以外に明らかにしていません。
ただし、M1 ProやM1 Maxと同じ帯域幅となっているということを踏まえても、M2 Proは256bitメモリインターフェイス、M2 Maxは512bitメモリインターフェイスであると見られます。そして、メモリクロックも6400MHzなので実際のメモリの理論値はM2 Proは204.8GB/s、M2 Maxは409.6GB/となるでしょう。
まとめ
まとめるとこのようになります。
Apple M2 | Apple M2 Pro | Apple M2 Max | |
---|---|---|---|
CPUコア | 4P4E | 8P4E | 8P4E |
GPU | 10G | 19G | 38G |
GPU EU | 1280 | 2432 | 4864 |
GPU FP32 | 3.6TFLOPS | 6.8TFLOPS | 13.6TFLOPS |
Pコア クロック |
3.5GHz | 3.5GHz | 3.5GHz |
GPU クロック |
1406MHz | 1398MHz | 1398MHz |
メモリ容量 | 8/16/24GB | 16GB/32GB | 32/64/96GB |
メモリ規格 | LPDDR5 | LPDDR5 | LPDDR5 |
メモリ速度 | 6400MHz | 6400MHz | 6400MHz |
メモリバス | 128bit | 256bit | 512bit |
メモリ帯域 | 102.4GB/s | 204.8GB/s | 409.6GB/s |