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2024年11月版のスパコン「TOP500」が発表 ~ 「El Capitan」が首位、「富岳」は6位

3行まとめ

今年もSupercomputing Conferenceにて、スーパーコンピュータの性能指標「TOP500」「Green500」「Graph500」が発表されました。

TOP500

世界のスーパーコンピュータのランキングであるTOP500を見ていきます。

順位 スパコン名 国名 実行性能
(PFLOPS)
理論性能
(PFLOPS)
ベンダー 所有者 CPU コア数 GPU 前回順位
1 El Capitan 米国 1,742.00 2,746.38 HPE 米国エネルギー省
国家核安全保安局
ローレンス・リバモア国立研究所
第4世代EPYC 11,039,616 AMD MI300A 46(↑45)※
2 Frontier 米国 1,353.00 2,055.72 HPE 米国エネルギー省
オークリッジ国立研究所
第3世代EPYC 9,066,176 AMD MI250X 1(↓1)
3 Aurora 米国 1,012.00 1,980.01 HPE 米国エネルギー省
アルゴンヌ国立研究所
Xeon Max
(Sapphire Rapids-Max)
9,264,128 Intel DC GPU Max 2(↓1)
4 Eagle 米国 561.20 846.84 Microsoft Microsoft Azure 第4世代Xeon SP
Platinum 8480C
2,073,600 NVIDIA H100 3(↓1)
5 HPC6 イタリア 477.90 606.97 HPE Eni 第3世代EPYC 3,143,620 AMD MI250X 初登場
6 富岳 日本 442.01 537.21 富士通 理化学研究所 A64FX 7,630,848 4(↓2)
7 Alps スイス 434.90 574.21 HPE スイス国立スーパーコンピュータセンター NVIDIA Grace 2,121,600 NVIDIA GH200 6(↓1)
8 LUMI フィンランド 379.70 531.51 HPE EuroHPC
Center for Science
第3世代EPYC 2,752,704 AMD MI250X 5(↓3)
9 Leonrdo イタリア 241.20 306.31 EVIDEN EuroHPC
CINECA
第3世代Xeon SP
Platinum 8358
1,161,216 NVIDIA A100 7(↓2)
10 Tuolumne 米国 208.10 288.88 HPE 米国エネルギー省
国家核安全保安局
ローレンス・リバモア国立研究所
第4世代EPYC 1,161,216 AMD MI300A 48(↑38)※

※前回は構築途中

米国エネルギー省とローレンス・リバモア国立研究所が運営するEl Capitanが稼働し、首位となりました。El CapitanはZen 4ベースの第4世代EPYCとAMD Instinct MI300Aを採用したHPE製のノードを採用しています。

また、イタリアのEniというガス会社が保有しているHPCが初登場5位にランクイン。これは普通のSapphire Rapidsを採用したシステムですね。

これら2つのシステムが新たに上位に登場したことにより富岳は2ランクダウンの世界第6位のシステムとなりました。ただ、GPU等非搭載のシステムでは未だ首位、かつx86以外のプロセッサ採用システムとしても首位です。というかそもそも富岳が異色すぎて。

今回のランキングではAMD製CPU・GPUの多さが目立ち、CPUのメーカーだけを数えると、Intelが2・AMDが6・NVIDIAと富士通がそれぞれ1となりました。Power系のCPUが10位以内からいなくなりました。

もう少しGrace Hopper Superchipによるシステムが出てくるかと思いましたが、まだのようです。上位10位でもスイスの「Alps」がHPEのGH200システムを採用するのみです。TOP500をすべて見てもGraceは11システムにとどまりました。

では、TOP500でのCPU(メインプロセッサ)のシェアを見ます。

台数
AMD Zen-2 (Rome) 62
AMD Zen-3 (Milan) 70
AMD Zen-4 (Genoa) 30
Fujitsu ARM 9
Intel Broadwell 17
Intel Cascade lake 111
Intel Emerald Rapids 2
Intel Haswell 9
Intel Ice Lake 36
Intel IvyBridge 6
Intel Sapphire Rapids 64
Intel Skylake 58
Intel SandyBridge 1
Intel Xeon Phi 5
NEC Vector Engine 5
NVIDIA Grace CPU 9
Power 4
ShenWei 1
X86_64 1

やはり、こう見るとTOP500では、Xeonがかなり優勢、AMDが次点となります。日独の一部システムがNECのVector Engineを採用、日台とポルトガルの一部システムが富岳にも採用されるA64FXを採用し、残りはPowerPC・中国の独自設計となっています。

そして、GPGPUやPCIeアクセラレータなどを含むアクセラレータについて見てみます。

AMD Instinct MI210 1
AMD Instinct MI250X 12
AMD Instinct MI 300A 5
AMD Instinct MI 300X 1
Intel Data Center GPU Max 2
Intel Data Center GPU Max 1550 2
Intel Xeon Phi 5110P 1
Intel Xeon Phi 7120P 1
NVIDIA A100 71
NVIDIA A40 1
NVIDIA GH200 Superchip 8
NVIDIA H100 58
NVIDIA H200 2
NVIDIA Tesla K20x 1
NVIDIA Tesla K40 3
NVIDIA Tesla K40m 1
NVIDIA Tesla K80 1
NVIDIA Tesla P100 5
NVIDIA Tesla V100 30
NVIDIA Volta GV100 3
Deep Computing Processor 1
Matrix-2000 1
非搭載 290

こちらは、そもそもTOP500の半数以上が搭載していないになるものの、搭載システムについてはNVIDIAが圧倒的に優勢。Intelが6システム、AMDでも19システムほどにとどまっています。ただ、AMDは上位陣に食い込んでるシステムが多く、19システムのうち5システムが上位10位のような搭載されている大規模なシステムで採用されています。

アクセラレータの搭載システムは193から210に増えているので、一応アクセラレータの必要性はあるみたいです。本当に富岳な特殊なだけです。

個人的な換装としてはやはり、Grace Hopper Superchipが思ったより少ない気がしました。価格が高すぎて、超大規模にしないと導入できないか、そもそもTOP500に食い込むほど大規模なシステムに投入できるほど供給量が安定していないかのどちらかですかね?

なお、日本勢はTOP500に34システム、日本企業(富士通・NEC)のノードを採用するシステムは29システム、日本企業(富士通・NEC)のプロセッサを採用するシステムは14システムでした。

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