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Arm、新型CPU IP「Cortex-X925」「Cortex-A725」とGPU「Immortalis-G925」などを発表 ~ 3nmに最適化

3行まとめ

Armは、次世代CPU IPと「Cortex-X925」と「Cortex-A725」、GPU IPの「Immortalis-G925」と、これらのIPから構成されるCompute Subsysytem(CSS)を発表しました。

CSS

Armは、CPU IPとGPU IP、DSUとプロセスノードの最適化などをパッケージとして提供するTCS(Total Compute Solution)を提供していましたが、今年からそれが「Compute Subsysytem」(CSS)ブランドに変更されました。このCSSはサーバー向け製品に用いられていた名称であり、それがコンシューマ向けにも広がった形になります。

サーバー向けのCSSと区別するため今回発表されたコンシューマ向けのCSSは「CSS for Client」とされています。この記事では便宜上CSSと表現します。

このCSSにはCPUがプライムコアとして新しい「Cortex-X925」、高性能コアとして新しい「Cortex-A725」、高効率コアとして昨年発表された「Cortex-A520」を採用し、GPUには新しく発表された「Immortalis-G925」を、DSU(DaynamiQ Shared Unit)をDSU-120をそれぞれ採用し、3nmに最適化しています。

Cortex-X925

「Cortex-X925」は、Cortex-X4の後継です。これまでCortex-Xシリーズは「Cortex-X1」「Cortex-X2」...と一桁数字が続いていましたが、今回は「Cortex-A」シリーズと合わせて「Cortex-X9xx」という名称に変更されています。つまり、Cortexはアルファベットは別として900番台がプライムコア、700番台が高性能、500番台が高効率と定義されることとなりました。

Cortex-X925は、Black Hawkというコードネームで開発されています。シングルスレッド性能が最大36%向上しています。

具体的な性能進化の点として、命令ウィンドウが2倍になったり、L1データキャッシュの帯域幅、分岐予測用のキャッシュが増加するなどの改良により、サイクルあたりに処理される命令の数が大幅に向上するなど、命令実行効率を高めた設計となっているようです。また、分岐予想については、分岐予想ユニット自体が強化されているため、効率が高まっています。

電力効率の点では、動的に電圧と周波数をスケーリングする機能を有しており、ワークロードに基づいて電力とパフォーマンスを調整することが可能です。これによって、電力の効率的な使用と、発熱が抑えられます。

そして、AI性能は最大46%向上としています。また、CPU単体で最大50%高いのAIの演算理論性能(TOPS)を実現しているとしています。ArmはNPUのIPを公開していないため、基本的にMediaTekやQualcommがAPUやHexagonのような独自のNPUをArm CPUと統合することでAI性能を高めており、SoC全体で最大80 TOPSを実現可能であるとしています。

ISAは、Armv9.2-Aに基づいており、ベクトル演算などの複雑なワークロード向けの命令も引き続き利用可能です。

Cortex-A725

「Cortex-A725」は、Cortex-A720の後継となる高性能コア向けのCPUコアです。

Cortex-A720は35%の性能向上、25%の電力効率向上、20%のL3キャッシュのトラフィック削減が実現されています。

なお、高効率コアとなる「Cortex-A520」については昨年と同じものを採用しています。

Immortalis-G925/Mali

Arm GPUはImmortalisとMaliという2つのブランドで展開されており、Immortalisはハイエンド、Maliはエントリ~ミドルレンジを担当しています。

Immortalisも命名規則が若干変わっており、G7xxからG9xxと、Cortex-Xシリーズと同じ番号となっています。今回発表されたのは「Immortalis-G925」となっています。

Immortalis-G925は、アーキテクチャの最適化によって3Dグラフィックス性能が最大37%向上するとしています。

Maliは「Mali-G725」「Mali-G625」がそれぞれ投入されています。

構成

CSSの構成は、2コアのCortex-X925、4コアのCortex-A725、2コアのCortex-A520となっています。また、Armは最大Cortex-X925を12コアで構成できるラインナップを明らかにしており、ゲーミングラップトップのような高性能ラインナップも想定されています。この高性能コア構成はTCS23と比較して最大4倍の性能を誇っています(TCS23はスマートフォン向けです)。

それ以外にも、X925を4コア・A725を4コアの構成、X925を6コア、A725を4コアの構成も展開されており、こちらはPC向けとなります。

特に今年は、Windows ARMが飛躍的に拡大する年であり、情報としてはWindows ARMのQualcommの独占が終了し、MediaTekが参入する可能性が示唆されていることから、これらのCortexがWindows向けに投入される可能性もあります。それらも含めて今後の情報には期待です。

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