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Apple A15 Bionicの詳細な仕様 ~ クロックとキャッシュ・iPad miniはクロックが抑えめ。

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錦です。

iPhone 13シリーズのベンチマークがわかったことをお伝えしましたが、今回はApple A15 Bionicの詳細な仕様を見ていきます。

CPU

まず、CPUですが、コアは公式発表の通り高性能コアが2コアと高効率コアが4コアの計6コアです。コア構成は変わらずということですね。

そしてクロックですが、iPhone 13シリーズに搭載されているものは3.23GHz、iPad miniに搭載されているものは2.93GHzで動作します。同じチップを搭載した場合でも、iPod touchなどでクロックが抑えられることはあるんですが、iPad miniでクロックが抑えられているのは。。。なんで?もしかしてiPhoneよりも電源周り弱いのかもしれませんね。

因みに、Apple A14は3.0GHzで駆動、A14をベースにしているApple M1は3.2GHzで動作しています。

Apple A13Apple A14Apple A15
CPUコア2C+4c2C+4c2C+4c
CPUクロック2.66GHz3.0GHz3.2GHz2.93GHz
GPUコア4C4C4~5C5
メモリ3GB/4GB4GB/6GB4GB/6GB4GB
搭載デバイスiPhone 11
     iPhone 11 Pro
     iPhone 11 Pro Max
     iPhone SE 2
     iPad 9
iPhone 12
     iPhone 12 mini
     iPhone 12 Pro
     iPhone 12 Pro Max
     iPad Air 4
iPhone 13
     iPhone 13 mini
     iPhone 13 Pro
     iPhone 13 Pro Max
iPad mini 6

iPhone 13シリーズのベンチマーク比較はこちらのエントリをご覧ください。

そしてキャッシュですが、L1命令キャッシュが128KB、L1データキャッシュが64KB、L2キャッシュが4MBになっています。

GPU

GPUは、Apple A15をフルでみたときは5コアのGPUがありますが、実際に1コアが無効化されているところを見ると、Apple M1やApple A12Xのように、GPUが欠損したものが4コアGPU Apple A15として利用されるのではないかと思います。実際にそこまで歩留まりが悪いのかはしりませんが、こういった手は歩留まりが悪いときに使われるという偏見がありまして・・・。

ただ、GPU単体でも16%という十分な性能の向上がありますので、4コアApple A15でもGeekbenchで1万点を超えるスコアを持つので十分でしょう。

バリエーション

Apple A15は珍しく、バリーエーションが豊かなApple SoCとなりました。これまでも、iPod touchに対応する場合などにおいて同じ名前をもつSoCでもクロックの仕様が違うものがありましたが、実際になにかの機構の実装数が異なった形で登場するのは、Apple M1を除いて初めて何じゃないかなと思います。

で、クロックも違うバリエーションがあるということは、この時点でApple A15には3つのバリエーションが存在するというわけで。さあややこしくなってまいりましたよ~。

  • 5コアGPUを搭載して2.93GHz CPUのApple A15
  • 5コアGPUを搭載して3.23GHz CPUのApple A15
  • 4コアGPUを搭載して3.23GHz CPUのApple A15

トランジスタ

トランジスタ数は合計150億基。A14が118億なので、大幅に増加しています。

A14ではトランジスタの増加はNeural Engineの増加に伴うものと見られていましたが、Apple A15はGPUコアの増加に対応するための増加と見てもいいでしょう。もちろんCPUやGPUコア単体、及びその他の機構でもトランジスタの数は増加しているはずです。

また、毎度のことながら、Neural Engineがダブルスコアレベルで進化していますので、トランジスタの増加は主にGPUとNeural Engineにあてられたものなのではないかと予想します。

パッケージ

Apple A15は今の所、Apple A14同様にTSMC 5nmプロセスで製造されている事になっています。実際多分そうだと思います。

となれば今回は微細化ではないので、微細化されずにトランジスタの数が多くなった=パッケージは大きくなったということになります。おそらく100平方mm程度にはなるんじゃないかと勝手に予想しています。単にパッケージ全体がトランジスタであることを仮定すると111平方mmくらいにはなると思います。

1GHzあたりの性能

で、Nishiki-Hubが勝手にIPCの向上率~とだいして、大体の推測値を出すために計算しているGeekbenchのシングルスコアを1GHzあたりに慣らしてみよう~のコーナーです。

今回参照するデータは、こちらのエントリで使ったiPhone 13とiPhone 13 Proのそれぞれの高い方のシングルスコアと、こちらのiPad miniのスコアです。

で、これをクロックで割り、1GHzあたりにしたところ、iPhone 13 Proでは538.08、iPhone 13では533.75、iPad miniでは544.37になりました。では、直近のデータと合わせてグラフにします。

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大体iPhone 13 Proのそれが最低値、iPad miniのそれが最大値と考えると、クロックあたりの性能はiPhone 12 ProのApple A14と比較して3%ほど向上しています。さほど大幅なCPUのアーキテクチャの改善ではないようで、やはり微細化ベースでの改良というより、今回は物理的な構成のアップデートと考えたほうがいいかもしれません。

その他のこの数字の比較は以下のエントリをご覧ください。

Apple M1の詳細なスペックとベンチマークが明らかに MBP Core i9に勝るマルチスコア クロックとTDPも判明 - Nishiki-Hub

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